
法務省は2026年7月、「第二次出入国在留管理基本計画」を策定・公表しました。第一次計画(2019年4月)から約7年ぶりの改定です。個別の法改正やパブリックコメントのニュースは日々流れてきますが、そのほとんどは、この基本計画に書かれた方針が形になったものです。つまり基本計画は、これから数年の入管実務がどこへ向かうかを先に示した「設計図」にあたります。この記事では、外国人ご本人と企業の人事ご担当者の両方の視点から、計画に明記された「日付のある約束」を中心に、法務省の一次情報にもとづいて整理します。
在留手続のオンライン化の現状は「在留申請オンラインシステム」で、永住許可の要件は「永住許可の要件と必要書類」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
出入国在留管理基本計画は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)にもとづき、外国人の入国及び在留に関する施策の基本となるべき計画として法務大臣が定めるものです。個別の省令や告示のように、それ自体が直接の権利義務を生むものではありません。しかし、その後に出てくる法改正・省令改正・運用変更の「上流」にあたるため、実務上の意味は大きい文書です。
計画の沿革は次のとおりです。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1992年 | 第一次「出入国管理基本計画」を策定 |
| 以降 | 概ね5年程度の間隔で策定を重ねる |
| 2015年 | 第5次「出入国管理基本計画」を策定 |
| 2018年 | 入管法等改正法により、法務省が「外国人の在留」の公正な管理を図る任務を負うことが明記され、名称が「出入国在留管理基本計画」に改称 |
| 2019年4月 | 第一次出入国在留管理基本計画を策定 |
| 2026年7月 | 第二次出入国在留管理基本計画を策定(今回) |
ポイントは、改称後としては2冊目の計画であるという点です。前回の2019年4月からの約7年間に、新型コロナウイルス感染症への水際対策、技能実習制度の発展的解消と育成就労制度の創設、監理措置制度・補完的保護対象者認定制度の創設など、制度環境は大きく変わりました。今回の計画は、その変化を踏まえて次の数年を描き直したものです。
第二次計画は、出入国在留管理行政の基本方針を6つの柱に整理しています。各柱の見出しと、本文での該当ページは次のとおりです。
| # | 基本方針 | 本文 |
|---|---|---|
| 1 | 厳格かつ円滑な出入国管理の実現 | P.21 |
| 2 | 外国人の適正な在留管理の実現 | P.26 |
| 3 | 外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた外国人の受入れ環境整備 | P.37 |
| 4 | 安全・安心な社会の実現に向けた不法滞在者対策等の推進 | P.41 |
| 5 | 難民や補完的保護対象者等の適正かつ迅速な保護・支援の推進 | P.48 |
| 6 | その他 | P.53 |
計画は現状認識として、在留外国人数・外国人入国者数が過去に類をみない高水準に達しており、今後も一層の増加が見込まれること、少子高齢化と人手不足が深刻化するなかで外国人材を引き続き確保する必要があることを挙げています。そのうえで課題として、入管DXの推進、ルールに則った受入れ・環境整備とルール違反者への厳正な対処、人的・物的体制整備、エビデンスの収集・活用を通じた効果的な政策立案を示しています。
💡 読み方のコツ
報道では「管理強化」という側面が強調されがちですが、計画本文は「受入れ環境の整備」と「ルール違反者への厳正な対処」を同時に掲げています。どちらか一方だけを切り取ると、実務の予測を誤ります。
外国人ご本人にとって、今回の計画で最も生活に近い変化がここです。計画は、在留管理DXの推進として次のように述べています。
出入国在留管理庁や各関係機関が保有する在留外国人に関する情報に関しては、公共サービスメッシュを活用したマイナンバーによる情報連携を2027年から運用開始することを予定している。
