
宮崎県で働く特定技能1号の外国人3,012人のうち、3番目に多い分野は介護(635人・約21%)です。最多の農業(931人)、飲食料品製造業(707人)に次ぐ規模で、飲食料品製造業とは僅差です。介護分野には、特定技能2号が制度上存在しないという他分野にはない特徴があり、さらに2025年4月21日の告示改正で訪問介護等の訪問系サービスへの従事が一定の条件下で可能になりました。この記事では出入国在留管理庁の最新統計(2025年12月末)で宮崎の実態を確認したうえで、介護分野で特定技能外国人を受け入れる際に固有の要件(従事できる業務、本人の試験、協議会への加入、人数枠、訪問系サービスの要件)を、厚生労働省・出入国在留管理庁の運用要領に沿って整理します。宮崎県内の介護事業所の皆さまと、介護分野で働くことを考えている外国人ご本人の両方に向けた内容です。
先に要点をまとめます。
💡 ひとことで言うと:介護分野は「2号が無い代わりに訪問系サービスの門戸が広がった」分野です。人数枠は自社の常勤職員数に連動するため、受入れを検討し始めた段階で、現在の常勤介護職員数と協議会加入の準備を並行して確認しておくことをおすすめします。
出入国在留管理庁が公表する最新の都道府県別・分野別統計(2025年12月末時点)によると、宮崎県の主な分野は次のとおりです。
| 分野(特定技能1号) | 宮崎県 | 県内構成比 | 全国 | 全国構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 農業 | 931人 | 30.9% | 37,952人 | 9.9% |
| 介護 | 635人 | 21.1% | 67,871人 | 17.8% |
| 飲食料品製造業 | 707人 | 23.5% | 93,393人 | 24.4% |
| 外食業 | 203人 | 6.7% | 43,869人 | 11.5% |
| 建設 | 199人 | 6.6% | 49,323人 | 12.9% |
| 漁業 | 146人 | 4.8% | 4,590人 | 1.2% |
| 工業製品製造業 | 140人 | 4.6% | 56,736人 | 14.8% |
| その他(ビルクリーニング・自動車整備等) | 51人 | 1.7% | — | — |
当事務所の記事「宮崎の特定技能は農業が最多|931人・受入れ要件を解説」で整理した分野別統計を再掲・追記しています。
宮崎県内の介護分野の内訳(介護人数/全分野人数)は次のとおりです。
| 市町村 | 介護分野の特定技能1号 | 参考:全分野合計 |
|---|---|---|
| 宮崎市 | 169人 | 738人 |
| 都城市 | 95人 | 716人 |
| 日南市 | 88人 | 213人 |
| 小林市 | 68人 | 188人 |
| 延岡市 | 39人 | 168人 |
| 串間市 | 39人 | 98人 |
| 西都市 | 36人 | 113人 |
| 日向市 | 14人 | 161人 |
| えびの市 | 18人 | 77人 |
| 新富町 | 10人 | 60人 |
| 三股町 | 10人 | 33人 |
宮崎県の介護分野635人の国籍内訳は、ミャンマー317人(49.9%)が突出して多く、インドネシア123人、フィリピン70人、ネパール49人、ベトナム33人、スリランカ18人、中国13人、インド10人、モンゴル2人と続きます。全国では介護分野の最多国籍はインドネシア(21,139人)ですが、宮崎県はミャンマーが約半数を占める点が全国傾向と異なります。上位2か国(ミャンマー・インドネシア)で全体の69.3%です。
介護分野の特定技能1号が従事する業務は、身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)です。運用要領には「これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)」も含まれると明記されています。
日本人職員が通常従事する関連業務(お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)に付随的に従事することも認められますが、「専ら関連業務に従事することは認められません」という注記が運用要領にあり、主たる業務はあくまで身体介護等である必要があります。
就業できる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護等の業務」の実務経験として認められる施設です。特別養護老人ホーム、指定通所介護(デイサービス)、指定訪問介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など、厚生労働省が整理した対象施設一覧に該当する必要があります。

