
2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震を受けて、出入国在留管理庁は被災された外国人の方に向けた在留手続の特例措置を実施しています。ポイントは、特例が3つあり、期限がそれぞれ違うことです。在留期間などの満了日は2027年1月27日まで延び、入管法上の届出義務は2026年11月27日まで猶予されます。一方で、再入国許可と資格外活動許可の期間は延長されません。この記事では、外国人ご本人と企業の人事ご担当者の双方に向けて、対象者・内容・期限を整理します。
在留期間の更新をいつ申請すべきかという平常時の考え方は「在留期間の更新はいつ申請すべきか」で、新様式の在留カードの見方は「新様式在留カードの在留期間確認方法」で解説しています。あわせてご覧ください。
出入国在留管理庁が公表している特例は、大きく3つに分かれます。まず全体像を押さえてください。
| 特例の内容 | 期限 |
|---|---|
| ① 在留期間・在留カードの有効期間などの満了日の延長 | 2027年1月27日まで延長 |
| ② 入管法等に規定された義務の履行の猶予(不履行を不利益に扱わない) | 2026年11月27日までに履行すればよい |
| ③ 被災により本来の活動ができない方への資格外活動許可の特例 | 許可日から3か月(2027年1月27日が上限) |
3つの期限を一つに覚えてしまうと事故につながります。①は2027年1月27日、②は2026年11月27日、③は許可日起算の3か月です。特に②が最も早く到来する点にご注意ください。
なお、これらの特例の根拠は、令和8年熊本地震による災害を特定非常災害に指定した政令(令和8年政令第260号)です。同政令は2026年8月7日に公布・施行され、これにより「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(平成8年法律第85号。以下、特別措置法)に基づく各措置が適用されることになりました。
特例の対象を判断する軸は、災害救助法が適用された市町村と、2026年7月28日という基準日の2つです。
熊本県の公表によれば、災害救助法の適用日は令和8年7月28日で、対象は熊本県内の10市10町1村(21市町村)です。内訳は次のとおりです。
熊本市については、他の20市町村とは別途、適用が決定された経緯があります。適用市町村は後から追加されることがあるため、ご自身の市町村が対象かどうかは、熊本県の最新の公表でご確認ください。
満了日の延長を受けられるかどうかは、2026年7月28日の時点で、救助法が適用された区域に所在していたか、または住居地があったかで判断されます。
現在どこにお住まいかではなく、発災時点の状況が基準になります。
ここが実務上とても重要です。したがって、熊本県内で被災された後に宮崎県をはじめ他県へ避難された方も、基準日の要件を満たしていれば対象になり得ます。
2026年8月7日に公布・施行された法務省告示第69号および法務省・厚生労働省告示第6号により、2027年1月26日までに満了する次の期間・有効期間について、満了日が2027年1月27日まで延長されました。
| 対象 | 主な対象者 |
|---|---|
| 在留期間 | 2026年7月28日時点で在留資格を有して本邦に滞在していた方(短期滞在も含む) |
| 経過滞在期間 | 日本国籍の離脱や出生等により、上陸手続を経ずに在留している方 |
| 在留カードの有効期間 | 同日時点で在留カードを所持していた方(特例期間中の方も対象) |
| 特別永住者証明書の有効期間 | 同証明書を所持していた方 |
| 登録支援機関の登録の有効期間 | 救助法適用区域に住所または事務所の所在地がある登録支援機関 |
| 監理団体の許可の有効期間 | 救助法適用区域に住所または監理事業を行う事務所の所在地がある監理団体 |
いずれも、救助法適用区域に所在または住居地(事業者の場合は住所・事務所所在地)があることが要件です。
この延長は告示によって定められたもので、対象となる方が個別に申請や届出を行うことを求める案内は示されていません。ご自身が対象に当たるかどうか判断に迷う場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にご確認ください。
