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特定技能・育成就労に業務区分の追加案|12月決定予定

区画に分かれた無地の木製トレイに無地の木片が並び、右端の空いた区画のそばに予備の木片が置かれた俯瞰イメージ。分野の数は変わらず業務区分だけが増える案を象徴。

2026年9月9日、特定技能制度と育成就労制度の「分野別運用方針」を改正するための作業が始まりました。

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同日の有識者会議で示された案では、板ガラス加工やガラス溶融成形といった新しい業務区分、手袋製造・航空機部品組立て・エクステリア施工などの「主たる技能」の追加、そして航空分野を育成就労の対象に加えることが検討されています。決定は2026年12月の閣議決定が予定されています。受入企業の人事ご担当者と、外国人ご本人の双方に向けて整理します。


1. 結論:決まったのは「作業を始めること」です

先に要点をまとめます。

  • 2026年9月9日、法務省で第14回 特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議が開かれ、分野別運用方針の改正に向けた作業開始が議題になりました。
  • 示された内容はすべて案(検討中)です。資料名にも「(案)」が付いています。この日の会議で制度が変わったわけではありません。
  • 分野の数は19分野のままです。増えるのは分野の中の「業務区分」「主たる技能」「産業分類」で、これは2026年7月にお伝えした「新3分野の追加」とは階層の違う話です。
  • 受入れ見込数の合計は変わりません(19分野の合計123万1,900人・±0)。航空分野で特定技能1号を300人減らし、育成就労を300人増やす振替が案に含まれています。
  • 決定の予定は2026年12月の分野別運用方針の決定(関係閣僚会議・閣議決定)です。育成就労法令の施行は2027年(令和9年)4月1日です。
  • ただし資料には、議論の過程で技能水準の設定や試験の作成といった整理ができない分野等は、追加が令和9年度以降に先送りとなることがあると明記されています。案がそのまま通るとは限りません。

2. 9月9日の有識者会議で何が示されたのか

この有識者会議は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)および育成就労法に基づき、両制度の基本方針および分野別運用方針の案について有識者の意見を聴くために、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」のもとに設置されているものです。その下に、技能評価の方針や試験の適正性を検討する専門家会議が置かれています。

第14回の議事は次の4件でした。

#議題位置づけ
1分野別運用方針に係る閣議決定について報告
2令和7年度有識者会議のフォローアップについて報告
3分野別運用方針の改正に向けた作業開始について検討の開始
4特定技能「外食業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について報告

このうち今回の実務に効いてくるのが3番です。4番の外食業の一時停止措置については、当事務所で別途詳しく整理していますので、そちらをご覧ください。

3. 「分野の追加」と「業務区分の追加」は別の話です

ここが今回いちばん誤解されやすいところです。用語を整理します。

  • 特定産業分野:人材を確保することが困難なため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野。現在19分野で、今回の案でも19分野のままです。
  • 育成就労産業分野:特定産業分野のうち、日本での3年間の就労を通じてその分野の技能を修得させることが相当である分野。17分野→18分野(航空分野の追加を検討中)。
  • 業務区分:特定技能外国人・育成就労外国人が従事できる業務の範囲。
  • 主たる技能:育成就労制度で、業務区分の範囲内で定めて計画的に育成する技能の単位。
  • 産業分類:日本標準産業分類に基づき、外国人を受け入れることができる事業所を限定する上乗せ基準。工業製品製造業・飲食料品製造業・木材産業の3分野にのみ設定されています。

📦 2026年7月にお伝えした話
リネンサプライ・物流倉庫・資源循環という分野そのものを増やす話でした。外枠が増えます。

🧩 今回の話
分野は19のまま、その内側の区切り(業務区分・主たる技能・産業分類)を増やす案です。

つまり今回の案は、分野という外枠は動かさずに、その内側の区切りを細かくするという性格のものです。2026年7月にお伝えしたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の追加は「外枠そのものを増やす」話でしたので、性格が異なります。