法務省「出入国在留管理基本計画」(2026年7月)
「公共サービスメッシュ」とは、行政機関どうしが必要な情報をやり取りするための基盤です。これを使い、これまで別々の役所に分かれていた情報が、入管庁とつながることになります。
計画に明記されている範囲を整理すると、次のとおりです。
| 方向 | 情報の内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 関係機関 → 入管庁 | 国民健康保険料・国民年金保険料の納付情報 | 2027年からの運用開始を予定 |
| 関係機関 → 入管庁 | 地方税の課税情報 | 同上 |
| 関係機関 → 入管庁 | 医療保険被保険者等の資格情報 等 | 同上 |
| 入管庁 → 関係機関 | 国籍、在留資格情報、出入国関連情報 等 | 同上 |
| 関係機関 → 入管庁 | 地方税の納税情報 | 今後検討 |
| 入管庁 → 関係機関 | 生活保護等に関する国籍・在留資格情報 等 | 今後検討 |
ここは誤解が生じやすいところなので、慎重に整理します。計画は、税の納付情報等を上陸審査および在留審査や、未納がある場合の納付勧奨に活用する仕組みを「検討」すると書いています。つまり、
という二段構えです。「2027年から未納があると必ず不許可になる」といった説明は、計画の記載を超えています。現時点で確実に言えるのは、納付状況が入管庁に届く仕組みが整いつつあるという事実です。
なお、上陸審査への活用の検討対象からは、再入国許可を受けている方に対する上陸審査は除くと明記されています。
⚠️ とはいえ、実務上の備えは今から意味があります。
社会保険料や税は、これまでも在留期間更新許可申請や永住許可申請で「公的義務の履行」として審査上考慮されてきた事項です。情報連携が始まれば、申請時に提出する書類とは別の経路で状況が把握され得ることになります。未納や滞納がある方は、早めに解消しておくことをおすすめします。
あわせて計画は、在留申請及び届出について原則オンライン化を進め、手数料の支払にキャッシュレス決済を導入するとしています。窓口で収入印紙を貼る現在の形は、今後変わっていく見込みです。

JESTA(電子渡航認証制度)は、査証免除対象者で観光等の短期滞在を行う方、クルーズ船(指定旅客船)の乗客等、乗継ぎのため一時的に入国する方(一部)について、渡航前に渡航目的や滞在先等の情報を提供させ、事前にチェックを行う制度です。計画によれば、経過と今後は次のとおりです。
導入されると、認証または査証を受けていない方は原則として日本に入ることができなくなる一方、認証を受けている短期滞在者は、所要の審査を経てウォークスルー型ゲートを通過して上陸できるようになります。背景には「2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人」という政府目標があり、厳格な事前チェックと入国審査待ち時間の削減を両立させるねらいがあります。JESTAには手数料が設定される予定で、計画は「応益的要素等を考慮して適切に設定していく」としています。金額は現時点では公表されていません。
📌 中長期在留者の方への注意
JESTAの対象は短期滞在等です。在留カードを交付されている方の日常の更新手続で使うわけではありませんが、ご家族や取引先が短期滞在で来日される場面には影響します。
計画は在留資格ごとの見直しにも触れています。いずれも方向性が示された段階であり、具体的な要件は今後の法令改正で定まります。
2026年8月4日からは「永住者」の適正化に係るパブリックコメントも実施されており、方針が具体化しつつある局面です。取消し制度は「永住許可の取消し制度」で解説しています。
経営・管理は2026年に要件が見直され、更新時の経過措置も設けられています。詳しくは「経営管理ビザ更新の3年経過措置」をご覧ください。
計画は、制度の施行から14年余りが経過し、賃金水準の上昇やポイント加算項目の増加により制度自体が徐々に複雑化してきたと指摘したうえで、年収基準等や項目自体の内容、配点やその比重も含めて必要な見直しを行うとしています。現行のポイント計算は「高度専門職ビザとは?ポイント計算」で解説しています。見直しに備え、加算項目の根拠資料は日頃から整理しておくことをおすすめします。