企業の人事ご担当者へ:見落とされやすいのが、表の下2つ、登録支援機関の登録と監理団体の許可です。従業員個人の在留期間だけでなく、自社(または委託先)の登録・許可の有効期間も延長の対象になり得ます。更新手続のスケジュールを組み直す際は、この2つも棚卸ししてください。
ここが本記事で最もお伝えしたい注意点です。在留期間が延びても、次の2つは延長されません。
これらは特別措置法第3条第2項に基づく延長措置の対象とされていないため、在留期間が延長されても、再入国許可期間や資格外活動許可期間の満了日はそのままです。引き続き必要な場合は、改めて申請する必要があります。
「在留期間が2027年1月27日まで延びたから安心」と考えて出国し、再入国許可の期間が切れていた、という事態は避けなければなりません。在留期間の延長と、許可の有効期間は別物とお考えください。
もう一点、生活実務に直結する注意があります。出入国在留管理庁は、この延長措置に伴う調整を行っているため、新たな在留カードの交付等を受けるために地方出入国在留管理局へ出頭しても、一部の申請を除き、交付等の許可ができない旨を案内しています。許可ができるようになった時点で改めて周知されるとしています。
つまり、満了日が延長されることと、新しい在留カードが手に入ることは別の話です。手元のカードの券面上の有効期限は延長後の日付に書き換わりませんので、金融機関や携帯電話会社など、券面の有効期限を確認する窓口では、告示による延長の説明が必要になる場面が想定されます。窓口で説明ができるよう、入管庁の公表ページを保存しておくことをおすすめします。

特別措置法第4条第1項に基づき、令和8年熊本地震の影響で入管法等に規定された義務を履行することが困難であったと認められるときは、その義務を2026年11月27日までに履行すれば、不履行について不利益な取扱いをしないこととされました。
対象となる義務は別添の一覧で25項番が示されています。主なものは次のとおりです。
3つの期限のうち、この2026年11月27日が最も早く到来します。 住居地の届出や所属機関に関する届出は、落ち着いてから対応しようと考えているうちに期限を過ぎやすい手続です。復旧のめどが立った段階で、早めに棚卸しをしてください。
被災により本来の職場で働けなくなった方に向けて、資格外活動許可を付与する特例措置が実施されています。企業の人事ご担当者にとっては、従業員の雇用継続を考えるうえで重要な選択肢です。
次のいずれにも該当する方が対象です。
ここでいう「一定の期間」とは、3か月を超えない範囲とされています。つまりこの特例は、所属機関へ戻ることを前提とした一時的な措置です。転職を前提とした制度ではない点にご注意ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 活動の範囲 | 1日について8時間以内の、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動(風俗営業等の従事を除く) |
| 許可の期限 | 許可日から3か月。ただし許可期限が2027年1月27日を超える場合は同日が期限 |
| 再度の許可 | 事業所等の復旧作業が終わらないなど、元の所属機関での再開が困難なやむを得ない事情がある場合は、再度の許可を受けることが可能 |
申請は最寄りの地方出入国在留管理官署へ出頭して行うのが原則ですが、出頭が困難な場合には、申請者ご本人または所属機関による郵便・FAXでの申請も可能とされています。技能実習生の場合は監理団体、特定技能外国人の場合は登録支援機関も所属機関に含まれます。FAXを希望する場合は、送り先の官署にFAX番号を確認してください。
必要な資料は次のとおりです。

制度そのものとは別に、手続の運用についても被災された方への配慮が示されています。
被災したことにより在留期間内に申請ができなかった方については、当面の間、在留期間を経過した場合であっても個別に手続を行うとされています。期限を過ぎてしまったからと諦めず、まずは最寄りの入管へ相談してください。
被災により本来の住居地から一時的に移動・避難された方は、現在の滞在先を管轄する入管で申請することができます。
宮崎県内へ避難されている方の場合、管轄は福岡出入国在留管理局となります。熊本まで戻らなければ手続ができない、ということではありません。
被災された外国人の方に向けて、無料の臨時相談会が開催されました。2026年8月30日の開催分は終了しています。記録として内容を残します。
