
特定技能1号には、分野ごとに「受入れ見込数」という枠があります。これは単なる見通しではなく、受入れの上限として運用される数字です。
出入国在留管理庁(以下、入管庁)が2026年9月4日に更新した最新資料によると、令和8年6月末時点の充足率は19分野の合計で52.9%。ただし外食業は98.1%に達し、すでに新規の受入れは止まっています。本記事では、外国人ご本人と企業の人事ご担当者に向けて、分野ごとの残り枠、枠が埋まったときに実際に何が起きるのか、そしていま取るべき対応を整理します。
外食業分野で現に起きている停止措置そのものについては「特定技能「外食業」受入停止の影響と対応策」で詳しく解説しています。本記事は19分野を横断して「次はどこか」を見るための記事です。
先に結論をまとめます。
つまり、特定技能の採用は「いつでもできる」前提では組めません。分野によっては、枠が先に尽きます。
特定技能制度では、分野ごとに向こう5年間の受入れ見込数が定められます。現行の数字は、令和8年1月23日の関係閣僚会議および閣議で決定された分野別運用方針によるもので、令和11年3月末までの受入れ見込数です。
ここが誤解されやすい点ですが、この数字は「これくらい来るだろう」という予測ではありません。入管庁が公表した分野別運用方針の主要な記載事項には、次のように書かれています。
受入れ見込数は、受入れ上限として運用するものである
出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」
つまり受入れ見込数=定員です。定員に達する見込みになれば、受付が止まります。その法的な根拠は出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)にあり、在留者数が受入れ見込数を超えることが見込まれる場合には、入管法第7条の2第3項および第4項に基づき、在留資格認定証明書の一時的な交付の停止措置を講じることとされています。
受入れ見込数が設定されているのは特定技能1号です。特定技能2号には人数の枠がありません。1号と2号の違いについては「特定技能1号と2号の違い」をご覧ください。
特定産業分野は現在19分野です。令和6年3月に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が、令和8年1月にリネンサプライ・物流倉庫・資源循環が追加されました。なお2027年4月に始まる育成就労の産業分野は17分野で、自動車運送業と航空は特定技能のみの分野です。
入管庁が2026年9月4日に更新した「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」(令和8年6月末時点・速報値)から、19分野すべてを一覧にしました。「残り枠」は受入れ見込数から在留者数を差し引いた数です。
| 分野 | 受入れ見込数 | 在留者数 | 充足率 | 年間増加数 | 残り枠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 外食業 | 50,000 | 49,060 | 98.1% | 13,289 | 940 |
| 飲食料品製造業 | 133,500 | 100,769 | 75.5% | 16,698 | 32,731 |
| 建設 | 76,000 | 52,132 | 68.6% | 8,533 | 23,868 |
| 介護 | 126,900 | 79,884 | 63.0% | 24,968 | 47,016 |
| 農業 | 73,300 | 44,050 | 60.1% | 9,115 | 29,250 |
| 航空 | 4,900 | 2,803 | 57.2% | 985 | 2,097 |
| 自動車整備 | 9,400 | 5,235 | 55.7% | 1,488 | 4,165 |
| 造船・舶用工業 | 23,400 | 11,641 | 49.7% | 996 | 11,759 |
| 漁業 | 14,800 | 4,912 | 33.2% | 1,070 | 9,888 |
| ビルクリーニング | 32,200 | 10,171 | 31.6% | 2,753 | 22,029 |
| 工業製品製造業 | 199,500 | 62,033 | 31.1% | 10,970 | 137,467 |
| 宿泊 | 14,800 | 2,556 | 17.3% | 1,291 | 12,244 |
