
宮崎県で働く特定技能1号の外国人3,012人のうち、最も多い分野は農業(931人・約31%)です。全国では農業の割合が約10%ですから、宮崎は「特定技能=農業」の色が全国平均の3倍ほど濃い県だと言えます。さらに、熟練者向けの特定技能2号は県内30人のうち27人が農業で、ここでも農業が突出しています。この記事では、出入国在留管理庁の最新統計(2025年12月末)で宮崎の実態を数字で確認したうえで、農業分野で特定技能外国人を受け入れるときに固有の要件(従事できる業務、本人の試験、受入れ側の雇用経験、農業特定技能協議会への加入、派遣形態)を、農林水産省・出入国在留管理庁の運用要領に沿って整理します。宮崎県内の農業法人・農家の皆さまと、農業分野で働くことを考えている外国人ご本人の両方に向けた内容です。
先に要点をまとめます。
💡 ひとことで言うと:農業分野は特定技能の中でも「受入れ側の要件」が一段多い分野です。人材が見つかってから協議会に入ろうとすると、加入通知が届くまでの時間だけ申請が遅れます。受入れを検討し始めた段階で、6か月の雇用経験と協議会加入の2点を先に確認しておくことをおすすめします。
出入国在留管理庁は特定技能在留外国人数を半年ごとに公表しています。都道府県別・分野別の内訳がわかる最新の資料は2025年12月末時点のもので、宮崎県の主な分野は次のとおりです。
| 分野(特定技能1号) | 宮崎県 | 県内構成比 | 全国 | 全国構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 農業 | 931人 | 30.9% | 37,952人 | 9.9% |
| 飲食料品製造業 | 707人 | 23.5% | 93,393人 | 24.4% |
| 介護 | 635人 | 21.1% | 67,871人 | 17.8% |
| 外食業 | 203人 | 6.7% | 43,869人 | 11.5% |
| 建設 | 199人 | 6.6% | 49,323人 | 12.9% |
| 漁業 | 146人 | 4.8% | 4,590人 | 1.2% |
| 工業製品製造業 | 140人 | 4.6% | 56,736人 | 14.8% |
| その他(自動車整備・ビルクリーニング・宿泊等) | 51人 | 1.7% | — | — |
| 合計 | 3,012人 | 100% | 382,341人 | 100% |
全国では飲食料品製造業(24.4%)が首位で、農業は6番目(9.9%)です。宮崎では順位も構成比も大きく異なり、農業が首位で構成比は約31%。漁業も全国比で4倍の重みがあります。九州の他県と比べても、農業の特定技能1号は熊本県2,854人、鹿児島県1,959人、福岡県1,318人、宮崎県931人、大分県673人と、宮崎は熊本・鹿児島に次ぐ規模です。
農業分野の特定技能1号を市町村別に見ると、次のようになります。
| 市町村 | 農業分野の特定技能1号 | 参考:全分野合計 |
|---|---|---|
| 宮崎市 | 228人 | 738人 |
| 都城市 | 206人 | 716人 |
| 川南町 | 125人 | 189人 |
| 小林市 | 81人 | 188人 |
| 串間市 | 49人 | 98人 |
| 西都市 | 44人 | 113人 |
| 国富町 | 38人 | 68人 |
| 日南市 | 31人 | 213人 |
| 高鍋町 | 22人 | 41人 |
| えびの市・高原町 | 各21人 | 77人・29人 |
宮崎県の農業分野931人の国籍は、インドネシア392人、ベトナム266人、カンボジア67人、フィリピン55人、ミャンマー45人、ネパール42人、中国37人の順です(第6表)。全国の農業分野でもインドネシア(14,089人)とベトナム(9,789人)が上位2か国で、宮崎も同じ傾向です。受入れ側の日本語支援・生活支援は、この2言語圏を想定して準備しておくと現実的です。
熟練者向けの特定技能2号は、全国で7,955人(2025年12月末、前期比約2.6倍)に増えました。宮崎県内は30人で、その内訳は農業27人、建設1人、飲食料品製造業1人、外食業1人です。農業分野の2号は2023年6月に対象へ加わったばかりですが、宮崎では1号から2号へ進む人材がすでに出ていることが数字に表れています。2号は在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も可能なため、農業法人にとっては「長く働いてもらえる人材」の受け皿になります。
