
2027年4月1日に始まる育成就労制度について、出入国在留管理庁(以下、入管庁)は2026年10月16日、宿泊分野の「特定の分野に係る育成就労制度運用要領」(法務省・厚生労働省・国土交通省編)を公表しました。これで宿泊分野は、分野別の運用要領と、主たる技能ごとの審査基準の両方が公表済みになりました。一方で、育成就労計画の認定申請の前に必要な分野別協議会への加入手続は、2026年10月19日に確認した時点で「準備中」とされています。本記事では、旅館・ホテルで育成就労外国人を受け入れるための基準を、受入れ企業のご担当者と、宿泊業で働くことを考えている外国人ご本人に向けて、公表資料に沿って整理します。
宿泊分野の運用要領は「令和8年10月16日公表」と制定履歴に記載されています。入管庁の「育成就労制度に係る施行日前申請」のページを2026年10月19日に確認した時点で、宿泊分野の準備状況は次のとおりです。
| 項目 | 宿泊分野の状況(2026年10月19日確認) |
|---|---|
| 分野別運用要領 | 公表済み |
| 審査基準(主たる技能「宿泊」) | 公表済み |
| 分野別協議会等の加入手続 | 準備中 |
育成就労計画の認定に係る施行日前申請は、2026年9月1日から外国人技能実習機構で受け付けられています。ただし入管庁は、分野別協議会等への加入を証明する書類がないまま申請した場合には、追加で提出するまで審査を保留するとしています。宿泊分野では、協議会の加入手続が始まってから申請書類をそろえるのが実務上の順番です。
💡 ポイント:運用要領と審査基準の範囲では、「どの事業者が・どの業務で・どの試験を目標に」受け入れられるかが明らかになりました(分野別協議会で今後協議が調う措置は別途確認が必要です)。加入手続の開始を待つ間に、旅館業営業許可書の名義の確認や、1年目・2〜3年目の業務の割り振りなど、育成就労計画の中身を先に固めておくことができます。
告示(令和8年国土交通省告示第515号)第1条は、宿泊分野の育成就労実施者を、旅館業法第3条第1項の許可を受けて、同法第2条第2項の旅館・ホテル営業を営む者と定めています。運用要領の留意事項は次のとおりです。
また、旅館・ホテル営業を営まない次の事業者は、宿泊分野の育成就労実施者になることができません。
旅館業法第2条は、旅館業を「旅館・ホテル営業、簡易宿所営業及び下宿営業」の3つに分けています。同じ「宿」でも、許可の種類が簡易宿所営業であれば宿泊分野の育成就労は受け入れられないため、まず自社の営業許可の種類を許可書で確認することが出発点です。

宿泊分野の主たる技能は「宿泊」で、技能の定義は「宿泊施設における、宿泊、飲食、会合等での施設の利用客に対する、フロント、企画広報、接客、レストランサービス、安全衛生のための業務を行うための技能」とされています。審査基準(別紙)では、必須業務が年次で次のように分かれます。
| 区分 | 1年目(必須業務) | 2年目・3年目(必須業務) |
|---|---|---|
| フロント | フロント業務補助(到着時・出発時の送迎、手伝いを必要とする利用客への対応) | フロント業務(上記に加えて、チェックイン・チェックアウト作業補助と精算) |
| 企画・広報 | — | 企画・広報業務(キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、HP・SNS等による情報発信) |
| 接客 | 接客業務補助(挨拶、客室への注文品の配送・提供、荷物の預かりと返却) | 接客業務(上記に加えて館内・周辺施設の案内) |
| レストランサービス | レストランサービス業務補助(会場の清掃と準備、テーブルセッティング、注文の受付〔アレルギーの有無を上司に確認〕、料理・飲物の提供〔手消毒を含む〕、食器類の後片付け) | レストランサービス業務(同左。注文の受付ではアレルギーの有無を利用客に確認し上司に報告) |
運用要領の別表は、育成就労の対象となった期間の合計が1年に達するまではフロント・接客・レストランサービスの3種類すべてに、2・3年目からはこれに加えて企画・広報業務にも従事する必要があるとしています。このほか、雇入れ時等の安全衛生教育などの安全衛生業務があります。「その他従事する業務の例」としては、宿泊区分に属するポーター・車の誘導・ドアの開閉・客室への案内と、宿泊業務区分に関連する客室の清掃・整備作業、食器洗浄作業、備品補充などが挙げられ、このうち関連する業務は付随的に従事することが可能とされています。
⚠️ 注意:客室清掃や食器洗浄は「付随的に従事することが可能」な業務です。これらを中心に働いてもらう計画は、主たる技能「宿泊」を修得する計画として認められない可能性があります。
運用要領の別表は、時点ごとに求める技能と日本語の水準を次のように定めています。
| 時点 | 技能 | 日本語 |
|---|---|---|
| 業務に従事するまで | — | JFT-Basic A1相当以上もしくはJLPT N5以上、または認定日本語教育機関等での相当する日本語講習の受講 |
| 育成就労の期間の合計が1年に達するまで | 宿泊分野育成就労評価試験(初級) | JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上 |
