
日本で長く安定して暮らしたい方にとって、「永住者」の在留資格は大きな目標です。永住が許可されると、在留期間の更新が不要になり、就労の制限もなくなります。一方で、許可のハードルは在留資格の中でも高く、原則として10年以上の在留や、税金・社会保険料の適正な納付など、複数の要件を満たす必要があります。本記事では、永住許可の3つの法律上の要件と必要書類・申請の流れを、出入国在留管理庁(isa.moj.go.jp)の一次情報に基づいて行政書士がわかりやすく整理します。あわせて、2026年10月1日に施行された手数料改定(永住20万円)と、令和9年に施行される永住取消事由の拡大という最新の動きも解説します。
「永住者」は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)に定められた在留資格の一つです。許可を受けると、次のような大きなメリットがあります。
よく似た制度に「帰化」がありますが、両者は根本的に異なります。永住は外国籍のまま日本に無期限に在留できる在留資格であるのに対し、帰化は日本国籍を取得する手続きです。帰化すると選挙権などを得る一方、原則として元の国籍を失います。「日本国籍まではこだわらないが、在留の安定を得たい」という方に選ばれるのが永住です。
📌 永住と帰化の違い(ざっくり):永住=外国籍のまま在留を安定させる/帰化=日本国籍を取得する。本記事は「永住者」の在留資格(永住許可申請)について解説します。
入管法上、永住許可を受けるには、原則として次の3つの要件をすべて満たす必要があります(入管法第22条)。出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」が判断の基準を示しています。
| 要件 | 意味(ガイドラインの考え方) |
|---|---|
| ① 素行が善良であること | 法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を送っていること。 |
| ② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能があること | 日常生活で公共の負担にならず、資産や技能などから見て将来にわたり安定した生活が見込まれること(原則として世帯単位で判断)。 |
| ③ その者の永住が日本国の利益に合すること(国益適合) | 原則10年在留などの在留歴、公的義務の履行、公衆衛生上の観点などを総合的に満たすこと。 |
なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者やお子さんなどは、①素行善良と②独立生計の要件が一部緩和・適用除外となる場合があります。次の第3章では、実務で最もつまずきやすい「③国益適合」のうち在留期間の要件を詳しく見ていきます。
国益適合要件の中心が、在留期間に関するルールです。ガイドラインは、原則として次のように定めています。
ここで重要な注意点があります。「就労5年」を数える際、在留資格「技能実習」および「特定技能1号」で在留していた期間は、この5年には算入されないとされています。技能実習や特定技能1号として長く働いてきた方でも、その期間は「就労5年」にカウントされない点に注意が必要です。
一方で、一定の身分・地位の方には、10年の在留期間が短縮される特例が設けられています。主なものを整理します。
| 対象 | 在留期間の特例(原則) |
|---|---|
| 日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上在留していること。 |
| その実子・特別養子 | 引き続き1年以上日本に在留していること。 |
| 「定住者」の在留資格の方 | 定住者の許可後、引き続き5年以上在留していること。 |
| 難民認定・補完的保護対象者 | 認定後、引き続き5年以上在留していること。 |
| 高度専門職・高度人材 | ポイント70点以上で3年以上、80点以上で1年以上の在留など(ポイントに応じた特例)。 |
「自分はどの区分に当てはまり、いつ申請できるのか」は、在留歴や家族構成によって変わります。判断に迷う場合は、申請時期を含めて専門家に確認すると安心です。

近年の永住審査で特に重視されているのが、公的義務を適正に履行しているかという点です。国益適合要件の一部として、ガイドラインは次の義務の適正な履行を求めています。
ここで見落としがちなのが「納期限」です。ガイドラインは、申請の時点で納付済みであっても、本来の納期限内に納付されていなかった場合は、原則として消極的に評価するとしています。つまり「後でまとめて払ったから大丈夫」とは限りません。日頃から期限内にきちんと納めておくことが、永住許可への近道になります。
🔎 永住審査では「払ったかどうか」だけでなく「期限内に払ったか」まで見られます。年金・保険料・税金の“うっかり遅延”が不許可の原因になりやすい点に注意してください。
なお、ガイドラインには、公的年金・公的医療保険の納付に関して令和9年3月31日までの経過措置に関する注記もあります。取扱いの細部は改訂され得るため、申請前には最新のガイドライン本文を確認することをおすすめします。
永住許可申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(宮崎県内にお住まいの方は福岡出入国在留管理局 宮崎出張所など)へ申請します。必要書類は在留資格や身分関係によって細かく異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
