
2026年6月14日、在留カードをめぐる制度が大きく動きました。在留カードとマイナンバーカードを1枚にできる「特定在留カード」の運用が始まり、同じ日から新しい様式の「第二世代在留カード」の交付も開始されています。さらに、真偽をスマートフォンで確認できる「在留カード等読取アプリ」も更新されました。名前が似ていて混同しやすいこれら3つを、交付開始から約1か月が経った今、外国人ご本人・企業の人事ご担当者の双方の視点で整理します。
まず全体像を押さえます。2026年6月14日を境に、在留カードに関して大きく3つの動きが同時に始まりました。混同を避けるため、それぞれの位置づけを分けて理解することが重要です。
🪪 第二世代在留カード
在留カードそのものの新様式。偽変造対策を強化した新しいカードで、更新・切替などの機会に順次移行します。
🆔 特定在留カード
在留カード(特別永住者は証明書)とマイナンバーカードの機能を1枚に一体化した、希望者向けの任意のカード。
📱 在留カード等読取アプリ
ICチップを読み取り、券面内容や失効情報を確認できる公式アプリ。新様式対応のため6月に更新。
つまり、「新しくなったカード(第二世代)」と「1枚にまとめられる任意のカード(特定在留カード)」と「確認する道具(読取アプリ)」は、それぞれ別の話です。ここを分けて考えると、以降の説明がすっきり理解できます。
📅 2026年6月14日(日):特定在留カード等の運用開始/第二世代在留カードの交付開始
📅 2026年6月15日(月):地方出入国在留管理局での特定在留カード等交付申請の受付開始
📅 2026年9月(予定):読取アプリ改修版(在留期間・許可の種類・許可年月日の表示追加)
なお、特定在留カードの制度概要や申請の流れは既存記事で詳しく解説しています。本記事では「交付開始後の実務」と「3つの違い」に絞ります。
最もよくある混同が、「特定在留カード」と「第二世代在留カード」の取り違えです。両者は目的も、取得するかどうかの性質も異なります。
| 項目 | 第二世代在留カード | 特定在留カード |
|---|---|---|
| 位置づけ | 在留カード等の新様式そのもの | 在留カードとマイナンバーカードを一体化した任意のカード |
| 取得するか | 更新・切替等の機会に順次移行 | 希望者が申請(取得は任意) |
| マイナンバー機能 | なし(従来の在留カードと同じ) | あり(1枚で両方の機能) |
| 主な狙い | 偽変造対策の強化 | 手続の一元化・利便性向上 |
| 対象 | 中長期在留者・特別永住者 | 住民基本台帳に記録された中長期在留者・特別永住者 |
第二世代在留カードは、ICチップに券面事項や顔画像などを記録し、入管庁長官の電子署名(ECDSA・NIST P-384)を付与するなど、偽変造対策が強化されています。また顔写真の表示対象が1歳以上に広がりました(従来は16歳以上)。これらは「カードそのものの世代交代」であり、外国人ご本人が申請するかどうかを選ぶものではありません。
一方の特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードの2枚を1枚にまとめるための、あくまで任意の選択肢です。2枚持ちを続けることもできます。
💡 第二世代在留カードは「新しくなったカード」、特定在留カードは「1枚にまとめたい人が選ぶカード」。この2つを分けて考えることが、混乱を避ける第一歩です。

3つ目の「読取アプリ」は、カードそのものではなく、カードの真偽や有効性を確認するための道具です。出入国在留管理庁が無償で提供しており、スマートフォンのNFC機能でICチップを読み取ります。
特に企業の人事ご担当者にとっては、採用時・在留期間の確認時に、この読取アプリでカードの有効性を確かめる運用が現実的な選択肢になります。
外国人ご本人にとって、2026年6月14日以降に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
「まとめると便利そうだが、自分のケースで本当に得なのか」を判断するには、マイナンバーカードの更新時期や引越し予定なども踏まえた検討が有効です。
外国人を雇用する企業にとって、今回の変更は在留確認の実務に関わります。
不法就労の防止という観点でも、券面の目視に加えてICチップの確認を組み込むことは、企業のリスク管理として合理的です。

交付開始から約1か月、実務でよく寄せられる疑問を整理します。
Q1. 手元の在留カードはすぐ使えなくなりますか?
いいえ。現在お持ちの在留カードは、記載された有効期間まで引き続き有効です。すぐに切り替える必要はありません。
Q2. 特定在留カードは必ず作らないといけませんか?
いいえ。特定在留カードの取得は任意です。在留カードとマイナンバーカードを2枚持ち続けることもできます。
Q3. 第二世代在留カードと特定在留カードは同じものですか?
違います。第二世代在留カードは在留カードの新様式そのもの、特定在留カードはマイナンバーカードと一体化した任意のカードです(§2の表を参照)。
Q4. 特定在留カードはどこで申請できますか?
地方出入国在留管理局、または市区町村の窓口で申請できます。申請できるのは住民基本台帳に記録された中長期在留者・特別永住者です。
Q5. 会社として在留カードの有効性を確認する方法は?
出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリ」でICチップを読み取り、券面照合と失効情報照会を行うのが確実です。新様式に対応した最新版へ更新してください。
Q6. 特別永住者の場合はどうなりますか?
特別永住者向けには「特定特別永住者証明書」が同時に導入されています。位置づけは特定在留カードと同様です。
2026年6月14日に始まった変更は、名前が似た3つの要素(第二世代在留カード/特定在留カード/読取アプリ)が同時に動いたため混同しやすいものの、整理すれば難しくありません。「新しくなったカード」「1枚にまとめる任意のカード」「確認する道具」として分けて理解し、ご本人は次の手続の機会に、企業は在留確認の運用見直しの機会に、それぞれ落ち着いて対応すれば十分です。ご自身のケースでの最適な選択や、企業の在留管理体制の見直しに迷われた際は、専門家にご相談ください。
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本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市