| 本人意向の転籍時 | 宿泊分野育成就労評価試験(初級) | JFT-Basic A2.1相当以上またはJLPT N4以上 |
| 育成就労の終了日まで | 宿泊分野特定技能1号評価試験 | JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上 |
就労開始前の日本語講習は、運用要領の本文で「認定日本語教育機関の『就労のための課程』等における当該水準に相当する日本語講習100時間以上の受講」と説明されています。また、育成就労実施者は、1年経過時までと終了時までに受験する試験を、育成就労外国人に受けさせることが必要です。基本方針は、試験費用を育成就労実施者または監理支援機関が負担する必要があるとしています。

分野別運用方針は宿泊分野の雇用形態を「直接雇用に限る」としています。宿泊分野は労働者派遣等育成就労産業分野として定められていないため、派遣の形で育成就労外国人を就労させることはできません。
育成就労実施者は、育成就労計画の認定申請の前に、国土交通省が設置する「宿泊分野に係る育成就労外国人の受入れに関する協議会」に加入している必要があります。協議会で協議が調った事項に関する措置を講じること、協議会や国土交通大臣(またはその委託を受けた者)が行う調査・指導などに必要な協力を行うことも求められ、これらを守らない場合は基準に適合しないこととなります。確認書類は「分野別協議会の構成員であることの証明書」です。
なお、特定技能の宿泊分野ですでに協議会に加入している事業者も、育成就労の協議会への加入が必要かどうかは、加入手続の案内で確認してください。
技能実習の宿泊職種で目標としてきた「宿泊技能実習評価試験(専門級)」は、育成就労の宿泊分野(業務区分「宿泊」)に対応すると運用要領の表に示されています。ただし、技能実習を行っていた期間に応じた基準があり、運用要領は例として、技能実習を3年以上行っている場合は育成就労計画の認定を受けることができず、2年を超えて行っている場合は、表で対応する業務区分以外の育成就労を行わせることができないとしています。
いま技能実習生を受け入れている旅館・ホテルは、実習生ごとの実習期間を確認し、育成就労へ移行できるのか、特定技能1号への移行を考えるのかを、早めに整理しておくことをおすすめします。
入管庁の「特定技能在留外国人数の公表等」(第5表)では、2026年6月末の宮崎県の特定技能1号(宿泊分野)は13人と、まだ少ない分野です(詳しくは「宮崎の特定技能1号は3,346人|2026年6月末の分野別」)。育成就労を検討する場合は、次の順で準備を進めると手戻りが少なくなります。
制度全体の流れは「育成就労制度とは|2027年4月開始・技能実習との違いを解説」、施行日前申請の受付については「育成就労計画の施行日前申請|9月1日受付開始」で解説しています。
A. 受け入れられません。運用要領は、簡易宿所営業・下宿営業を営む者、民泊(住宅宿泊事業)・特区民泊を営む者は宿泊分野の育成就労実施者になれないとしています。旅館業法第3条第1項の許可を受けて旅館・ホテル営業を営んでいることが条件です。
A. 入管庁は、分野別協議会等への加入を証明する書類がないまま申請した場合には、追加で提出するまで審査を保留するとしています。宿泊分野の加入手続は2026年10月19日に確認した時点で準備中のため、加入手続の案内が出てから申請書類をそろえるのが確実です。
A. 客室の清掃・整備は、宿泊業務区分に「関連する業務」で、付随的に従事することが可能とされている業務です。必須業務はフロント・接客・レストランサービス(2年目からは企画・広報も)であり、清掃を中心とする計画は審査基準に沿わない可能性があります。
A. 基本方針は、試験費用について育成就労実施者または監理支援機関が負担する必要があるとしています。受入れの費用計画に含めておくことをおすすめします。
A. できません。宿泊分野は直接雇用に限られ、労働者派遣等育成就労産業分野として定められていないため、派遣の形態で育成就労外国人を就労させることはできません。
宿泊分野の育成就労は、運用要領と審査基準がそろい、受け入れられる事業者・業務・試験の目標がはっきりしました。残るのは協議会の加入手続の開始です。旅館・ホテル営業の許可と名義の確認、年次ごとの業務の割り振り、接待防止の体制づくりを先に進めておけば、加入手続が始まったときに速やかに申請へ移ることができます。
当事務所は、宮崎県宮崎市の行政書士法人として、旅館・ホテルでの外国人材の受入れをお手伝いしています。
在留資格の認定・変更・更新など、オンラインで申請できる手続は、全国の方からご依頼をお受けしています。面談はオンライン(Google Meet・LINE)、書類のやり取りは郵送・データで行い、ご来所は不要です。永住許可申請・帰化許可申請は窓口での手続となるため、宮崎県内にお住まいの方に限ります。在留カードは、手続の内容やお急ぎの度合いにより、お住まいの地域の入管の窓口で受け取っていただく場合があります。在留期限の最終日はオンライン申請ができないため、お早めにご相談ください。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。分野別協議会の加入手続は、観光庁・国土交通省の案内をご確認ください。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市