申請から結果までの標準処理期間は、おおむね4か月とされていますが、実際には半年以上かかることもあります。もし不許可となった場合でも、理由を確認したうえで、要件を整えて再申請することは可能です。ただし、不許可理由の分析には専門的な視点が必要になります。
📅 永住許可申請 準備のステップ

2026年に永住を検討する方が必ず押さえておきたいのが、在留手続の手数料改定です。改正入管法(令和8年法律第32号)が2026年(令和8年)6月5日に公布され、実際の金額を定める改正入管法施行令(令和8年政令第268号)も同年8月28日に公布されました。施行は2026年10月1日です。
| 手続き | 改定前(2026年9月30日受付分まで) | 改定後(2026年10月1日〜) |
|---|---|---|
| 永住許可申請 | 1万円 | 20万円(窓口申請のみ) |
| 在留資格変更・在留期間更新 | 6,000円 | 在留期間に応じ1万〜7万5,000円(オンラインは割引あり) |
永住許可申請は、改定前の1万円から20万円に引き上げられました。適用は2026年(令和8年)10月1日以後に受け付ける申請分からです。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても改定前の1万円です(基準になるのは申請の日であって、許可の日ではありません)。
⚠️ 「30万円」と「20万円」は別のものです:改正後の入管法第67条第1項が定める30万円は法律上の上限額であって、実際に納付する額ではありません。実際に納付するのは政令が定める20万円です(改正入管法施行令=令和8年政令第268号)。手数料改定の詳細は、当事務所の解説記事「在留手数料10月1日改定|9月30日までは旧料金」もあわせてご覧ください。
2026年10月1日以後に受け付けられた永住許可申請は、手数料が200,000円になりました。費用が上がったぶん、要件が固まらないまま申請して不許可になったときの負担も大きくなります。ご自身の準備状況とあわせて判断しましょう。
もう一つの重要な動きが、令和6年の入管法改正による永住者に対する在留資格取消事由の拡大です。この改正は令和6年6月21日に公布され、令和9年(2027年)4月1日から施行されることが政令で定められています(育成就労制度の創設と同じ日の施行です)。
改正により、永住者について新たに次のような場合が在留資格の取消事由として加わります。
この改正は「永住者だから何があっても安泰」ではなくなることを意味します。とはいえ、過度に不安になる必要はありません。日頃から税金・社会保険料を期限内に納め、住居地変更などの届出をきちんと行っていれば、通常は問題になりません。永住取得後も、公的義務の適正な履行を続けることが大切です。
👤 永住を目指す方が、今日から意識しておきたいポイントを整理します。
🏢 外国人材を雇用する企業にとっても、従業員の永住取得は重要なテーマです。
外国人材の定着を考えるうえで、永住という選択肢を従業員が持てる環境づくりは、企業の採用力・定着力の底上げにつながります。
目的によって異なります。永住は外国籍のまま在留を安定させる制度、帰化は日本国籍を取得する制度です。国籍の変更を望まない場合は永住、日本国民としての権利(選挙権など)を得たい場合は帰化が選択肢になります。どちらが適切かは、ご事情に応じて検討する必要があります。
「引き続き10年在留」の年数には含まれますが、そのうち「就労資格で5年以上」を数える際には、技能実習および特定技能1号の在留期間は算入されないとされています。これらの資格から永住を目指す場合、就労資格(例:技術・人文知識・国際業務や特定技能2号など)への移行後の在留年数が重要になります。
一度の遅延で直ちに不可能になるわけではありませんが、ガイドラインは納期限内に納付されていない場合を原則として消極的に評価するとしています。今後は期限内納付を徹底し、状況によっては一定期間を空けてから申請するなど、個別の判断が必要です。専門家にご相談ください。
はい。改正入管法施行令(令和8年政令第268号・2026年8月28日公布)により、永住許可申請の手数料は2026年10月1日から20万円になりました。適用されるのは10月1日以後に受け付けられた申請で、2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても1万円です。なお、法律(入管法第67条第1項)が定める30万円は上限額であって、実際に納付する額は20万円です。
そうとは限りません。令和6年の改正で、令和9年(2027年)4月1日から、故意の公租公課の不払いなどが永住者の在留資格取消事由として加わります。ただし、日頃から税金・社会保険料を適正に納め、必要な届出を行っていれば、通常は心配ありません。
はい。当事務所は宮崎市を拠点に、在留資格に関するご相談を承っています。在留歴の確認から必要書類の準備、申請書の作成までサポートします。まずは無料相談をご利用ください。
永住許可は、原則10年の在留歴や3つの法律上の要件(素行善良・独立生計・国益適合)を満たす必要がある、ハードルの高い在留資格です。特に近年は、税金・社会保険料の期限内納付や届出義務の履行が重視されています。加えて2026年は、手数料改定(永住20万円・2026年10月1日施行)や、令和9年施行の永住取消事由の拡大など、見逃せない動きが続きます。要件を満たす時期の見極めと、日頃からの公的義務の適正な履行が、永住取得と取得後の安定のカギになります。ご自身のケースで判断に迷うときは、早めに専門家へご相談ください。
🧭 宮崎で永住申請を進める方へ=要件・必要書類・福岡出入国在留管理局 宮崎出張所への申請の流れを1ページにまとめた「宮崎で永住申請」もあわせてご覧ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市