
「永住者になれば、もう在留のことは心配いらない」——これまで多くの方がそう考えてきました。しかし、令和6年の出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)の改正により、令和9年(2027年)4月1日から、永住者も一定の場合に在留資格を取り消され得る制度(永住許可制度の適正化)が始まります。本記事では、新設される3つの取消事由、「故意に税金や社会保険料を納付しない」の意味、取消しの効果、そして施行までに備えることを、出入国在留管理庁(isa.moj.go.jp)の一次情報に基づいて行政書士がわかりやすく整理します。結論から言えば、過度に不安を感じる必要はありません。ポイントは「公的義務を期限内に適正に果たすこと」に尽きます。
「永住者」は、在留期間の更新が不要で就労の制限もない、在留資格の中でも安定性の高い資格です。これまで、在留資格の「取消し」(入管法第22条の4)は、主に不正な手段で許可を受けた場合や、正当な理由なく届け出た住居地に長期間住んでいない場合などに限られていました。
令和6年の改正では、この取消事由に永住者を念頭に置いた新しい類型が加わります。出入国在留管理庁はこれを「永住許可制度の適正化」と説明しており、その趣旨は、公的義務を適正に果たしている大多数の永住者と、そうでない一部のケースとを区別し、制度への信頼を保つことにあります。つまり、まじめに納税・届出を行っている方の永住が、この改正で不安定になるわけではありません。
📌 この記事の位置づけ:本記事は「永住を取得した後にどう維持するか(取消し制度)」がテーマです。永住許可の取り方(要件・必要書類)を知りたい方は、別記事「永住許可の要件と必要書類」をご覧ください。
永住許可制度の適正化は、令和6年法律第60号(育成就労制度の創設等を内容とする入管法等の一部改正法)に含まれています。同法は令和6年6月21日に公布され、この永住取消に関する規定は、一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日から施行されることが政令で定められています。育成就労制度の運用開始と同じ日の施行です。
📅 おさえておきたい日付
施行はまだ先ですが、後述する「公的義務の適正な履行」は、日々の積み重ねが問われます。施行日が来てから慌てるのではなく、今のうちから習慣として整えておくことが安心につながります。
出入国在留管理庁の「永住許可制度の適正化Q&A」によると、永住者について新たに次の3類型が在留資格の取消事由として整理されています。いずれも、うっかりや一度の失念で直ちに取り消されるものではなく、悪質・故意のケースが念頭に置かれています。
| 新設される取消事由 | どのような場合か |
|---|---|
| 📮 入管法上の義務の不遵守 | 罰則によって担保されている入管法上の義務(住居地の届出など各種の届出義務等)を遵守しない場合。 |
| 🧾 故意の公租公課の不払い | 正当な理由なく、故意に税金や社会保険料(公租公課)を納付しない場合。 |
| ⚖️ 一定の刑罰法令違反 | 一定の重大な罪(故意犯)により刑に処せられた場合。 |
ここで大切なのは、これらが「適正に義務を果たしていれば通常は関係のない」事由だという点です。特に②の「故意の公租公課の不払い」は、次の章で見るように、支払う意思や能力があるのにあえて払わない、という悪質性が前提になっています。

もっとも関心が高いのが、②の「故意に公租公課の支払をしない」の解釈でしょう。出入国在留管理庁のQ&Aは、これを次のように説明しています。
「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいいます。支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず支払をしないような場合が想定されています。
逆に、Q&Aは取消しを想定していない場合もはっきり示しています。病気や失業などで、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していない、とされています。つまり、「払えない事情がある人」を狙い撃ちにする制度ではありません。
💡 「故意」と「やむを得ない事情」の考え方(イメージ)
⚠️ 問題になり得る例
支払能力があるのに、督促を無視して意図的に納税・納付をしない。
✅ 想定されていない例
病気や失業で収入が途絶え、やむを得ず一時的に納付できない(その後、相談・分納などで対応)。
もし収入の減少などで納付が難しくなったときは、放置せず、市区町村や年金事務所の窓口に早めに相談し、減免や分割納付(分納)などの手続きを取っておくことが大切です。「払えないから逃げる」のではなく「事情を伝えて手続きする」姿勢が、結果として在留の安定を守ります。
「取消し」と聞くと、直ちに日本を離れなければならないような強い不安を覚えるかもしれません。しかし、出入国在留管理庁のQ&Aは、永住許可の取消しについて直ちに退去(帰国)を求めるものではないという考え方を示しています。
