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特定技能の介護、受入れ枠14万6,900人へ|配分変更案

明るい介護施設の居室に、たたんだタオルと水のグラス、観葉植物を置いたイメージ。介護の現場を象徴。

2026年10月19日、法務省で第15回「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」が開かれ、介護分野の受入れ見込数の配分を見直す案が示されました。分野全体の受入れ見込数(16万700人)は変えずに、特定技能1号を12万6,900人から14万6,900人へ2万人増やし、育成就労を3万3,800人から1万3,800人へ2万人減らすという内容です。

理由として資料は、介護分野の特定技能1号の在留者数が想定を上回るペースで増えており、今の配分のままでは令和9年度(2027年度)後半に受入れ見込数を超える可能性があることを挙げています。まだ「案」の段階です。この記事では、会議資料をもとに、案の中身と理由、決定までの流れ、そして介護事業所がいま確認しておきたい点を整理します。


1. 10月19日の有識者会議で示された案

会議資料「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)について」(資料3-2)の配分案は次のとおりです。

区分現行の配分配分見直し後(案)差し引き
特定技能1号126,900人146,900人+20,000人
育成就労33,800人13,800人−20,000人
介護分野全体160,700人160,700人±0
出典:出入国在留管理庁 第15回有識者会議(2026年10月19日)資料3-2

現行の数字は、2026年1月23日に閣議決定された介護分野の分野別運用方針に定められたものです。特定技能1号の見込数は令和6年度から令和10年度末までの5年間、育成就労の見込数は令和9年度から令和10年度末までの2年間の受入れの上限として運用されます。同じ日の分野別運用方針の改正案(資料1-2)でも、介護分野の特定技能1号は14万6,900人、育成就労は1万3,800人と書き換える案になっています。

ポイントは、介護分野に入れる外国人の総数を増やす案ではないことです。総数は16万700人のまま、2つの制度の間で枠を付け替える案です。


木の机の上で、小石を載せた天秤が釣り合っているイメージ。同じ合計の中での配分の見直しを象徴。

2. なぜ配分を変えるのか

2-1. 特定技能1号が想定を上回るペースで増えている

資料3-2によると、介護分野の特定技能1号の在留者数は、2026年6月末時点で79,884人です。年末の数字で見ると、次のように増えています。

時点介護分野の特定技能1号の在留者数
2023年12月末28,400人
2024年12月末44,367人(前年比1.56倍)
2025年12月末67,871人(前年比1.53倍)
2026年6月末79,884人
出典:第15回有識者会議 資料3-2(出入国在留管理庁公表データ)

この伸びが想定を上回っているため、現行の12万6,900人のままでは令和9年度後半に上限を超える可能性があるとされています。

2-2. ヒアリングした事業者は特定技能を重視、育成就労には余裕

資料は、受入企業や関係団体へのヒアリングの結果として、次の点を挙げています。

  • ヒアリングした事業者は即戦力として特定技能を重視:外国人介護人材を受け入れている事業者6社のすべてが、即戦力であること、受入れの体制やノウハウが既にあること、育成のコストなどを理由に、育成就労より特定技能1号を重視していると回答しています
  • 育成就労は受入れ予定がない・未定が多い:同じ6社のすべてが、育成就労の受入れは予定がないか未定と回答しています。理由として、一部の事業者は、雇用管理や報告、監理団体との調整の負担や、コストが見合わないことを挙げています
  • 技能実習「介護」の実績から見て育成就労の枠に余裕がある:技能実習「介護」の1号の認定者数は令和7年度で5,810人で、令和10年度末の段階で育成就労の在留者数が見込数を超える可能性は低いとされています

そのうえで資料は、令和9年度と10年度の育成就労の見込数を、技能実習「介護」の受入実績のおおむね2年分として1万3,800人とし、差の2万人を特定技能1号へ回す案を示しています。

2-3. 見込数を変えてよいのはどんなときか

資料3-1(基本的な考え方)は、受入れ見込数の変更は大きな経済情勢の変化があった場合が原則だとしたうえで、例外として、次の2つがそろうときに限って配分の変更が認められるとしています。

  1. いずれかの在留資格の受入れ需要が当初の想定よりも著しく高いなど、変更に相当の必要性があること
  2. 両制度を利用する外国人などに著しい不利益が生じないなど、変更に許容性があること