なお、自動車運送業分野には育成就労産業分野の設定がありません。業務に従事するにあたって日本の法令に基づく普通自動車運転免許等の取得が前提になるためです。

4. 追加が検討されている中身(一覧)

資料に示された14項目を、そのまま整理します。有効求人倍率はいずれも令和7年度の数値で、資料に併記されているものです。

分野追加が検討されている内容種別有効求人倍率
工業製品製造業板ガラス加工業務区分の追加4.34
工業製品製造業ガラス溶融成形業務区分の追加4.90
工業製品製造業機械金属加工に「航空機部品組立て」業務・主たる技能の追加2.90
工業製品製造業機械金属加工・電気電子機器組立てに「真空成形」業務・主たる技能の追加2.90
工業製品製造業紙器・段ボール箱製造に「貼合工程(上流工程)」「貼合工程(下流工程)」業務・主たる技能の追加5.13
工業製品製造業縫製に「手袋製造」業務・主たる技能の追加3.02
工業製品製造業機械金属加工・電気電子機器組立てにフィルム加工5種(ドライラミネート/押出ラミネート/スリット/製袋/フラットヤーン)主たる技能の追加2.90
工業製品製造業金属表面処理に「バフ研磨」主たる技能の追加2.90
工業製品製造業陶磁器製品製造に「タイル製造」「衛生陶器製造」主たる技能の追加4.95
建設建築に「エクステリア施工」「ブロック建築」主たる技能の追加6.41
航空航空分野を育成就労産業分野として設定し、空港グランドハンドリングの業務区分を設定育成就労産業分野の設定3.61
漁業水産物産地卸売市場業業務区分の追加1.91
飲食料品製造業飲食料品製造業に「豆腐製造」主たる技能の追加2.79
飲食料品製造業産業分類に塩製造業(食塩製造業に限る。)を追加。共管省庁として財務省を追加産業分類・所管省庁の追加4.32

この結果、業務区分の数は工業製品製造業が17→19、漁業が2→3になる案です。

有効求人倍率でみると、建築(エクステリア施工・ブロック建築)の6.41がもっとも高く、水産物産地卸売市場業の1.91がもっとも低くなっています。人手不足の深刻さは業務区分ごとにかなり差があり、追加の理由づけもそれぞれ個別に検討されているとみられます。

無地の木枠の内側が細い木片で区切られ、枠の外に追加の木片が2本置かれた俯瞰イメージ。分野という外枠は変えずに内側の業務区分を細かくする案を象徴。

5. 受入れ見込数は、全体では動きません

「対象が広がる=受け入れられる人数が増える」と読みたくなるところですが、今回の案はそうなっていません。

区分受入れ見込数(案)前回からの増減
特定技能1号805,400人−300
育成就労426,500人+300
19分野の合計1,231,900人±0

増減が生じているのは航空分野だけです。航空分野の特定技能1号を4,600人(−300)、育成就労を300人(+300)とし、分野全体では4,900人で変わりません。航空分野を育成就労の対象に加えるにあたって、既存の枠の中から振り替える設計になっています。

対象の業務が広がっても、受け入れられる総数の上限が広がるわけではありません。枠と対象は別々に管理されています。

受入れ見込数は「大きな経済状況の変化が生じない限り、特定技能1号の受入れの上限として運用する」ものとされています。外食業分野で在留資格認定証明書の交付が止まったのは、まさにこの上限に達したためです。枠の残りは分野ごとに大きく違いますので、採用計画は分野を確認してから立ててください。

6. 技能評価試験はどう整備されるのか

業務区分や主たる技能が増えると、それに対応する試験が要ります。資料には令和8年度に新規追加する技能評価試験の整備予定が示されており、「新規に作成するもの」と「既存試験の範囲を変更するもの」の2種類に分かれています。

6-1. 特定技能の試験(1号・一部2号)

  • 新規作成:板ガラス加工、ガラス溶融成形、1号漁業特定技能評価試験(水産物産地卸売市場業)
  • 範囲の変更:製造分野特定技能評価試験(機械金属加工)に真空成形と航空機部品組立てを追加、同(電気電子機器組立て)に真空成形を追加、同(紙器・段ボール箱製造)に貼合工程を追加、同(縫製)に手袋製造を追加

