
出入国在留管理庁は2026年(令和8年)7月28日、「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」を公表しました。支援責任者・支援担当者の常勤化、事業所ごとの選任、支援担当者の人数の基準、支援責任者への養成講習という4点が柱です。
この改正は登録支援機関だけの話ではなく、自社で支援を行っている受入れ機関にも及びます。本記事では、根拠となる省令の条文まで下りて、企業の人事ご担当者と外国人ご本人の双方の視点から整理します。
政策全体の枠組みについては「第二次出入国在留管理基本計画|7年ぶり改定の要点」で扱っています。同計画が「2027年4月から登録支援機関の登録要件を厳格化する」とだけ予告していた項目について、本記事はその中身を各論として扱います。
出入国在留管理庁の公表によれば、今回の改正は「1号特定技能外国人に対する支援を一層適正に行うことができるよう」行われるもので、改正されたのは次の2つの省令です。
改正の実体は、法務省令第45号(令和7年9月30日)「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う法務省令の整備及び経過措置に関する省令」です。同省令の附則第1条は、施行日を改正法の施行の日である令和9年(2027年)4月1日と定めています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 法律 | 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号) |
| 省令 | 法務省令第45号(令和7年9月30日) |
| 公表 | 2026年7月28日「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について」 |
| 施行 | 2027年(令和9年)4月1日 |
2027年4月1日は育成就労制度の開始日でもあります。新しい制度が始まる日として語られることの多い日付ですが、同じ日に、受け入れる側の支援体制の基準も引き上げられます。
出入国在留管理庁は、支援に必要な体制に関する主な改正点を次の4つとして整理しています。
4点のうち、①②は「誰が支援するのか」、③は「その人の力量をどう担保するのか」、④は「1人が何人まで見てよいのか」を定めるものです。支援体制を人数と資格の両面から具体化した改正だと読めます。
省令の新旧対照条文を読むと、変更点はかなり明確です。改正前は、支援責任者について「役員又は職員の中から」選任すればよく、事業所ごとという限定も、常勤という限定もありませんでした。改正後は、常勤の役員又は職員の中から、事業所(事務所)ごとに1名以上の支援責任者を選任することが求められます。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2027年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 支援責任者の雇用形態 | 役員又は職員 | 常勤の役員又は職員 |
| 支援責任者の選任単位 | 法人・機関単位で足りる | 事業所(事務所)ごとに1名以上 |
| 支援担当者の雇用形態 | 役員又は職員 | 常勤の役員又は職員 |
| 支援担当者の選任単位 | 事業所(事務所)ごとに1名以上 | 事業所(事務所)ごとに1名以上(人数の基準が追加) |
| 支援担当者の人数の基準 | 規定なし | 50人・10機関の基準を超えること |
| 支援責任者への講習 | 規定なし | 過去3年以内の講習修了(当分の間は猶予) |
| 支援業務に従事できる者 | — | 支援責任者等に限定 |

複数の拠点で外国人を受け入れている企業、あるいは複数の事務所で支援業務を行っている登録支援機関にとって、「事業所ごと」への変更が実務上いちばん重い部分です。本社に1名置けば足りていた体制では、2027年4月以降は基準を満たさなくなる可能性があります。
改正後の条文では、支援責任者は次の事項を統括管理することとされている者、と定義されます。自社で支援を行う受入れ機関の場合は6項目、登録支援機関の場合は5項目で、支援計画の作成が入るかどうかが違います(作成は受入れ機関の役割のためです)。
📋 自社支援を行う受入れ機関の支援責任者が統括管理する事項(6項目)
登録支援機関の支援責任者は、上記のうち1(支援計画の作成)を除く5項目が統括管理事項とされています。
改正後の入管法施行規則は、支援責任者を「過去3年以内に、支援計画の実施に関する責任者に対する講習として法務大臣が告示で定めるものを修了し」た者と定義しています。支援省令の側も、同じ講習を引用しています。
ここで重要なのが経過措置です。法務省令第45号の附則第3条は、この講習に関する部分を、当分の間、読み替えて適用しない扱いにしています。出入国在留管理庁も「令和9年4月1日以降であっても、当分の間は、講習を修了していなくても差し支えありません」と明記しています。
