
人手不足を背景に、外国人材の採用を検討する中小企業が増えています。一方で「何を確認すればよいのか」「届出はどこに出すのか」が分からず、不安を抱えたまま採用に踏み切ってしまうケースも少なくありません。外国人雇用では、確認を怠ったことで企業側が処罰の対象になる場面があります。本記事では、採用時にぜひ押さえておきたい在留カードの確認方法、不法就労助長罪のリスク、ハローワークと入管への届出、そして2026年の最新動向まで、中小企業の人事ご担当者と外国人ご本人の双方の視点で、一次情報をもとに行政書士が整理します。
在留カードの紛失・盗難時の対応については別記事「在留カードを紛失したら?再交付を行政書士が解説」、特定技能の新分野については「特定技能に新3分野が追加」もあわせてご覧ください。
外国人を雇用する際の実務は、大きく次の3つの柱で考えると整理しやすくなります。
中小企業では、人事・総務のご担当者が他業務と兼任していることも多く、これらの手続きが後回しになりがちです。しかし、外国人雇用のルールは「知らなかった」では済まされない場面があります。出入国在留管理庁(以下、入管庁)も、事業主向けに「不法就労防止にご協力ください」と明確に注意喚起しています。
まずは、採用の入口である「在留カードの確認」から見ていきます。
在留カードは、適法に日本に中長期間滞在する外国人が所持するカードで、その人が就労できるかどうかを判別しやすいように作られています。旅行者のように一時的に滞在する方や、不法滞在者には交付されません。入管庁は、次の3つのポイントで確認するよう案内しています。
在留カード表面の「就労制限の有無」欄には、次のいずれかが記載されます。
| 記載 | 意味 |
|---|---|
| 就労制限なし | 就労内容に制限はありません(永住者・日本人の配偶者等など) |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | その在留資格で認められた範囲でのみ就労できます |
| 指定書記載機関での就労活動のみ可 | 在留資格「技能実習」など。指定書の確認が必要です |
| 就労不可 | 原則として雇用できません。ただしポイント2の確認が必要です |
表面が「就労不可」または「在留資格に基づく就労活動のみ可」であっても、裏面の「資格外活動許可欄」に許可の記載があれば、一定の範囲で就労できます。代表的なのが留学生などのアルバイトで、「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載されます。
週28時間の上限は、複数のアルバイト先がある場合、その合計で判断します。自社の勤務時間だけで28時間以内でも、他社との合計で超えれば違反になり得ます。
「仮放免許可書」を所持している人は、退去強制手続中などの立場にあり、在留資格をもっているわけではありません。許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」と記されている場合は就労できません。在留カードと混同しないよう注意が必要です。
なお、入管庁は在留カード等の番号が失効していないかを確認できる「在留カード等番号失効情報照会」ページ(https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html)を設けています。番号と有効期間を入力して照会できますが、確認結果はカードの有効性そのものを証明するものではなく、偽造カード対策として券面の偽変造防止のポイントも併せて確認するよう案内されています。

外国人雇用で中小企業が最も注意すべきなのが、不法就労助長罪です。不法就労は法律で禁止されており、不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。
入管庁のリーフレットは、不法就労となるのは次の3つの場合だと整理しています。
| 対象となる行為 | 処分・罰則 |
|---|---|
| 不法就労をさせた・あっせんした(不法就労助長罪) | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科(2027年4月1日から5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科へ引上げ) |
| 不法就労をさせた・あっせんした外国人事業主 | 退去強制の対象 |
| ハローワークへの届出をしなかった・虚偽の届出をした | 30万円以下の罰金 |
ここで重要なのは、「知らなかった」だけでは処罰を免れないという点です。入管庁は、雇用しようとする外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、「在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」と明記しています。つまり、在留カードの確認を怠ること自体が過失と評価されるおそれがあります。転職者を中途採用するときの確認方法と2027年の罰則引上げは、「就労資格証明書とは|転職者の採用と2027年の罰則強化」で詳しく解説しています。