計画は、在留資格の制度趣旨と実態に乖離がみられる問題について必要な措置を実施するとも明記し、事業所に対する実態調査といった直接的な情報収集手段の強化にも言及しています。
2027年4月は、受入れ制度にとって大きな節目です。計画は、特定技能制度について次の適正化を挙げています。
同じ2027年4月には、2024年6月に創設された育成就労制度の運用が開始されます。計画は、外国人育成就労機構を含む体制整備、悪質な送出機関や監理支援機関を排除するための送出国政府との二国間取決め(MOC)作成の協議、地域協議会の設置・活用などを進めるとしています。
制度の全体像は「特定技能1号と2号の違い」「育成就労制度とは|2027年4月開始」をご覧ください。なお、特定技能2号については在留期間に「5年」を追加する省令改正案も別途進んでおり、「特定技能2号に在留期間「5年」追加案」で解説しています。
⚠️ 企業の実務への影響が大きいのは「委託先の限定」です。
1号特定技能外国人の支援業務を登録支援機関以外へ委託している受入れ機関は、2027年4月に向けて委託先の見直しが必要になります。審査面では特定技能評価試験等の合格証明書の偽変造防止のための更なる措置も講じられます。
計画は「その他」の柱で、手数料について次のように述べています。
在留許可手数料について、応益的要素や主要国の水準等を考慮して引上げを実施し、増加する外国人の適正かつ円滑な受入れ、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた受入れ環境整備などの外国人に関わる各種施策を強化・拡充していく。
法務省「出入国在留管理基本計画」(2026年7月)
具体的な金額は基本計画ではなく政令で定められます。その政令はすでに公布され、2026年(令和8年)10月1日からの施行が確定しました。改定後は、在留資格変更許可・在留期間更新許可が「許可される在留期間の区分」に応じた額(窓口10,000円〜75,000円)となり、永住許可は200,000円です。なお2026年9月30日までに受付された申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額で納付します。詳しくは在留許可手数料の改定(2026年10月1日施行)の記事で解説しています。
計画は、不法滞在者対策として次の数値を挙げています。
方針としては、護送官付き国費送還の計画的な実施、自発的出国の促進、デジタル技術を活用した情報の収集・分析機能の強化などが挙げられています。
企業にとって見逃せないのは、不法就労助長への対応強化です。計画は、関係機関と連携した摘発の強化に加え、不法就労助長罪と各業法の欠格事由の在り方を検討することに言及しています。適法な雇用管理の重要性は、これまで以上に高まります。基本は「外国人雇用の注意点」で解説しています。
基本計画は「これから何が起きるか」の予告です。今日から意味のある備えを、立場ごとに整理します。
受入れ機関の側でも、2027年に向けた実務の組み直しが必要になります。
| 時期 | 何が起きるか | 企業の備え |
|---|---|---|
| 2026年10月1日(確定) | 在留許可手数料の引上げ | 申請費用の負担ルール(本人負担/会社負担)を就業規則・雇用契約で整理 |
| 2027年 | マイナンバーによる情報連携の運用開始(予定) | 社会保険の適正加入・保険料の納付状況を点検 |
| 2027年4月 | 1号特定技能の支援委託先を登録支援機関に限定 | 現在の委託先を確認し、必要なら切替えを準備 |
| 2027年4月 | 登録支援機関の登録要件厳格化/特定技能2号に日本語要件追加 | 支援体制と日本語学習支援の見直し |
| 2027年4月 | 育成就労制度の運用開始 | 監理支援機関の選定、地域協議会への関与を検討 |
| 2028年度 | JESTAの導入 | 短期滞在で招へいする取引先・研修生の渡航手順を更新 |
あわせて、採用時と更新時の在留カード確認の徹底(在留カード等読取アプリケーションの活用が有効)、在留資格に応じた業務内容の一致、余裕を持った申請スケジュールを社内で共有しておくと安全です。

