
海外の役所や学校、取引先から「日本の書類に外務省の証明をもらってきてください」と言われて、はじめてアポスティーユや公印確認という言葉を知る方がほとんどです。名前が似ているうえ、どちらが必要かは提出先の国によって変わります。
本記事では、外務省が公開している手続案内をもとに、両者の違い・どちらが必要か・費用と日数・つまずきやすい落とし穴を整理します。あわせて、2026年6月1日以降に発行されたアポスティーユから、真正性をオンラインで確認できるようになった点にも触れます。日本で暮らす外国人ご本人、海外にお住まいの日本人の方、そして海外取引のある企業のご担当者に向けた内容です。
先に要点をまとめます。
つまり、最初にすべきことは提出先に「アポスティーユか、公印確認+領事認証か」を確認することです。ここを飛ばすと、取り直しになります。
外務省の説明を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 公印確認 | アポスティーユ |
|---|---|---|
| 根拠 | 外務省による証明 | ハーグ条約(1961年10月5日)に基づく付箋による証明 |
| 提出先国 | ハーグ条約の締約国以外を含む | ハーグ条約の締約国のみ |
| 領事認証 | その後に駐日大使館・(総)領事館の領事認証が必要 | 領事認証があるものと同等として扱われる |
| 手数料 | 無料 | 無料 |
| 証明の言語 | 英語 | 英語 |
| 有効期限 | 定めなし(提出先が独自に期限を設ける場合あり) | 定めなし(同左) |
いずれも証明しているのは、公文書に押された公印の印影です。外務省のよくあるご質問では、これは権限のある公務員・公的機関が発行した文書であるという作成の真正性であって、その文書の内容の真正性を担保するものではないと説明されています。ここは誤解されやすい点です。
外務省が公開しているハーグ条約の締約国(地域)一覧には、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、大韓民国、中華人民共和国、香港特別行政区、フィリピン、インドネシア、インド、シンガポール、ブラジルなどが掲載されています。
一方で、この一覧に掲載されていない国もあります。掲載がない国へ提出する公文書の証明は、外務省の説明ではすべて公印確認となり、その後に駐日大使館・(総)領事館の領事認証が必要です。同じ書類でも、提出先の国が変わるだけで工程が1つ増えることになります。
💡 締約国の一覧は変わり得ます。実際に申請する前に、外務省の最新の一覧と、提出先または駐日大使館・(総)領事館の指示を必ずご確認ください。なお外務省は、締約国であっても領事認証が必要となり、公印確認を求められる場合があるとしています。
実務上おさえておきたい新しい点があります。外務省のよくあるご質問では、令和8年(2026年)6月1日以降に発行されたアポスティーユについて、次のように案内されています。
用紙に記載されているQRコードまたはURLから、アポスティーユ真正性確認検索サイトにアクセスし、「認証番号」、「認証日」及び「アクセスコード」を入力する
外務省「よくあるご質問」(令和8年6月1日)
これは、提出先の外国機関が「この付箋は本物か」を自分で確かめられるようになった、という意味です。実務上は次の3点に注意してください。
古い書類を手元に保管している場合、提出先がオンライン確認を前提にしていると話が噛み合わないことがあります。いつ発行されたものかを先に確認しておくと安全です。

ここが最もつまずきやすいところです。外務省が証明できるのは、次の3つをすべて満たす公文書とされています。
加えて、コピーには証明できません。ホチキスを外したり加筆した文書も受け付けられません。署名のみ、または個人の印鑑のみが押された文書も対象外です。
外務省が示している発行機関の例を整理すると、次のようになります。
| 発行機関の例 | 公印確認 | アポスティーユ |
|---|---|---|
| 国等の機関(登記簿謄本、犯罪経歴証明書、居住者証明書など) | ○ | ○ |
| 地方自治体(戸籍謄(抄)本、住民票、納税証明書など) | ○ | ○ |
| 公証人認証書 | ○ | ○ |
| 特殊法人、独立行政法人 | ○ | × |
| 公立の高等学校・中学校・小学校 | ○ | ○ |
| 国公立大学法人・私立大学法人が発行する書類 | ○ | × |
| 私立の高等学校・中学校・小学校 | ○ | × |
| 私立専修学校(専門学校)、各種学校 | × | × |
| 財団法人・社団法人・公益法人、商工会議所発行の書類 | × | × |
| 国公立病院・赤十字病院(赤十字は健康診断書のみ) | ○ | ○ |
| 国立大学法人の附属病院、独立行政法人国立病院機構の病院 | ○ | × |
| 私立病院、医療法人の病院 | × | × |
留学のために大学の卒業証明書へアポスティーユを求められている方は要注意です。外務省は、大学法人化した国公立大学の発行する書類および私立大学の書類にはアポスティーユを付与することができないとしています。この場合は、公証役場で公証人の認証を受け、その公証人が所属する(地方)法務局長による公証人押印証明を得たうえで申請する、という回り道が必要になります。
なお、法人に移行していない国公立大学が発行した証明書や、法人移行前に発行された学位記などはアポスティーユの対象になるとされています。
会社の定款、決算書、在職証明書、推薦状、商工会議所発行の書類などは私文書にあたり、外務省では直接証明できません。公証役場で公証人の認証を受け、その公証人が所属する(地方)法務局長による公証人押印証明を得ることで、公証人が認証した公文書として外務省の証明を取得できます。