資料3-2 は、特定技能1号の需要が当初の想定より著しく高いことを理由に挙げており、今回の案はこの例外に当たるという位置づけとみられます。


3. 受入れ見込数を超えるとどうなるか

受入れ見込数は、単なる目安ではありません。入管法第7条の2第3項・第4項は、特定産業分野を所管する大臣が、分野別運用方針に基づいて必要な人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に対し一時的に在留資格認定証明書の交付の停止を求め、法務大臣は停止の措置をとる、と定めています。介護分野の分野別運用方針(案)でも、厚生労働大臣は、特定技能1号の受入れ見込数を超えることが見込まれる場合などには、法務大臣に交付の停止を求めるとされています。

実際に、外食業分野では在留者数が受入れ見込数(5万人)を超えることが見込まれたため、2026年4月13日から特定技能1号の在留資格認定証明書の交付が停止されました。外食業分野では、ほかの在留資格からの変更も、一部の例外を除いて原則不許可とされています。外食業分野の経緯は「【2026年最新】特定技能「外食業」受入停止の影響と対応策」で扱っています。

介護分野で今回の配分変更が決まれば、特定技能1号の上限が2万人上がり、上限に達する時期は先に延びると考えられます。ただし、資料には配分を変えた後にいつごろ上限に達する見込みかは示されていません。


4. 全体の受入れ見込数はどう変わるか

同じ日の資料1-1(受入れ対象分野・業務区分一覧(案))では、全分野を合わせた受入れ見込数が次のように示されています。

区分受入れ見込数(案)
特定技能1号(全分野)825,400人(+19,700人)
育成就労(全分野)406,500人(−19,700人)
合計1,231,900人(±0)
出典:第15回有識者会議 資料1-1

増減が2万人ではなく1万9,700人なのは、航空分野を育成就労の対象分野にする案で、航空分野の特定技能1号が300人減り、育成就労が300人増えるためです。全体の合計は変わりません。


5. 決まるまでの流れと、まだ決まっていないこと

2026年9月9日の有識者会議の資料(分野別運用方針の改正に向けた作業開始について)では、令和8年度のスケジュールとして、11月の有識者会議を経て、12月に分野別運用方針を決定(関係閣僚会議・閣議決定)する予定が示されています。

時期予定・出来事
2026年1月23日介護分野の分野別運用方針を閣議決定(特定技能1号126,900人・育成就労33,800人)
2026年10月19日第15回有識者会議で、配分変更案を提示
2026年11月有識者会議(分野別運用方針案について議論を継続)=予定
2026年12月分野別運用方針の決定(関係閣僚会議・閣議決定)=予定
2027年4月1日育成就労法令の施行・令和9年度の開始

一方で、次の点は今回の資料では示されていません。

  • 配分を変えた後、介護分野の特定技能1号がいつごろ上限に近づく見込みか
  • 令和10年度末より先(次の5年間)の受入れ見込数
  • 上限に近づいた場合に、どの時点で、どの申請から停止の対象になるか

案が12月にそのまま決まるとは限りません。決まったものとして採用計画を大きく前倒しするのではなく、12月の決定内容を確かめてから計画に反映するのが安全です。


窓辺の机に白紙のノートと2つのフォルダ、観葉植物を置いたイメージ。採用計画の見直しを象徴。

6. 宮崎の介護事業所から見ると

入管庁の統計(令和8年6月末)では、宮崎県の特定技能1号は3,346人で、そのうち介護分野は747人です。農業分野(990人)、飲食料品製造業分野(778人)に次ぐ3番目で、市町村別では宮崎市205人、都城市112人、日南市88人、小林市84人と続きます。

宮崎県内の介護事業所にとっては、次の2点が実務の分かれ目になります。

  • 特定技能1号で採用を続けるなら:配分変更が決まれば上限に余裕が生まれます。それでも、全国の在留者数が増え続ければ、いずれ上限に近づきます。入管庁が公表する在留者数の推移と、厚生労働省・入管庁の発表を定期的に確かめてください
  • 育成就労での受入れを考えているなら:案では、介護分野の育成就労の見込数は令和9年度・10年度の2年間で1万3,800人になります。資料は「余裕がある」としていますが、育成就労でも見込数を超えることが見込まれる場合などには、厚生労働大臣が育成就労認定の停止を求める、と分野別運用方針(案)に定められています