| 自動車運送業 | 22,100 | 558 | 2.5% | 548 | 21,542 |
| 鉄道 | 2,900 | 64 | 2.2% | 43 | 2,836 |
| 林業 | 900 | 19 | 2.1% | 19 | 881 |
| 木材産業 | 4,500 | 74 | 1.6% | 72 | 4,426 |
| リネンサプライ | 4,300 | ― | ― | ― | ― |
| 物流倉庫 | 11,400 | ― | ― | ― | ― |
| 資源循環 | 900 | ― | ― | ― | ― |
| 合計 | 805,700 | 425,961 | 52.9% | 92,838 | 379,739 |
読み方の注意点を3つ挙げます。
抽象的な話ではありません。外食業分野では、すでに起きています。
入管庁と農林水産省は、外食業分野の在留者数が受入れ見込数(5万人)を超える見込みとなったことから、2026年4月13日に在留資格認定証明書の一時的な交付の停止措置を取る方針としました。その内容は次のとおりです。
| 申請の種類 | 2026年4月13日以降に受理された申請の扱い |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 不交付 |
| 特定技能1号(外食業)への在留資格変更許可申請 | 原則として不許可 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更許可申請 | 不許可(一部例外あり) |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 |
すべてが止まるわけではありません。次の申請は、受入れ見込数の範囲内で順次許可されるとされています。
つまり、すでに外食業で働いている方の在留の継続と転職は守られています。止まっているのは「新しく外に扉を開ける」部分です。
入管庁が2026年8月10日に掲載した審査状況によると、外食業分野の在留資格認定証明書交付申請で交付が進んでいるのは、受付日が令和8年1月5日までの申請です。同じく在留資格変更許可申請のうち、上記の例外に当たらないもの(他の在留資格からの変更)は、受付日が令和8年4月12日までの申請が処理対象です。
💡 掲載日である8月時点で「1月5日受付分」を処理しているということは、7か月以上前の申請を審査しているということです。枠が埋まった分野では、審査の遅れがこの水準になり得るとお考えください。
なお、順番が来る前に在留期間が満了しそうな場合には、不法残留を防ぐため、特定活動(特定技能1号準備)への在留資格変更または同資格での在留期間更新(更新は1回限り)を案内する場合があるとされています。在留資格全般の平均的な審査日数については「在留審査処理期間|2026年最新の平均日数と注意点」もあわせてご覧ください。

ここからは当事務所による単純な試算です。国が公表した見通しではありません。
「残り枠 ÷ 年間増加数」で、いまのペースが続いた場合に枠を使い切るまでの年数を計算すると、次のようになります。
| 分野 | 残り枠 | 年間増加数 | 単純計算の目安 |
|---|---|---|---|
| 外食業 | 940 | 13,289 | すでに停止措置中 |
| 介護 | 47,016 | 24,968 | 約1.9年 |
| 飲食料品製造業 | 32,731 | 16,698 | 約2.0年 |
| 航空 | 2,097 | 985 | 約2.1年 |
| 建設 | 23,868 | 8,533 | 約2.8年 |
| 自動車整備 | 4,165 | 1,488 | 約2.8年 |
| 農業 | 29,250 | 9,115 | 約3.2年 |
| (19分野 合計) | 379,739 | 92,838 | 約4.1年 |
この試算の限界を、はっきり申し上げておきます。
その上で申し上げると、介護・飲食料品製造業・航空は、現在のペースが続けば数年のうちに枠の議論が現実味を帯びる水準にあります。とくに介護は年間の増加数が24,968人と全分野で最も多く、残り枠の消化が最も速い分野です。
もう一つ、あまり知られていない事実があります。受入れ見込数は、前回の設定より減っています。
令和6年3月に設定された特定技能の受入れ見込数は合計82万人でした。令和8年1月の改定でこれが80万5,700人になっています。国の資料にも「特定技能は、従来の受入れ見込数より減少」と明記されています。