| 日時 | 2026年8月30日(日)11:00〜13:00 |
| 場所 | 氷川町役場(熊本県八代郡氷川町島地642) |
| 主催・共催 | 主催:熊本県、熊本県国際協会/共催:氷川町、福岡出入国在留管理局、外国人技能実習機構(OTIT)ほか |
| 対象 | 氷川町・八代市地域の在住外国人、外国人受入れ企業のご担当者など |
| 相談内容 | 総合相談、在留資格・申請手続、り災証明書や被災者支援の申請などの行政手続、住まいの相談など |
| 対応言語 | 日本語、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、スペイン語 |
この相談会に関するお問い合わせ先として、福岡出入国在留管理局 審査管理部門 在留支援担当(電話:092-717-7595)が案内されていました。相談会のリーフレットは日本語・英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語で用意されています。
なお、資格外活動許可の特例については、入管庁がやさしいにほんご版の案内も公表しています。日本語での説明が難しい従業員の方には、これらの資料を共有すると理解が進みます。
Q1. 満了日の延長を受けるために、何か申請は必要ですか。
A. 告示によって定められた延長であり、対象者が個別に申請や届出を行うことを求める案内は示されていません。ご自身が対象に当たるか判断に迷う場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にご確認ください。
Q2. 短期滞在で滞在中に被災しました。対象になりますか。
A. 在留期間の延長の対象には短期滞在も含まれるとされています。2026年7月28日時点で救助法適用区域に所在していたことなどの要件を満たすかを確認してください。
Q3. 現在は熊本県外に避難しています。特例の対象から外れますか。
A. 満了日の延長の判断基準は2026年7月28日時点の所在・住居地です。避難によって現在の居住地が変わっていても、基準日の要件を満たしていれば対象になり得ます。申請も現在の滞在先を管轄する入管で行えます。
Q4. 在留期間が延びたので、いったん帰国して再入国しても大丈夫ですか。
A. 再入国許可の期間は延長の対象外です。在留期間が延長されても再入国許可期間の満了日は延びませんので、出国前に有効期間を確認し、必要であれば改めて申請してください。
Q5. 資格外活動許可の特例で、3か月を過ぎても職場が復旧しない場合はどうなりますか。
A. 事業所等の復旧作業が終わらないなど、元の所属機関での再開が困難なやむを得ない事情がある場合は、再度、資格外活動許可を受けることが可能とされています。ただし許可期限は2027年1月27日が上限です。
Q6. 在留カードを紛失しました。再交付の届出が期限を過ぎてしまいます。
A. 紛失等による在留カードの再交付は、義務の履行が猶予される25項番の一つに含まれています。2026年11月27日までに履行すれば、不履行について不利益な取扱いはしないとされています。ただし新たな在留カードの交付自体が当面制限されている点は、あわせてご承知おきください。
令和8年熊本地震に伴う在留手続の特例は、満了日の延長(2027年1月27日)、義務履行の猶予(2026年11月27日)、資格外活動許可の特例(許可日から3か月)の3本立てです。3つの期限は異なり、最も早く到来するのは義務履行の猶予期限です。
そして、再入国許可と資格外活動許可の期間は延長されないこと、新たな在留カードは当面交付されないことが、実務上の落とし穴になります。在留の適法性が保たれることと、日常の手続がこれまでどおり進むことは、別の問題です。
制度の適用可否は、発災時点の住居地、在留資格の種類、手元の許可の有効期間によって変わります。判断に迷われる場合は、早めに専門家または最寄りの入管へご相談ください。
なお、被災された方の在留許可手数料については、2026年9月7日に出入国在留管理庁があらためて案内を公表しています。満了日が延長されていても手数料の分かれ目は9月30日で動かない点を、被災者の在留手数料|9月30日が分かれ目で解説しています。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年8月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市