⚠️「当分の間」は免除ではなく猶予です。附則による読み替えである以上、告示で講習が定められ、猶予が終われば要件として動き出します。また「過去3年以内」という期限が付いているため、一度受ければ終わりという性質のものでもありません。
この点は、出入国在留管理庁の資料の中でも2通りの書き方がされていて、はじめて読むと戸惑うところです。
言い方が違うだけで、内容は同じです。省令の条文(入管法施行規則)はさらに正確で、登録支援機関について、支援業務を行う事務所ごとに「1名以上であり、かつ、次のイ又はロに掲げる数のいずれか多い数を超える支援担当者」を選任していることを求めています。
つまり、2つの基準のうち厳しいほうで必要人数が決まります。
出入国在留管理庁のPDF資料は、「25機関から委託を受ける場合は3人の支援担当者が必要」「1号特定技能外国人120人を支援する場合は3人の支援担当者が必要」という例を挙げています。この考え方を当てはめると、次のようになります。
| 委託元の特定技能所属機関数 | 支援している1号特定技能外国人数 | 必要な支援担当者数(事務所ごと) |
|---|---|---|
| 5機関 | 30人 | 1人 |
| 9機関 | 49人 | 1人 |
| 10機関 | 50人 | 2人 |
| 15機関 | 40人 | 2人 |
| 25機関 | 100人 | 3人 |
| 20機関 | 120人 | 3人 |
| 40機関 | 250人 | 6人 |
条文は「超えていること」、PDF資料は「未満」という書き方です。したがって、ちょうど10機関・ちょうど50人のときは、支援担当者1人では基準を満たしません。10機関ちょうどでも2人、50人ちょうどでも2人が必要になる、という読み方になります。上の表で10機関・50人の行だけ数字が飛ぶのは、このためです。
事業計画を立てるときは、「1人で50人まで」ではなく「1人で49人まで」と考えておくと、想定外の追加採用を避けられます。
「支援体制の要件」と聞くと登録支援機関の話に見えますが、自社で支援を行っている特定技能所属機関にも及びます。ただし、掛かる基準の範囲が異なります。
🏢 登録支援機関の場合
🏭 自社支援を行う受入れ機関の場合
改正後の支援省令には、「外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに選任している支援担当者の数が、支援を担当する外国人の数を50で除して得た数を超えていること」という規定が新設されています。自社支援を続ける予定の企業は、拠点ごとにこの計算が成り立つかを確認しておく必要があります。
なお、支援計画の全部を登録支援機関へ委託した場合に受入れ機関の支援体制の基準を満たしたものとみなされる仕組み自体は、これまでどおりです。制度の全体像は「特定技能1号と2号の違い」もあわせてご覧ください。

法務省令第45号の附則第4条は、経過措置を2段構えで定めています。ここは登録支援機関にとって最重要の部分です。
| 立場 | 取扱い |
|---|---|
| 施行日までに登録を受けていない(これから登録支援機関になろうとする者) | 施行日前に登録の申請をした場合は、施行日前の要件で登録の可否が判断されます |
| 施行日前に登録を受けている登録支援機関 | 令和9年7月31日までに登録の期間が満了する場合は、施行日前に更新の申請をしたときに限り、施行日前の要件で更新を受けられます |
| 上記により従前の例によることとされた登録 | 当該登録の期間の満了の日までは、なお従前の例によります |
3行目が急所です。附則第4条第2項は、従前の例によれる期間を「当該登録の期間の満了の日まで」と区切っています。出入国在留管理庁も「その後に登録の更新申請をする際は、施行日後の要件を満たしていなければ登録の更新を受けることはできません」と説明しています。
登録支援機関の登録は5年間有効で、更新申請が必要です。したがって、施行日前に登録・更新を済ませたとしても、次の更新のタイミングでは新しい要件で判断されます。経過措置は時間を稼ぐためのもので、逃れるためのものではありません。
もう一点、見落とされやすい前提があります。出入国在留管理庁は、更新を希望する場合は「登録の有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに更新申請を行ってください」と案内しています。
つまり、経過措置を使えるかどうかは、いつ申請するかを自由に選べる話ではありません。満了日から自動的に決まる受付期間の中で、施行日前に申請できるかという話になります。
| 登録の有効期間満了日 | 更新申請の受付期間 | 施行日(2027年4月1日)前に申請できるか |
|---|---|---|
| 2027年4月30日 | 2026年10月1日〜2026年12月31日 | できます |
| 2027年5月31日 | 2026年11月1日〜2027年1月31日 | できます |
| 2027年6月30日 | 2026年12月1日〜2027年2月28日 | できます |
| 2027年7月31日 | 2027年1月1日〜2027年3月31日 | できます(受付最終日が施行日の前日) |
| 2027年8月31日 | 2027年2月1日〜2027年4月30日 | 経過措置の対象外です |