農業分野の特定技能外国人が従事する業務区分は、次の2つです(農業分野の分野別運用方針、運用要領別冊 第1)。
| 業務区分 | 1号が従事する業務 | 2号が従事する業務 |
|---|---|---|
| 耕種農業全般 | 栽培管理、農産物の集出荷・選別等 | 左記に加え、当該業務に関する管理業務 |
| 畜産農業全般 | 飼養管理、畜産物の集出荷・選別等 | 左記に加え、当該業務に関する管理業務 |
運用要領別冊は、従事する業務に「栽培管理」または「飼養管理」の業務が含まれていることが必要としています。たとえば選果場での選別作業だけ、たい肥の袋詰めだけ、といった配置は認められません。
耕種農業や畜産農業に従事する日本人が通常行っている関連業務であれば、付随的に従事することは差し支えないとされています。運用要領別冊が例として挙げているのは次のような作業です。
ただし「専ら関連業務に従事することは認められません」と明記されています。在留資格に該当するかどうかは在留期間中の活動全体で判断されるため、繁忙期以外に加工場や直売所へ回す時間が長くなりすぎると、更新のときに問題になり得ます。
農業者に直接雇用される場合だけでなく、農業者から作業を請け負って行う団体や、農業者を構成員とする団体(JA、酪農ヘルパー利用組合、コントラクター組織など)に雇用されて業務に従事することもできます。受託して行う業務も含まれます。

現行の運用要領別冊(令和7年6月6日一部改正)では、1号として農業分野で働くには次の両方の合格が必要です。
技能実習2号を良好に修了した方は試験が免除されます。耕種農業では「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」、畜産農業では「養豚」「養鶏」「酪農」の技能実習2号を良好に修了していれば、それぞれ対応する区分の技能試験が免除され、職種にかかわらず技能実習2号を良好に修了した方は日本語試験も免除されます。免除を受けるには、技能実習2号修了時の農業技能評価試験(専門級)の実技試験合格証明書か、それに合格していない場合は実習実施者が作成した評価調書(参考様式第1-2号)が必要です。
2号は、2号農業技能測定試験(耕種農業全般/畜産農業全般)の合格に加えて、次のいずれかの実務経験が要件です。
「複数の従業員を指導」とは、自然条件や家畜の状態に応じて自らの判断で作業を行いつつ、2名以上の作業員を指導・監督して工程を管理することを指します。指導を受ける作業員の国籍や職責は問われず、繁閑の関係で一部の期間に指導を行っていなくても差し支えないとされています。実務経験の有無は2号試験の受験時に確認されます。
このため、受入れ側には外国人から求められたときに実務経験を証明する書面を交付する義務があります(告示第7号)。交付しないと基準不適合となり、特定技能外国人の受入れ自体ができなくなります。1号から2号へ進む人材を育てたい農業法人は、日々の担当作業や指導した人数を記録しておくと、後で証明書を出しやすくなります。
特定技能の受入れ機関に共通する要件(労働法令の遵守、日本人と同等以上の報酬、支援計画の実施など)に加えて、農業分野には農林水産省告示(平成31年農林水産省告示第524号)で定められた固有の基準があります。
農業者が特定技能外国人を直接雇用する場合、過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験が必要です。法人の場合は、業務を執行する役員が個人事業主として雇用した経験も含まれます。
この経験がない場合でも、「これに準ずる経験」があれば足ります。準ずる経験とは、過去5年以内に6か月以上継続して労務管理に関する業務に従事した経験のことで、親の農業経営のもとで子が労務管理を担っていた場合や、労務管理の経験がある農業法人の従業員が独立する場合などが想定されています。
これまで家族だけで営農してきた農家が初めて外国人を雇う場合は、この要件を満たさないことがあります。その場合は、まず日本人のパート・アルバイトを6か月以上雇用して経験をつくるか、次に説明する派遣形態を使うのが現実的な選択肢です。
受入れ機関は、在留諸申請の前に農林水産省が設置する「農業特定技能協議会」に加入しなければなりません。加入後は協議会の情報提供・調査などに必要な協力を行う義務があり、これを行わないと基準不適合になります。農林水産省のページに示された手続の要点は次のとおりです。
