
在留資格「特定技能」には、特定技能1号と特定技能2号の2つがあります。名前は似ていますが、在留できる期間の上限、家族を呼べるかどうか、受入企業が支援を行う義務があるかどうかまで、実務上の扱いは大きく異なります。「1号で5年働いたあと、どうなるのか」「2号に進めば家族を呼べるのか」——外国人ご本人からも、受入企業の人事ご担当者からも、最も多くいただく質問のひとつです。この記事では、1号と2号の違いを比較表で整理したうえで、対象分野(1号19分野/2号11分野)、1号の取得ルート、2号への進み方、企業側に生じる義務までを、出入国在留管理庁の一次情報にもとづいて行政書士が解説します。
なお、特定技能の対象分野に新たに加わる3分野については「特定技能に新3分野追加|リネン・物流倉庫・資源循環」で、2027年4月に始まる新制度については「育成就労制度とは|技能実習との違い」で、それぞれ詳しく解説しています。
特定技能は、人材の確保が難しい産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を即戦力として受け入れるために2019年(平成31年)に創設された在留資格です。入管法(出入国管理及び難民認定法)第2条の5などにもとづき、法務大臣が指定する日本の機関との雇用契約にもとづいて働くことが前提になります。
出入国在留管理庁の説明では、2つの区分は次のように整理されています。
つまり、両者は「別の制度」ではなく、求められる技能水準が違う2つの段階です。1号は「現場で一人前に働ける水準」、2号は「現場を任せられる熟練の水準」とイメージするとわかりやすいでしょう。
1号と2号は上下関係のある2段階です。多くの方は1号からスタートし、経験と試験を経て2号を目指すことになります。
まず、実務で効いてくる違いを一覧にまとめます。ここだけ押さえれば全体像がつかめます。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 🎓 求められる技能水準 | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能 | 熟練した技能 |
| ⏳ 在留期間の決定 | 法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲) | 3年、2年、1年又は6月 |
| 📅 通算の上限 | 通算で原則5年以内 | 通算の上限は設けられていない(更新可能) |
| 👨👩👧 家族の帯同 | 認められない(例外あり・第5章参照) | 認められる(在留資格「家族滞在」) |
| 🤝 受入企業による支援 | 1号特定技能外国人支援計画の作成・実施が必要 | 支援計画の対象外 |
| 🏭 対象分野(2026年9月現在) | 19分野 | 11分野 |
| 🗾 日本語能力の確認 | 原則として日本語試験に合格(免除ルートあり) | 分野ごとの要件による |
📎 とくに重要なのが、通算5年という1号の上限です。出入国在留管理庁は、「特定技能1号」で在留できる期間は通算で原則5年以内である必要があり、申請人の通算在留期間によっては希望する在留期間が付与されない場合がある、と案内しています。つまり1号のままでは、いつか在留期間の終わりが来るということです。
一方の2号には、この通算上限が設けられていません。要件を満たして更新を続けられれば、長期にわたって日本で働き続ける道が開かれます。この差が、1号と2号を分ける最大のポイントです。
「自分の仕事は特定技能の対象なのか」は、ご本人・企業の双方にとって最初の関門です。出入国在留管理庁の資料によると、特定産業分野は2026年9月時点で19分野です(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は令和8年1月に追加されました)。分野の一覧は次のとおりです。
介護/ビルクリーニング/リネンサプライ/工業製品製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/自動車運送業/鉄道/物流倉庫/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業/林業/木材産業/資源循環
ビルクリーニング/工業製品製造業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 🔢 数の違い | 1号19分野に対し、2号は11分野。1号にあって2号にない分野が存在します。 |
| 🧑⚕️ 介護分野の扱い | 出入国在留管理庁は「介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格『介護』があることから、特定技能2号の対象分野とはしていません」と説明しています。介護で長期に働く道は、在留資格「介護」への移行が想定されています。 |
| 🆕 2号の分野拡大の経緯 | 2号はもともと建設・造船・舶用工業の2分野のみでしたが、令和5年6月9日の閣議決定でビルクリーニング、工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野が追加されました。 |
| 🚚 新3分野 | リネンサプライは既に受入れ可能分野に入っています。物流倉庫・資源循環は制度整備が進められている段階です。 |
⚠️ 分野ごとに従事できる具体的な業務の範囲は「特定の分野に係る要領別冊」で定められています。「その分野に該当しそうだから大丈夫」と早合点せず、実際に予定している業務が別冊の業務区分に当てはまるかを確認することが大切です。

特定技能1号を取得する道は、大きく2つに分かれます。
海外にお住まいの方も、日本に留学などで在留中の方も、この2つに合格すれば1号の申請が可能です。
出入国在留管理庁は、「外国人が技能実習2号を良好に修了している場合には原則として技能実習の職種・作業にかかわらず日本語試験が免除されます。さらに、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は技能試験も免除されます」と案内しています。
💡 企業の人事ご担当者へ:技能実習生として3年間育ててきた方を、特定技能1号として継続雇用するケースは実務上とても多いパターンです。職種・作業の関連性が認められれば試験免除で移行できるため、育成の連続性を保ちやすくなります。
生活面で最も大きな違いが、家族の帯同です。