介護分野の特定技能1号で在留するには、次のいずれかに合格・該当していることが必要です。
技能評価試験・日本語評価試験とも、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施され、合格基準は2026年4月1日から適用の基準で、技能評価試験は総得点の60%以上、日本語評価試験は総得点の73%以上です(厚生労働省の試験案内ページによる)。
農業や建設など多くの分野には熟練者向けの特定技能2号がありますが、介護分野には特定技能2号が設定されていません。運用要領別冊にはその理由が明記されています。
「介護分野においては、熟練した技能を有する外国人材は、介護福祉士資格を有する者として、在留資格『介護』での在留が可能であるため、特定技能2号での受入れは行いません。」
つまり、介護分野で経験を積んだ人材のキャリアパスは「特定技能2号への移行」ではなく、介護福祉士国家試験に合格して在留資格『介護』へ移行するという別のルートに設計されています。在留資格「介護」は更新回数に制限がなく、家族帯同も可能です。宮崎県の特定技能2号30人のうち介護分野が0人なのは、この制度設計によるものです。
1号特定技能外国人の人数は、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員の総数」を上限とします。「日本人等」には次の人材が含まれます。
一方で、技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は「日本人等」に含まれません。また、人数枠の算定対象となる「介護職員」は「介護等を主たる業務として行う常勤職員」を指し、事務職員や看護師・准看護師は原則含まれません(訪問系サービスの看護補助者等、一部例外はあります)。
介護分野の1号特定技能外国人は直接雇用に限られ、労働者派遣の対象にはできません。上陸基準の告示で明記されており、これに違反して派遣し、または派遣された者を受け入れた場合は、不正行為として以後5年間、特定技能外国人の受入れができなくなります。農業・漁業のように派遣形態が認められる分野とは異なる点です。
介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる場合、地方出入国在留管理局への在留諸申請の前に、「介護分野における特定技能・育成就労協議会」の構成員となり、入会証明書の発行を受ける必要があります。
これまで介護分野の特定技能外国人が従事できる業務は、施設内でのサービス提供が前提とされてきました。2025年4月21日施行の告示・運用要領改正により、一定の条件の下で訪問介護等の訪問系サービスへの従事が認められるようになりました。
外国人ご本人の側の条件は次のとおりです。
実務経験1年未満でも、日本語能力試験N2相当など、在留資格に応じて求められる日本語能力より高いレベルを有する場合に限り、同行訪問の期間を延長する(週1回のサービス提供なら半年など)ことで例外的に従事が認められる仕組みもあります。
受入事業所には次のような対応が求められます。
これらの遵守事項を満たしていることについて、地方出入国在留管理局への申請時ではなく、巡回訪問等実施機関(国際厚生事業団)へ事前に「訪問系サービスの要件に係る報告書」を提出し、適合確認書の発行を受けるという、通常の在留申請とは別のルートが用意されています。宮崎県内の介護事業所で訪問系サービスへの従事を検討する場合は、在留資格の手続きと並行して、この巡回訪問等実施機関側の手続きも必要になる点に注意してください。

2026年1月23日に閣議決定された介護分野の分野別運用方針では、2024年度から2028年度までの5年間で、介護分野全体の受入れ見込数は16万700人、そのうち1号特定技能外国人の受入れ見込数は12万6,900人で、これが5年間の上限として運用されます。
同じ分野別運用方針は、2027年度から始まる育成就労制度についても介護分野を対象とし、2027〜2028年度の2年間の受入れ見込数を3万3,800人としています。育成就労の技能水準は「介護育成就労評価試験」(初級・専門級)、日本語能力水準は「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上です。転籍制限期間は2年で、農業分野(1年)より長く設定されています。理由として運用方針は、介護が「継続した利用者のいる対人支援サービス」であり、顔なじみの職員による継続的なケアが利用者の生活の質の維持に重要であることを挙げています。育成就労の受入れ人数枠については、当事務所の記事「育成就労の受入れ人数枠|宮崎は「指定区域」で最大3倍」もあわせてご確認ください。