6-2. 育成就労の試験(初級・専門級)

  • 新規作成:フィルム加工5種、航空機部品組立て、バフ研磨、貼合、手袋製造、板ガラス加工、ガラス容器製造、ガラス容器品質管理、エクステリア施工、空港グランドハンドリング関係の5試験(手荷物・貨物の航空機搭降載業務/手荷物取扱業務/貨物取扱業務/航空機内清掃業務/旅客取扱業務)、水産物産地卸売市場業(初級)
  • 技能検定を活用:真空成形はプラスチック成形職種(真空成形作業)の技能検定に随時3級・基礎級を追加、ブロック建築は技能検定(基礎級・3級)を新規作成
  • 既存試験に内容を追加:陶磁器工業製品製造育成就労評価試験にタイル製造・衛生陶器製造を追加
  • 変更なし:豆腐製造は現行の技能実習評価試験を活用

なお、タイル製造と豆腐製造は、2026年(令和8年)7月29日に技能実習移行対象職種へ追加済みであることが注記されています。すでに技能実習の側で評価の枠組みが整っている業務ほど、育成就労への接続が進めやすいという事情がうかがえます。

無地の木の棒2本を並べ、上は1本の新しい棒、下は既存の棒に短い継ぎ足しを添えた俯瞰イメージ。新規に作る試験と既存試験の範囲を広げる試験の違いを象徴。

7. いつ決まるのか

資料の工程図から、時系列を整理します。

時期内容
2026年(令和8年)1月23日現行の分野別運用方針を決定(関係閣僚会議・閣議決定)
2026年4月15日監理支援機関の許可について施行日前申請の受付開始
2026年夏頃有識者会議(今回の第14回がこれにあたります)
2026年9月1日育成就労計画の認定について施行日前申請の受付開始
2026年11月有識者会議で分野別運用方針案を継続的に議論、専門家会議から検討結果報告
2026年12月分野別運用方針の決定(関係閣僚会議・閣議決定)
2027年(令和9年)4月1日育成就労法令の施行

⚠️ 案がそのまま12月に決まるとは限りません。
資料には、有識者会議や専門家会議での議論の過程で、一定の専門性・技能を要する業務であることの確認(技能水準の設定、試験の作成等)を行うものの、その整理ができない分野等については継続検討となり、対象分野等の追加が令和9年度以降に先送りとなることがあると明記されています。

また、令和9年度以降も、分野別運用方針の変更が必要な場合や、さらなる受入れ対象分野の追加希望があれば検討するとされています。この見直しは毎年度回っていく仕組みだと理解しておくのが実務的です。

8. いま何ができるか

8-1. 企業の人事ご担当者へ

いまの段階は「案」ですので、採用の意思決定を前倒しする局面ではありません。一方で、準備には時間がかかるため、次の3点は今から進められます。

  1. 自社の作業が、追加候補の業務区分・主たる技能に当てはまるかを棚卸しする。 板ガラス加工、ガラス溶融成形、真空成形、フィルム加工、バフ研磨、貼合工程、手袋製造、タイル製造、衛生陶器製造、エクステリア施工、ブロック建築、水産物産地卸売市場業、豆腐製造、食塩製造。自社の工程名と一致しなくても、実際の作業内容で当てはまることがあります。
  2. 産業分類の上乗せ基準を確認する。 工業製品製造業・飲食料品製造業・木材産業の3分野では、業務内容が合っていても事業所が対象の産業分類に含まれていなければ受け入れられません。今回、飲食料品製造業に塩製造業(食塩製造業に限る。)を加える案が出ています。自社がどの産業分類に該当するかは、早めに整理しておく価値があります。
  3. 枠の残りを分野単位で確認する。 対象が広がっても総数の上限は変わりません。外食業のように上限に達すると新規の受入れが止まります。