ただし、1号にもいくつかの人道上の配慮による例外が案内されています。出入国在留管理庁によれば、次のような場合には在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があります。
📌 いずれも「認められる場合があります」という運用であり、当然に認められるものではありません。ご家族の在留については、個別の事情を踏まえて早めに確認しておくことをおすすめします。なお、家族滞在の在留資格で在留する方の就労制限については「家族滞在ビザの要件と就労制限」で解説しています。
企業側から見た1号と2号の最大の違いが、1号特定技能外国人支援です。特定技能1号の外国人を受け入れる機関は、職業生活・日常生活・社会生活の支援を計画に沿って行う義務を負います。出入国在留管理庁が示す義務的支援は次の10項目です。
| # | 義務的支援の項目 |
|---|---|
| 1 | 事前ガイダンス |
| 2 | 出入国する際の送迎 |
| 3 | 住居確保・生活に必要な契約支援 |
| 4 | 生活オリエンテーション |
| 5 | 公的手続等への同行 |
| 6 | 日本語学習の機会の提供 |
| 7 | 相談・苦情への対応 |
| 8 | 日本人との交流促進 |
| 9 | 転職支援(人員整理等の場合) |
| 10 | 定期的な面談・行政機関への通報 |
💰 これらは義務的な支援であり、実施に要する費用は受入れ機関が負担しなければならないとされています。外国人本人に負担させることはできません。
自社だけで支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関へ委託する方法があります。出入国在留管理庁は「登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます」と説明しています。登録支援機関の登録は5年間有効で、更新申請が必要です(申請手数料は新規登録28,400円、登録更新11,100円)。
一方、特定技能2号の外国人は支援計画の対象外です。熟練した技能を持ち、自立して生活できる水準にあるという位置づけのためです。企業にとっては、2号への移行は支援コストの面でも意味を持ちます。

2号へ進むには、原則として次の2つを満たす必要があります。
具体的な要件は分野ごとに大きく異なります。たとえば建設分野では班長としての実務経験が求められるなど、「試験に受かれば自動的に2号になれる」わけではありません。自分の分野で何が求められるかを早い段階で確認し、逆算して経験を積むことが重要です。
⏰ とくに意識したいのが、1号の通算5年という時間の制約です。5年の在留の中で、2号の試験と実務経験の要件を満たす必要があります。「気づいたら残り1年だった」という事態を避けるため、企業側もキャリアパスを設計しておくことが望まれます。
なお、2027年4月に始まる育成就労制度は、技能実習に代わる制度として「人材育成」と「人材確保」を目的に掲げ、育成就労→特定技能1号→特定技能2号というキャリアパスを想定しています。制度の全体像は「育成就労制度とは|技能実習との違い」をご覧ください。
Q1. 特定技能1号で5年働いたら、その後はどうなりますか?
A. 1号の通算在留期間は原則5年以内とされています。5年に達した後も日本で働き続けるには、特定技能2号へ移行するか、他の在留資格(技術・人文知識・国際業務、介護など)の要件を満たして変更するといった道を検討することになります。何もしなければ在留を続けることはできません。
Q2. 特定技能2号になれば永住申請もできますか?
A. 2号には通算在留期間の上限がないため、在留を継続していくことで永住許可の要件のひとつである在留歴を積み上げやすくなります。ただし永住許可には素行、独立生計、国益適合など複数の要件があり、2号であれば当然に許可されるわけではありません。詳しくは「永住許可の要件を行政書士が解説」をご覧ください。
Q3. 介護の分野には特定技能2号がないと聞きました。長く働けないのですか?
A. 介護分野が2号の対象になっていないのは、専門的・技術的分野の在留資格「介護」が別に用意されているためです。介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ変更する道が想定されています。
Q4. 特定技能1号で働きながら家族を日本に呼ぶことはできませんか?
A. 原則として1号での家族帯同は認められていません。ただし、日本で1号の方同士の間に生まれた子どもや、「留学」から1号へ変更する際に既に「家族滞在」で在留している配偶者・子については、人道上の配慮から「特定活動」への変更が認められる場合があります。個別事情の確認が必要です。
Q5. 支援は登録支援機関に委託しなければいけませんか?
A. いいえ。要件を満たせば受入れ機関が自社で支援を行うこともできます。ただし支援体制の基準(支援責任者・支援担当者の選任、実施可能な体制など)を満たす必要があります。全部を登録支援機関に委託した場合は、支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
Q6. 特定技能で転職はできますか?
A. 技能実習と異なり、特定技能では同一の業務区分内などの範囲で転職が可能とされています。ただし転職の際は在留資格変更許可申請などの手続きが必要で、無届けで職場を変えることはできません。手続きを踏まずに働くと在留資格上の問題につながるため、事前にご相談ください。
特定技能1号と2号の違いは、単なる制度の区分ではなく、日本でどのくらい働き、家族とどう暮らすかという将来設計に直結します。押さえるべきポイントは3つです。
そして、この3つはいずれも「あとから慌てて対応する」には向かない事柄です。1号での在留が始まった時点から、2号を見据えた試験・実務経験の計画を立てておくことが、5年後の選択肢を広げます。企業にとっても、育てた人材に長く活躍してもらうための投資になります。
分野の該当性の判断、支援体制の設計、2号移行のスケジューリングなど、実務では個別の事情に応じた検討が欠かせません。判断に迷われたときは、経験豊富な行政書士にご相談ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や運用は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市