県内の介護分野の状況は「宮崎の特定技能は介護が3位|635人・訪問系サービス解禁を解説」(令和7年12月末の数字)で扱っています。


7. 企業の人事ご担当者が確認したいこと

  1. 自社の採用計画が特定技能1号と育成就労のどちらに寄っているか:案どおりなら、特定技能1号の上限が上がり、育成就労の上限が下がります
  2. いま雇用している特定技能1号の介護職員の在留期限:在留期間の更新の管理は、これまでどおり続けてください
  3. 介護福祉士の資格取得の支援:資料は、介護福祉士の資格を取って在留資格「介護」へ移ると、その分の特定技能1号の枠が空くとして、国による試験対策講座の充実など資格取得の支援を強化するとしています。資格の取得には実務経験・研修・国家試験の合格などが必要で、一定の期間がかかります
  4. 12月の決定内容:配分が決まったら、来年度以降の採用計画に反映します

育成就労制度への移行の全体像は「特定技能・育成就労に業務区分の追加案|12月決定予定」でも扱っています。


8. 外国人ご本人へ

  • 今回の発表は「案」です。 介護分野の特定技能1号の受入れが止まったわけではありません。案は、上限を2万人増やして受入れを続けやすくする内容です
  • 介護分野の特定技能1号で働いている方の在留期間の更新について、今回の資料に扱いを変える記述はありません。在留期限を確かめ、早めに更新の準備をしてください
  • 介護福祉士の資格を目指す方へ:資料は、介護福祉士の資格を取って在留資格「介護」へ移ることを促し、国による試験対策講座の充実など、資格取得の支援を強化するとしています
  • 育成就労で介護の仕事を考えている方へ:育成就労は2027年4月1日に始まる制度です。案では、介護分野の育成就労の受入れ見込数は2年間で1万3,800人になります

9. よくあるご質問

Q1. 介護分野の特定技能1号は、受入れが止まるのですか。

今の時点で止まってはいません。資料は、今の配分のままでは令和9年度後半に上限を超える可能性があるとして、上限を2万人増やす案を示しています。案が決まれば、上限に達する時期は先に延びると考えられます(資料に時期の見込みは示されていません)。

Q2. 配分変更はいつ決まりますか。

2026年9月9日の有識者会議の資料では、11月の有識者会議を経て、12月に分野別運用方針を決定(関係閣僚会議・閣議決定)する予定とされています。

Q3. 介護分野に入れる外国人の総数は増えるのですか。

増えません。介護分野全体の受入れ見込数は16万700人のままで、特定技能1号と育成就労の間で2万人を付け替える案です。

Q4. 育成就労の介護の枠が減ると、受入れができなくなりますか。

資料は、技能実習「介護」の受入実績(1号の認定者数は令和7年度で5,810人)や事業者へのヒアリングから、育成就労の枠には余裕があるとしています。案の1万3,800人は、受入実績のおおむね2年分として設定されたものです。


10. まとめ

10月19日の有識者会議で、介護分野の受入れ見込数の配分を見直し、特定技能1号を14万6,900人へ2万人増やし、育成就労を1万3,800人へ2万人減らす案が示されました。分野全体の16万700人は変わりません。特定技能1号の在留者数が想定を上回るペースで増え、今のままでは令和9年度後半に上限を超える可能性があることが理由です。決定は12月の予定です。いまの採用・更新の管理を続けながら、12月の決定内容を確かめて計画に反映することが大切です。

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本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。

本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭

行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表

所在地:宮崎県宮崎市

出典(一次情報)

  • 出入国在留管理庁「第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」(2026年10月19日・資料1-1、資料1-2、資料3-1、資料3-2) https://www.moj.go.jp/isa/03_00204.html
  • 出入国在留管理庁 第14回有識者会議 資料「分野別運用方針の改正に向けた作業開始について」(2026年9月9日) https://www.moj.go.jp/isa/content/001470098.pdf
  • 出入国在留管理庁 第14回有識者会議 資料4-1「特定技能『外食業分野』における受入れ見込数の上限超過への対応」(2026年9月9日) https://www.moj.go.jp/isa/content/001470101.pdf
  • 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(2026年10月19日掲載)」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00259.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」第5表(令和8年6月末) https://www.moj.go.jp/isa/content/001459475.xlsx
  • e-Gov 法令検索「出入国管理及び難民認定法」第7条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319

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