具体的には、永住者の在留資格を取り消す場合でも、本人の生活状況などを踏まえ、「定住者」など他の在留資格へ職権で在留資格を変更する取扱いが想定されています。つまり、いきなり在留の基盤をすべて失うのではなく、より在留期間の定めのある資格に切り替わるという運用が念頭に置かれています。
🔎 永住の取消し=即帰国、ではありません。生活の実態を踏まえ「定住者」等への職権変更が想定されています。ただし、更新の手続きが必要な資格に戻るため、これまでの安定は失われます。
とはいえ、永住から定住者などに切り替われば、在留期間の更新が再び必要になり、就労や生活設計の自由度も変わり得ます。せっかく積み上げた「永住」という安定を手放さないためにも、公的義務の適正な履行を続けることが重要です。なお、取消しにあたっては手続の中で本人の意見を述べる機会(意見聴取など)が設けられるのが通常であり、一方的・突然に処分が確定するものではありません。

👤 令和9年の施行に向けて、永住者の方・これから永住を目指す方が、今日から意識しておきたいポイントを整理します。難しいことではありません。「期限内に、きちんと」が合言葉です。
☑ 永住を守るためのセルフチェック
🏢 永住者を雇用する企業にとっても、この制度は無関係ではありません。従業員が安心して働き続けられる環境づくりは、定着と戦力化に直結します。
「永住者はもう手続きが要らないから安心」という時代から、「永住者も、公的義務の適正な履行という土台が大切」という時代へ。従業員とともに正しく理解しておくことが、企業のリスク管理にもなります。
2026年の永住に関する動きは、この取消し制度だけではありません。あわせて押さえておきたい2つのテーマを、関連記事とともに紹介します。
手数料の「上限額(法律で定める上限)」と「実際の額(政令で定める額)」は区別して理解する必要があります。報道等で見かける金額も、確定した額か、案の段階かを確かめることが大切です。
令和6年の入管法改正で、令和9年(2027年)4月1日から、永住者についても、故意の公租公課(税・社会保険料)の不払いなど一定の場合が在留資格の取消事由に加わります。ただし、日頃から適正に納付・届出をしていれば、通常は問題になりません。まじめに義務を果たしている方の永住が不安定になる制度ではありません。
一度のうっかりの遅延で直ちに取り消される、という制度ではありません。対象として想定されているのは、支払義務と支払能力があるのに「故意に」納付しない悪質なケースです。とはいえ、遅延を繰り返すことは避け、期限内納付を習慣づけることをおすすめします。
出入国在留管理庁のQ&Aは、病気や失業などで本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず納付できない場合について、取消しを想定していないとしています。大切なのは放置しないことです。市区町村や年金事務所に早めに相談し、減免・分納などの手続きを取り、その記録を残しておきましょう。
直ちに帰国を求めるものではなく、生活の実態を踏まえて「定住者」など他の在留資格への職権変更が想定されています。ただし、永住から他の資格に切り替わると在留期間の更新が再び必要になり、これまでの安定は失われます。
永住取消に関する規定は、令和9年(2027年)4月1日から施行されます。根拠は令和6年法律第60号(育成就労制度の創設等を内容とする入管法等改正法)で、令和6年6月21日に公布されています。
はい。当事務所は宮崎市を拠点に、在留資格に関するご相談を承っています。過去の納付状況の点検や、届出のもれがないかの確認、今後の備えについてサポートします。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
令和9年(2027年)4月1日から、永住者も一定の場合に在留資格を取り消され得る「永住許可制度の適正化」が始まります。新設される取消事由は、届出等の義務違反・故意の公租公課の不払い・一定の刑罰法令違反の3類型で、いずれも悪質なケースが念頭に置かれています。取消しの効果も、直ちに帰国ではなく「定住者」等への職権変更が想定されています。日頃から税金・社会保険料を期限内に適正に納め、住居地変更などの届出をきちんと行っていれば、通常は心配ありません。もし納付が難しくなったら、放置せず早めに相談することが安定を守ります。ご自身のケースで不安があるときは、施行前の今のうちに、早めに専門家へご相談ください。
🧭 宮崎で永住申請を進める方へ=要件・必要書類・福岡出入国在留管理局 宮崎出張所への申請の流れを1ページにまとめた「宮崎で永住申請」もあわせてご覧ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
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・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期、運用の細部は今後変更される可能性があります。実際の手続にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市