経過措置の区切りが「令和9年7月31日までに登録の期間が満了する場合」とされていることは、この受付期間のルールと整合しています。満了日が2027年7月31日の場合、受付期間の最終日は2027年3月31日で、施行日の前日にあたります。
⚠️ なお同庁は、登録有効期限が到来する月の3か月前の月末を経過して申請する場合は、有効期間内に更新が認められず申請手数料の返還も行えないため、新規の登録申請を行うことを強く推奨するとしています。受付期間を過ぎてからの巻き返しは利きにくい、という点にご注意ください。
経過措置は「今回はまだ古い基準で通ります」という猶予にすぎません。登録期間が満了する日から逆算して、常勤の人員と拠点ごとの体制をいつまでに整えるかを決めておくことが、実務上の備えになります。
外国人ご本人が直接何かの手続をする改正ではありません。ただ、支援を受ける側として知っておくと役立つ点があります。
転職や勤務先の変更を検討している方は、転職先が支援体制を備えているかも判断材料になります。在留期間の管理については「在留期間更新はいつ申請するか」もご参照ください。
企業側の論点は、次の3つに整理できます。
複数の事業所で1号特定技能外国人を受け入れている場合、事業所ごとに常勤の支援責任者と支援担当者を置けるかが最初の確認事項です。兼務は認められていますが(支援責任者が支援担当者を兼ねること)、非常勤スタッフに支援業務を任せている体制は見直しが要ります。
支援担当者1人あたり50人という基準は、増員計画の制約になります。拠点の受入れ人数を増やす計画があるなら、支援担当者の増員をセットで検討しておく必要があります。
要件が具体化されたことで、「自社支援を続けるコスト」と「登録支援機関へ委託するコスト」の比較がしやすくなりました。委託を選ぶ場合は、委託先の登録支援機関が2027年4月以降の要件を満たせるか(とくに事務所ごとの体制と支援担当者数)を、契約更新の前に確認しておくと安全です。
なお、2027年4月からは支援の委託先を登録支援機関に限定する方向も示されています。育成就労制度の準備と時期が重なるため、「育成就労計画の施行日前申請」もあわせてスケジュールを組むことをおすすめします。
📅 2026年内にやっておきたいこと
📅 2027年3月末までにやっておきたいこと
A. 出入国在留管理庁は「支援責任者が支援担当者を兼務することは可」と明記しています。ただし、その場合も常勤であること、事業所(事務所)ごとに選任されていることは求められます。
A. 施行日は2027年4月1日です。ただし登録支援機関については経過措置があり、登録の期間の満了の日までは従前の例によることができる場合があります。自社支援を行う受入れ機関については、この登録に関する経過措置は当てはまりません。個別の判断は専門家にご確認ください。
A. 講習は「法務大臣が告示で定めるもの」とされており、内容の公表が前提となります。出入国在留管理庁は、令和9年4月1日以降であっても当分の間は講習を修了していなくても差し支えないとしています。公表され次第、計画的に受講するのがよいでしょう。
A. 条文は「事業所ごと」「事務所ごと」に選任することを求めています。会社全体の合計人数ではなく、拠点単位で基準を満たすかどうかを確認する必要があります。
A. 条文は「50で除して得た数を超えていること」、資料は「1人当たり50人未満」という書き方です。この読み方によれば、50人ちょうどの場合は1人では足りないことになります。余裕を持った体制を検討してください。
A. 施行日前に登録を受けている登録支援機関で、令和9年7月31日までに登録の期間が満了する場合は、施行日前に更新申請をしたときに限り、従前の要件で更新を受けられます。ただしその効力は登録の期間の満了の日までです。次の更新では新しい要件で判断されます。
A. 拠点が1か所で、支援対象が数名という規模であれば、人数の基準(50人・10機関)に引っかかることは考えにくいでしょう。一方で、常勤要件と支援業務の担い手の限定は規模を問わず及びます。総務担当者が兼務で支援を行っている企業ほど、確認しておく価値があります。
今回の改正は、これまで比較的抽象的だった「支援体制」を、常勤・拠点単位・人数・講習という4つの具体的な物差しに置き換えるものです。制度の趣旨は支援の質の確保にあり、適正に支援を行ってきた機関にとっては、体制を明文化して整える機会でもあります。
企業と登録支援機関にとっての実務的な結論はシンプルです。2027年4月1日までに、①事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者を置けるか、②支援担当者1人あたりの人数が基準に収まるか、この2点を拠点単位で点検すること。そして登録支援機関は、登録の期間の満了日から逆算して準備を進めることです。
外国人ご本人にとっては、支援の担い手がはっきりし、1人の担当者が抱える人数にも基準ができるという意味で、支援を受けやすくなる方向の改正といえます。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市