8-2. 外国人ご本人へ

  • いま持っている在留資格や在留期間に、今回の案が直接影響することはありません。 期間の満了日を基準に、更新の準備を進めてください。
  • 対象になりそうな業務で働くことを考えている場合、鍵になるのは試験です。 新規作成の試験は、方針が決まったあとに作られ、実施されます。試験の実施時期が分かるまでは、日本語能力の準備を進めておくのが確実です。
  • 育成就労の評価試験は初級・専門級という段階に分かれています。技能実習からの移行を考えている方は、いまの職種が移行対象職種に入っているかを確認しておくと、後の見通しが立てやすくなります。

9. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 板ガラス加工で、いつから特定技能の外国人を受け入れられますか。

現時点では確定していません。分野別運用方針の決定が2026年12月に予定されており、その後に試験の作成・実施が続きます。受入れの開始時期は、方針の決定と試験の整備の両方が整ってからになります。

Q2. 分野が19から増えるのですか。

今回の案では特定産業分野は19分野のままです。増えるのは育成就労産業分野(17→18)と、各分野の中の業務区分・主たる技能・産業分類です。

Q3. 航空分野で育成就労が使えるようになると、特定技能の枠は減るのですか。

案では、航空分野の特定技能1号の受入れ見込数が4,600人(−300)、育成就労が300人(+300)とされています。分野全体では4,900人で変わりません。

Q4. 「主たる技能」が増えると、特定技能にも影響しますか。

主たる技能は育成就労制度の概念ですが、多くの項目は業務区分そのものの追加や、特定技能評価試験の範囲変更とセットで検討されています。両制度は接続して設計されていますので、片方だけを見ないでください。

Q5. すでに雇っている外国人の業務内容を、追加候補の作業に広げてもよいですか。

在留資格ごとに認められる活動の範囲が決まっていますので、いまの在留資格で認められている範囲かどうかの確認が先になります。判断に迷う場合は、就労資格証明書の交付申請という確認手段があります。

Q6. 12月に決まったら、すぐに申請できますか。

方針の決定と、試験の実施・受入れの開始は別です。試験が実施されていない業務区分では、技能水準を満たす証明ができません。 決定後の告示や試験の実施情報を確認してから動くことになります。

Q7. 今回の案は、外食業の受入停止に影響しますか。

今回の案には外食業の受入れ見込数の変更は含まれていません。外食業の受入れ再開時期は未定とされ、受入れ見込数の再設定は令和10年度末が予定されています。


10. まとめ

  • 2026年9月9日の有識者会議で、分野別運用方針の改正に向けた作業が始まりました。示された内容はすべて案です。
  • 特定産業分野は19分野のまま。 増えるのは育成就労産業分野(17→18)と、業務区分・主たる技能・産業分類です。
  • 業務区分の追加候補は板ガラス加工・ガラス溶融成形・水産物産地卸売市場業。主たる技能の追加候補には手袋製造、航空機部品組立て、真空成形、フィルム加工5種、バフ研磨、貼合工程、タイル製造、衛生陶器製造、エクステリア施工、ブロック建築、豆腐製造が挙がっています。
  • 受入れ見込数の合計は123万1,900人で±0。 航空分野で特定技能1号から育成就労へ300人を振り替える案です。
  • 決定の予定は2026年12月(関係閣僚会議・閣議決定)。育成就労法令の施行は2027年4月1日です。
  • ただし、技能水準の設定や試験の作成の整理ができない分野等は、令和9年度以降に先送りとなることがあると資料に明記されています。決まったものとして社内の計画に落とし込むのは、12月の決定を待ってからにしてください。

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本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。

本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市

出典(一次情報)

  • 出入国在留管理庁「第14回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」 https://www.moj.go.jp/isa/03_00202.html
  • 同 資料3-1「分野別運用方針の改正に向けた作業開始について」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001470098.pdf
  • 同 資料3-3「技能評価試験の整備予定一覧(令和8年度新規追加)」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001470100.pdf
  • 同 資料4-1「特定技能『外食業分野』における受入れ見込数の上限超過への対応」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001470101.pdf

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