📌 「悪意はなかった」では守れません。在留カードを確認したという事実と記録が、企業を守る第一歩になります。
ここまでは企業側の確認義務を中心に見てきましたが、外国人ご本人にも守るべきルールがあります。就労の可否や範囲を正しく理解しておくことは、ご本人の在留の安定にも直結します。
これらは企業が一方的に管理できるものではなく、ご本人の理解と協力が欠かせません。採用時に就労条件と併せて丁寧に説明しておくことが、後のトラブル防止につながります。
外国人雇用に関する届出は、根拠となる法律も提出先も異なる2系統があります。混同しやすいポイントなので、下表で整理します。
| 届出 | 根拠法 | 提出先 | 誰が行うか | 期限の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 外国人雇用状況の届出 | 労働施策総合推進法 | ハローワーク | 事業主(企業) | 雇入れ・離職の都度 |
| 所属(活動)機関に関する届出 | 入管法 | 入管庁 | 中長期在留者ご本人 | 事由発生から14日以内 |
外国人(特別永住者、在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用する事業主には、労働施策総合推進法に基づき、外国人雇用状況の届出が義務づけられています。外国人を雇い入れたときと離職したときに、その都度ハローワークへ届け出ます。
一方、入管法上の「所属(活動)機関に関する届出」は、中長期在留者ご本人が行う届出です。対象となるのは、教授・高度専門職・経営・管理・企業内転勤・技能実習・留学などの在留資格をもつ方で、契約機関(勤務先)の名称・所在地の変更、機関の消滅、契約機関からの離脱(退職・転職)、移籍などが生じたときに、その事由が生じた日から14日以内に届け出ます。
企業側の直接の義務ではありませんが、外国人従業員が入社・退職した際にご本人へ届出を促すことで、在留管理の適正化に協力できます。特に退職時は、ご本人が届出を失念しやすいため、企業からひと声かける運用が望ましいでしょう。

中小企業が外国人を採用する際の、基本的な実務の流れを整理します。自社の状況に合わせてチェックリストとしてご活用ください。
💡 業務内容と在留資格の適合に不安がある場合は、就労開始前の段階で行政書士などの専門家に相談すると、後の不許可や不法就労のリスクを抑えられます。
2026年は、外国人の在留手続きに関する制度変更が続いています。採用計画に影響し得るため、概要を押さえておきましょう。いずれも詳細・施行時期は今後変更される可能性があるため、最新情報は一次情報でご確認ください。
これらの動向は、外国人材の受入体制や採用スケジュールに影響します。制度の切り替え時期をまたぐ採用では、早めの情報収集と準備が有効です。
外国人雇用は、正しい手順を踏めば中小企業にとって大きな戦力となります。一方で、在留カードの確認を怠れば、企業が不法就労助長罪に問われるリスクもあります。ポイントは、採用前に在留カードで就労可否を確認すること、雇入れ・離職時にハローワークへ届け出ること、そしてその確認と手続きを記録に残すことです。判断に迷う場面では、在留資格の専門家に相談することで、安心して受入れを進められます。
コピーの保管は有効ですが、それだけでは不十分な場合があります。就労制限の有無欄・資格外活動許可欄・在留期限を実際に確認し、原本と照合することが大切です。偽造が疑われる場合は、失効情報照会や読取アプリの活用、最寄りの地方出入国在留管理局への問い合わせをご検討ください。
資格外活動許可欄で「原則週28時間以内」の許可があるかを確認します。この28時間は、他のアルバイト先との合計で判断される点に注意してください。自社分だけで判断すると、意図せず違反になるおそれがあります。
届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合、30万円以下の罰金の対象になり得ます。出し忘れに気づいた場合は、速やかにハローワークへ相談してください。
任せる業務が在留資格で認められた活動の範囲内かどうかは、個別判断が必要です。判断に迷う場合は、就労資格証明書の取得を検討するか、就労開始前に専門家へ相談することをおすすめします。
企業は離職時にハローワークへ外国人雇用状況の届出を行います。あわせて、入管法上の「所属機関に関する届出」はご本人の義務であるため、ご本人へ届出(14日以内)を促すと、在留管理の適正化に協力できます。
入管庁は、不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失があれば処罰を免れないとしています。確認を尽くしたという事実と記録が、企業を守る根拠になります。
事業承継や経営者の交代で外国人従業員を引き継ぐ場合は、在留資格の変更ではなく所属(契約)機関に関する届出が必要になります。詳しくは事業承継と外国人従業員|必要なのは変更でなく届出をご覧ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請や届出にあたっては、出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市