パスポートや在留カードについても、外務省は原本に認証を付けることは難しいとしており、提出先国に確認のうえ、必要であれば写しを公証役場で認証してもらう流れが案内されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手数料 | 無料(窓口・郵送とも) |
| 郵送料 | 申請者の負担(返送用封筒を同封) |
| 郵送申請の所要 | 不備がなければ受領した3開庁日後に発送(例:月曜受付→木曜発送) |
| 窓口申請の所要 | 原則郵送での交付。3開庁日後に発送/窓口受取は4開庁日後以降 |
| 申請窓口 | 外務本省(東京)・大阪分室の2か所 |
| 海外からの郵送申請 | 受け付けていない |
| 返送先 | 日本国内のみ(駐日大使館・(総)領事館宛および海外へは送付しない) |
外務省は可能な限り郵送での申請を求めています。また、1度に10通以上の証明申請がある場合は、混雑状況によって通常の処理日数より時間を要することがあるとされています。原則として早期発給には対応していないとされているため、日程には余裕を持たせてください。
📮 返送用封筒は追跡可能なレターパックが推奨されています。郵送途中の紛失や普通郵便の不達について外務省は責任を負わないとされているため、追跡番号は差し出し時に必ず控えておきましょう。
書類の種類によって、たどる道が変わります。
戸籍謄本・住民票・登記簿謄本など
在職証明書・委任状・会社書類など
北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県の公証役場では、申請者からの要請があれば、公証人の認証・法務局の公証人押印証明・外務省の公印確認またはアポスティーユを一度に取得できます。この場合、法務局や外務省へ出向く必要はありません(有料のサービスです)。
また、埼玉、茨城、栃木、群馬、千葉、長野および新潟の7県の公証役場では、公証人の認証と法務局長による公証人押印証明を一度に取得できるとされています。その後の公印確認・アポスティーユは、外務省での手続になります。
上記以外の地域にお住まいの方は、公証役場 → 法務局 → 外務省(郵送)と段階を踏むことになります。宮崎県にお住まいの方もこの流れです。外務省への申請自体は郵送でできますので、遠方であることは支障になりません。ただし工程が分かれるぶん、日数の見積もりは長めに取ってください。
⚠️ 提出先機関が、日本外務省の公印確認ではなく現地にある日本大使館・総領事館の証明を求めている場合は、ワンストップサービスを利用せず、東京(横浜地方)法務局で公証人押印証明を取得するよう案内されています。外務省で公印確認・アポスティーユを受けた書類に、現地の日本大使館・総領事館が重ねて証明することはできません。順序を間違えると取り直しになる典型例です。

日本で暮らす外国人の方が本国の手続で日本の公文書を使う場面、また海外にお住まいの日本人の方が日本の書類を現地に出す場面で、この手続が必要になります。
海外在住のご家族の手続を、日本にいるご親族が引き受けるケースは実際によくあります。誰が申請者になるのか、返送先をどこにするのかを最初に決めておくと、やり直しを避けられます。
海外の子会社設立、現地での入札や登録、駐在員の派遣手続などで、登記事項証明書・納税証明書・在職証明書などに証明を求められることがあります。
なお外務省の案内では、弁護士・行政書士・司法書士など、依頼人に代わり諸手続きを行うことが認められている者が申請する場合も委任状を省略できるとされています(資格が分かる顔写真付き身分証明書の写し等の同封が必要)。書類の点数が多い案件では、専門家に一括して依頼する方法もあります。
Q. 手数料はいくらですか。
A. 外務省の証明(公印確認・アポスティーユ)の手数料は無料です。郵送申請の場合、返送を含む郵送料は申請者の負担になります。公証役場の認証やワンストップサービスは別途有料です。
Q. 発行から3か月を過ぎた書類でも証明してもらえますか。
A. 原則として受け付けられていません。ただし外務省は、学位記など一度しか発行されない書類で、日付の古い書類を提出先が求めている場合は認証することができるとしています。事前に提出先へご確認ください。
Q. 外務省で翻訳もしてもらえますか。
A. 外務省では翻訳を行っていません。提出先によって、申請者自身の翻訳でよい場合、翻訳に公証人の認証と外務省の証明まで必要な場合、翻訳者が指定されている場合など取扱いが分かれます。提出先または駐日大使館・(総)領事館にご確認ください。
Q. アポスティーユに有効期限はありますか。
A. 外務省の証明自体に有効期限はないとされています。ただし、提出先や駐日外国大使館・(総)領事館が独自に期限を定めている場合があるため、提出時期は早めに調整してください。
Q. 東京の官公署が発行した書類を、大阪の窓口で申請できますか。
A. できるとされています。ご都合のよい窓口に申請してかまいません。
アポスティーユと公印確認は、手数料が無料で、郵送でも申請できる手続です。難しいのは金額や申請そのものではなく、「どちらが必要か」「その書類はそもそも対象か」「順序はどれが先か」という入口の判断です。
海外の手続には、たいてい期限があります。入口の判断を1回で正しく行うことが、結果的にいちばんの近道です。ご不明な点は、着手前にご相談ください。
当事務所では、在留手続に加えて、海外へ提出する日本の公文書の証明(アポスティーユ・公印確認)に関するご相談も承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や取扱いは今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、外務省の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市