第二次出入国在留管理基本計画に明記された、日付のある事項を時系列に並べます。
| 時期 | 内容 | 現時点の位置づけ |
|---|---|---|
| 2026年10月1日 | 在留許可手数料の引上げ | 政令が公布され、2026年10月1日施行が確定 |
| 2027年 | 公共サービスメッシュを活用したマイナンバー情報連携の運用開始 | 予定 |
| 2027年4月 | 1号特定技能の支援委託先を登録支援機関に限定 | 予定 |
| 2027年4月 | 登録支援機関の登録要件厳格化/特定技能2号に日本語要件追加 | 予定 |
| 2027年4月 | 育成就労制度の運用開始 | 予定 |
| 2028年度中 | JESTA(電子渡航認証制度)の導入 | 導入に向けたシステム開発を推進 |
| 2030年末 | 退去強制が確定した外国人の数を半減 | 目標 |
| 時期未定 | 永住許可の在り方・要件の見直し | 検討 |
| 時期未定 | 高度専門職の年収基準・配点等の見直し | 検討 |
| 時期未定 | 税の納付情報等を上陸審査・在留審査へ活用する仕組み | 検討 |
Q1. 基本計画が決まったら、すぐに何かが変わるのですか。
A. 基本計画それ自体が申請の要件を変えるものではなく、今後の法改正・省令改正・運用変更を通じて具体化していきます。ただし時期が明記された事項は、その時期に向けて準備を進める意味があります。
Q2. 2027年から税や社会保険の未納があると、在留期間の更新ができなくなりますか。
A. 計画に書かれているのは、情報連携を2027年から運用開始する予定であることと、その情報を審査や納付勧奨に活用する仕組みを検討することです。「未納があれば必ず不許可になる」と定められたわけではありません。もっとも公的義務の履行は従来から審査上考慮されてきた事項ですので、未納の解消は早めに進めることをおすすめします。
Q3. JESTAは在留カードを持っている自分にも必要になりますか。
A. JESTAの対象は、査証免除対象者で観光等の短期滞在を行う方、クルーズ船の乗客等、乗継ぎのため一時的に入国する方(一部)です。中長期在留者として在留カードを交付されている方の日常の在留手続とは、別の制度です。
Q4. 特定技能2号の日本語要件は、いつから、どの試験が対象になりますか。
A. 計画には「2027年4月から」日本語要件を追加すると示されていますが、求められる水準や対象試験は今後の告示等で定まります。公表され次第、改めて解説します。
Q5. 手数料は結局いくらになりますか。
A. 金額は政令で定められ、すでに公布されて2026年10月1日施行が確定しています。在留資格変更・在留期間更新は許可される在留期間の区分に応じた額(窓口10,000円〜75,000円)、永住許可は200,000円です。2026年9月30日までに受付された申請は、改定前の額で納付します。
Q6. 永住許可は、今申請するのと待つのとどちらが有利ですか。
A. 一概には言えません。ただし計画に要件見直しの検討が明記され、2026年8月からはパブリックコメントも実施されています。現行要件を満たしている方は、早めに準備を進める合理性がある局面です。個別事情によりますので、判断に迷う場合はご相談ください。
第二次出入国在留管理基本計画は、2026年7月に法務省が策定した、約7年ぶりの改定です。6つの基本方針のもとで、2027年のマイナンバー情報連携、2027年4月の特定技能適正化と育成就労の運用開始、2028年度のJESTA導入、そして在留許可手数料の引上げという、時期の明示された変化が並んでいます。
個別のニュースを追いかけるより、この計画に書かれた日付を先に押さえておくほうが、ご自身やご家族、従業員の方の計画は立てやすくなります。とりわけ、社会保険料・税の納付状況が入管庁に届く仕組みが整いつつあるという点は、今日から手を打てる項目です。
一方で、計画には「予定」と「検討」が混在しています。断定的な情報に接したときは、それが確定した制度なのか、検討段階の方針なのかを見分けることが大切です。判断に迷う場面では、早めに専門家にご相談ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市