⚠️ スケジュール上の注意:協議会の加入通知が届くまで2週間前後かかるため、採用が決まってから動くと、その分だけ在留資格認定証明書交付申請や変更申請の着手が遅れます。試験合格者との面接や技能実習生の修了時期が見えた時点で、先に加入申請を済ませておくのが安全です。
直接雇用の場合、在留申請では通常の書類に加えて、「農業分野において直接雇用形態で特定技能外国人の受入れを行う特定技能所属機関に係る誓約書」(分野参考様式第11-1号)と、農業特定技能協議会の構成員であることを確認できる書類を提出します。支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関誓約書(分野参考様式第11-4号)も必要です。誓約事項を守れなくなったときは、地方出入国在留管理局と農林水産省に報告する義務があります。
特定技能は原則として直接雇用ですが、農業分野では労働者派遣事業者を特定技能所属機関として、農業者に派遣する形も認められています。分野別運用方針は、冬場に農作業ができないなど季節による繁閑があること、同じ地域でも作目によって収穫や定植のピークが異なることを挙げ、農繁期の労働力確保や産地間での融通のために派遣形態が不可欠だとしています。
誰でも派遣元になれるわけではありません。労働者派遣事業の許可を持ったうえで、次の①〜④のいずれかに該当し、かつ法務大臣が農林水産大臣と協議のうえ適当と認めた事業者に限られます。
派遣事業者として適当と認められる期間は3年で、経過後は改めて該当性が確認されます。また、派遣先の地域は、派遣元責任者が日帰りで苦情処理などの雇用管理を適切に行える範囲でなければなりません。
派遣先となる農業者は、過去5年以内に同一の労働者を6か月以上継続して雇用した経験があるか、または派遣先責任者講習など(都道府県労働局が実施する派遣先向け講習等)を受講した者を派遣先責任者として選任している必要があります。雇用経験がない農家でも、講習を受けた人を派遣先責任者に置けば派遣形態で受け入れられる点が、直接雇用との大きな違いです。派遣先は協議会に対する協力義務も負い、「派遣先事業者誓約書」(分野参考様式第11-2号)を提出します。
農業は労働基準法の労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となる業種で、これは特定技能外国人を雇う場合も同じです。ただし運用要領別冊は、外国人の意向も踏まえ、労働基準法の基準を参考にしながら過重な長時間労働にならないよう管理し、適切に休憩・休日を設定しなければならないとしています。さらに、適用除外となるのは労働時間・休憩・休日の規定だけで、深夜勤務の深夜割増賃金やその他の規定は適用除外にならないと明記されています。早朝の搾乳や夜間の出荷作業がある経営では、深夜割増の計算を忘れないようにしてください。

2026年1月23日に閣議決定された農業分野の分野別運用方針では、2024年度から2028年度までの5年間の1号特定技能外国人の受入れ見込数は73,300人で、これが受入れの上限として運用されます。全国の農業分野の在留者数は2026年6月末時点で44,050人(充足率60.1%)で、当事務所の記事「特定技能の受入れ見込数|外食業98%・19分野の残り枠」で整理したとおり、外食業のように枠が埋まりかけている分野に比べると、農業にはまだ余裕があります。
同じ分野別運用方針は、2027年(令和9年)4月に始まる育成就労制度についても農業分野を対象とし、2027年度からの2年間の受入れ見込数を26,300人としています。育成就労の業務区分は特定技能と同一で、直接雇用に加えて労働者派遣形態も認められます。転籍制限期間は1年です。育成就労を経て特定技能1号へ移行する道筋(育成就労評価試験の専門級合格など)も同じ方針の中で定められており、宮崎県内の受入れ人数枠については「育成就労の受入れ人数枠|宮崎は「指定区域」で最大3倍」で解説しています。
2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針では、農業分野の1号特定技能外国人に求める日本語能力水準を「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上、2号についてはB1相当以上と記載し、技能試験の名称も「農業特定技能1号評価試験」「農業特定技能2号評価試験」となっています。一方で、出入国在留管理庁は「新たに定められた特定産業分野及び業務区分については、省令等の準備が整い次第受入れが可能」と案内しており、現に運用されている農業分野の運用要領別冊(令和7年6月6日改正)は従来どおりJFT-Basic・N4以上と1号・2号農業技能測定試験を前提にしています。いつから新しい水準・名称に切り替わるかは、運用要領別冊の改正で確定します。申請の時点で最新版を確認してください。