2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針では、介護分野の技能試験・日本語試験の名称が将来「介護特定技能評価試験(技能)」「介護特定技能評価試験(日本語)」に整理される記載がありますが、出入国在留管理庁は「新たに定められた特定産業分野及び業務区分については、省令等の準備が整い次第受入れが可能」と案内しています。現に運用されている介護分野の運用要領別冊(2025年4月21日改正)は、従来どおり「介護技能評価試験」「介護日本語評価試験」を前提にしています。いつ新しい名称・水準に切り替わるかは、運用要領別冊の改正で確定します。申請の時点で最新版を確認してください。
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 常勤介護職員数の確認 | 1号特定技能外国人の受入れ可能人数の上限になる。技能実習生・留学生は含まれない |
| 協議会への加入 | 在留申請の前に加入。費用無料・通知まで約2週間。証明書は初回1年・更新後4年 |
| 雇用形態 | 直接雇用のみ。労働者派遣での受入れは不可 |
| 本人の要件 | 介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格証明書、または技能実習2号修了の証明書類 |
| 訪問系サービスの予定 | 予定がある場合は巡回訪問等実施機関への事前提出を別途スケジュール化 |
| 技能実習からの移行者 | 修了した職種・作業を確認。介護職種以外は介護日本語評価試験が必要になる可能性 |
Q1. 宮崎県で介護分野の特定技能外国人を初めて受け入れます。何から始めればよいですか?
A. まず、現在の常勤介護職員数を確認し、受入れ可能な人数枠を把握してください。並行して、介護分野における特定技能・育成就労協議会への加入手続きを進めることをおすすめします。入会証明書は在留申請の前に必要です。
Q2. 技能実習2号を修了していれば、試験は全部免除されますか?
A. 修了した技能実習が「介護職種・介護作業」であれば、介護技能評価試験・日本語試験・介護日本語評価試験のすべてが免除されます。それ以外の職種からの移行では、日本語基礎テストとN4試験は免除されますが、介護日本語評価試験は別途必要です。
Q3. 訪問介護の事業所でも特定技能外国人を受け入れられますか?
A. 施設サービスに加えて、2025年4月21日以降は一定の条件(実務経験1年以上、事業所の遵守事項の充足、巡回訪問等実施機関への事前提出等)を満たせば、訪問系サービスへの従事も可能になりました。ただし通常の在留申請とは別に、巡回訪問等実施機関側の手続きが必要です。
Q4. 介護分野で長く働いてもらいたい場合、特定技能2号への移行はできますか?
A. 介護分野には特定技能2号がありません。熟練した人材には、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ移行するルートが用意されています。
Q5. 労働者派遣の形で介護人材を受け入れることはできますか?
A. できません。介護分野の1号特定技能外国人は直接雇用に限られており、派遣での受入れは上陸基準の告示で禁止されています。
宮崎県の特定技能1号3,012人のうち、介護は635人(21.1%)で農業・飲食料品製造業に次ぐ3番目の規模です。国籍別ではミャンマーが約半数を占め、全国傾向とは異なる特徴があります。介護分野には特定技能2号が無く、熟練人材には在留資格「介護」への移行というルートが用意されている点、そして2025年4月21日から一定の条件下で訪問系サービスへの従事が可能になった点が、他分野と異なる大きな特徴です。受入れを検討する介護事業所は、常勤職員数の確認、協議会への早めの加入、直接雇用の徹底、そして訪問系サービスを予定する場合の別ルート手続きを、着手前に整理しておくことをおすすめします。
当事務所は宮崎市を拠点に、宮崎県内の介護事業所の皆さまの特定技能受入れ(協議会加入から在留申請、支援計画まで)と、介護分野で働く外国人ご本人の在留手続の双方をお手伝いしています。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
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・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。在留者数は出入国在留管理庁公表の速報値(2025年12月末時点)です。介護分野の要件、試験の名称、日本語能力水準は、運用要領別冊や告示の改正により今後変更される可能性があります。実際の受入れや申請にあたっては、出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市