分野ごとに見ると、前回から数字がある16分野のうち14分野で枠が減り、増えたのは工業製品製造業(17万3,300人→19万9,500人)と航空(4,400人→4,900人)の2分野だけです。主な減少分野は次のとおりです。
国の資料は、この見直しについて「更なる生産性向上、国内人材確保の取組を行うよう見直すなどして、精査した」と説明しています。枠が自動的に広がっていく制度ではないという点は、受入れ計画を立てるうえで押さえておきたいところです。
外国人ご本人にとって重要なのは、「自分の分野が今どの位置にいるか」で取るべき行動が変わるという点です。

企業側の実務では、次の5点をおすすめします。
なお、1号特定技能外国人の支援体制については令和9年4月1日施行の改正があり、登録支援機関や自社支援の要件が厳しくなります。あわせて「1号特定技能外国人への支援体制の要件改正」もご確認ください。
2027年4月に育成就労制度が始まると、受入れの枠は二階建てになります。
| 制度 | 受入れ見込数 | 分野数 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 805,700人 | 19分野 | 令和11年3月末まで |
| 育成就労 | 426,200人 | 17分野 | 令和9年4月開始・令和11年3月末まで |
| 合計 | 1,231,900人 | ― | ― |
育成就労は技能実習と異なり、技能実習では設定がなかった受入れ見込数が新たに設定された点が特徴です。つまり、育成就労にも枠があります。
実務上意識しておきたいのは、育成就労が「特定技能1号への育成」を目的とする制度である以上、育成就労を修了した方が特定技能1号へ移行する段階で、特定技能側の枠に入るという点です。外食業のように特定技能側が先に埋まっている分野では、移行のタイミングでこの問題に直面する可能性があります。育成就労の施行日前申請の取扱いについては「育成就労の施行日前申請」で解説しています。
Q1. 充足率が上限に達したら、その分野では誰も特定技能で働けなくなるのですか。
A. いいえ。停止措置は主に新規の在留資格認定証明書交付申請と、他の在留資格からの変更許可申請に掛かります。外食業の例では、在留期間更新は通常どおり審査され、同一分野内での転職に伴う申請も通常どおり審査されています。
Q2. 停止措置はいつ解除されますか。
A. 解除の時期は示されていません。停止措置は在留者数が受入れ見込数の範囲に収まるまでの措置と位置づけられていますが、外食業分野について具体的な解除時期の公表は確認できていません。
Q3. 受入れ見込数は増える可能性がありますか。
A. 受入れ見込数は5年ごとに示すこととされており、見直しの機会はあります。ただし令和8年1月の改定では、合計で82万人から80万5,700人へ減少しました。増えることを前提に計画を立てるのは避けたほうがよいと考えます。
Q4. 在留者数が受入れ見込数を超えることはあるのですか。
A. 制度上は「超えることが見込まれる場合」に停止措置を講じる仕組みであり、超えてから止めるのではなく、超える前に止める設計です。令和8年6月末時点の外食業は49,060人で、5万人の枠内に収まっています。
Q5. 自分の分野の最新の数字はどこで確認できますか。
A. 入管庁の特定技能制度のページで、「特定技能1号の分野ごとの受入れ見込数や在留者数等」として公表されています。本記事の数値は2026年9月4日更新版(令和8年6月末時点・速報値)に基づいています。
Q6. 特定技能2号にも枠はありますか。
A. 受入れ見込数が設定されているのは特定技能1号です。特定技能2号については人数の枠は設けられていません。
Q7. 枠が埋まりそうな分野で、申請を急ぐべきでしょうか。
A. 停止措置が取られた場合の処理は受付日順が原則とされているため、受付日が早いことは実務上有利に働きます。ただし、書類が整わないまま急いで申請しても、追加資料の求めで結局は時間を要します。準備の質と受付日の早さは両立させる必要があります。
最後に要点を整理します。
特定技能の採用は、要件を満たしているかどうかだけでは決まりません。分野の残り枠という、自社の努力では動かせない条件が絡みます。だからこそ、早い段階で見通しを立てておくことに意味があります。
当事務所では、分野ごとの状況を踏まえた受入れ計画の設計から、申請書類の準備、在留期限が迫っている場合の対応まで、一貫してお手伝いしています。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市