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 6か月以上の雇用経験 | 過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を6か月以上継続雇用したか。なければ「準ずる経験」か派遣形態を検討 |
| 農業特定技能協議会 | 在留申請の前に加入。費用無料・通知まで約2週間。加入通知書を保管 |
| 業務区分 | 耕種か畜産か。栽培管理・飼養管理を含む職務内容を雇用契約書に明記 |
| 本人の要件 | 試験合格証明書か、技能実習2号の専門級実技合格証明書(または評価調書) |
| 支援体制 | 自社で支援するか登録支援機関に委託するか。委託先は協議会に協力する機関であること |
| 労働条件 | 日本人と同等以上の報酬、深夜割増、休憩・休日の設定 |
| 実務経験証明 | 2号を目指す人材のため、担当作業・指導人数の記録を残す |
Q1. 個人経営の農家でも特定技能外国人を雇えますか?
A. 雇えます。ただし過去5年以内に労働者を6か月以上継続して雇用した経験(またはこれに準ずる経験)と、農業特定技能協議会への加入が必要です。家族経営で雇用経験がない場合は、派遣形態や、まず日本人を雇用して経験をつくる方法を検討します。
Q2. 野菜の栽培で雇った外国人を、直売所の販売にも回せますか?
A. 自社が生産した農産物を含む販売作業であれば、日本人も通常行う関連業務として付随的に従事できます。ただし専ら販売に従事させることは認められません。
Q3. 技能実習(施設園芸)を修了した人を、畜産で特定技能として雇えますか?
A. 技能試験の免除は対応する区分に限られます。施設園芸の技能実習2号修了者が免除されるのは耕種農業全般の試験で、畜産農業全般で働くには1号農業技能測定試験(畜産農業全般)の合格が必要です。日本語試験は職種にかかわらず免除されます。
Q4. 協議会への加入に費用はかかりますか?
A. 入会費・年会費などの費用はかかりません。WEB申請から通常2週間程度で加入通知書がメールで届きます。
Q5. 宮崎県内で農業分野の特定技能外国人が多い地域はどこですか?
A. 2025年12月末時点では宮崎市228人、都城市206人、川南町125人、小林市81人の順です。川南町は町内の特定技能1号189人のうち125人が農業です。
Q6. 2号になると何が変わりますか?
A. 在留期間の更新回数に上限がなくなり、要件を満たせば家族の帯同も可能になります。受入れ側の支援計画の作成・実施義務は1号特有のもので、2号には課されません。宮崎県内の農業分野では2025年12月末時点で27人が2号として在留しています。
宮崎県の特定技能1号は農業が最多の931人で、県内の3人に1人が農業分野です。2号も27人と、熟練人材が育ち始めています。農業分野で受け入れるには、耕種・畜産の業務区分に沿った職務内容、本人の試験(または技能実習2号修了による免除)に加えて、受入れ側の6か月以上の雇用経験と農業特定技能協議会への事前加入という農業だけの要件があります。派遣形態という選択肢があること、労働時間は適用除外でも深夜割増は残ることも押さえておきたい点です。2027年の育成就労開始や日本語要件の見直しが控えていますので、制度が動く前に自社の要件を先に整えておくことが、採用を止めないための一番の近道です。
当事務所は宮崎市を拠点に、宮崎県内の農業法人・農家の皆さまの特定技能受入れ(協議会加入から在留申請、支援計画まで)と、農業分野で働く外国人ご本人の在留手続の双方をお手伝いしています。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。在留者数は出入国在留管理庁公表の速報値(2025年12月末時点)です。農業分野の要件、試験の名称、日本語能力水準は、運用要領別冊や告示の改正により今後変更される可能性があります。実際の受入れや申請にあたっては、出入国在留管理庁・農林水産省の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市