
海外から人材を呼び寄せるとき、在留資格認定証明書(COE)の交付申請に「結核非発病証明書」の添付が必要になる場合があります。これが入国前結核スクリーニングです。ここで多い誤解が2つあります。ひとつは対象国は6か国だが、提出が義務づけられているのは現時点で3か国だけ(インドネシアは2027年1月4日から義務づけられる予定)であること。もうひとつは、対象国の国籍でも対象から外れる方がかなり多いことです。この記事では、外国人ご本人と企業の人事ご担当者の双方に向けて、対象・除外・期限を整理します。
在留資格認定証明書が不交付になった場合の対応は「在留資格認定証明書が不交付になったら」で、申請そのものの進め方は「在留申請オンラインシステム」で解説しています。あわせてご覧ください。
入国前結核スクリーニングとは、指定された国から日本へ中長期間在留する目的で来られる方に対し、入国前に指定の医療機関で胸部レントゲン検査等を受け、結核を発病していないことを証明する「結核非発病証明書」の提出を求める制度です。出入国在留管理庁・外務省・厚生労働省の連名によるガイドライン(令和6年12月26日策定、令和7年3月31日改正)に基づいて運用されています。
最初に押さえるべきは、「対象国に指定されていること」と「証明書の提出が義務づけられていること」は別だという点です。
| 対象国 | 健診の受付開始 | 結核非発病証明書の提出義務付け |
|---|---|---|
| フィリピン | 2025年3月24日 | 2025年6月23日から義務 |
| ネパール | 2025年3月24日 | 2025年6月23日から義務 |
| ベトナム | 2025年5月26日 | 2025年9月1日から義務 |
| インドネシア | 2026年11月2日(予定) | 2027年1月4日から義務(予定) |
| ミャンマー | 開始に向け調整中 | 開始時期は未定 |
| 中国 | 開始に向け調整中 | 開始時期は未定 |
出入国在留管理庁のお知らせのページの見出しは、2026年9月の更新で「フィリピン、ネパール、ベトナム及びインドネシアの国籍を有する方」となりました。6か国は制度上の指定、3か国は現に義務化されている国という二段構えで理解してください。インドネシアは、指定健診医療機関での健診受付が2026年11月2日から始まり、2027年1月4日以降の申請から結核非発病証明書の提出が義務づけられる予定です(詳しくは「インドネシアの入国前結核検査|2027年1月4日から義務化」)。ミャンマー・中国については、実施日は未定です。
ガイドラインによれば、日本国内の結核患者数は年々減少傾向にあるものの、いまも年間約1万人が発症しています。一方で外国生まれの患者数は増加傾向にあり、令和5年の新登録結核患者数10,096人のうち、外国生まれの方は1,619人でした。
対象国は、日本に在留中に結核と診断された外国生まれの患者の出生国のうち、割合の大きい国が選ばれています(平成30年2月26日の第9回厚生科学審議会結核部会での決定に基づくものです)。
| 出生国 | 日本における患者数(2023年) | 外国生まれ患者に占める割合 |
|---|---|---|
| フィリピン | 317人 | 19.6% |
| ベトナム | 272人 | 16.8% |
| インドネシア | 231人 | 14.3% |
| ネパール | 229人 | 14.1% |
| ミャンマー | 155人 | 9.6% |
| 中国 | 148人 | 9.1% |
制度の目的は特定の国籍の方を排除することではなく、入国前の段階で発病の有無を確認し、必要な方が早期に治療へつながるようにすることにあります。
対象となるのは、対象国の国籍を有し、次のいずれかとして日本に入国・在留しようとする方です。
ここでいう中長期在留者とは、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第19条の3に定める方をいいます。具体的には、日本に在留資格をもって在留する外国人のうち、次の①〜④のいずれにも当たらない方です。
つまり、短期滞在(観光・商用など)で来日される方や、3月以下の在留期間しか決定されない方は、そもそも対象外です。「その国の方は全員検査が必要」という理解は正確ではありません。
対象国の国籍であっても、次に当たる場合は対象になりません。企業の人事ご担当者が最も間違えやすいところです。
居住国の滞在許可証等により、現在の居住地が対象国以外の国又は地域であることが確認された場合は対象外です。厚生労働省の説明では、現在の居住地における居住期間は問わないとされています。たとえばベトナム国籍の方が第三国に居住しており、その国の滞在許可証をお持ちの場合が典型です。
この場合は、滞在許可証等の写し(スキャンデータを含みます)とともに、出入国在留管理庁が公開している説明書(日本語版・英語版)を提出します。
入国前に結核検査を目的とした胸部レントゲンを含む健康診断がすでに課されている制度で来日される方は、当面の間対象外とされています。該当するのは次の方々です。
とりわけ特定技能外国人が当面の対象外である点は、受入企業にとって影響が大きい部分です。特定技能の制度全体は「特定技能1号と2号の違い」で解説しています。
再入国許可(みなし再入国許可を含みます)を有する方は対象から除かれます。すでに日本に生活の本拠がある方が一時帰国から戻られるケースがこれに当たります。
やむを得ない特段の事情により結核非発病証明書を提出できない方は、出入国在留管理庁が公開している理由書(日本語版・英語版)を提出することとされています。ただし、これは提出義務が当然に免除されるという意味ではなく、事情を説明する書類を出すという取扱いです。

結核非発病証明書は、対象国内にあり日本国政府が指定した医療機関(指定健診医療機関)が発行するものに限られます。近所の病院で撮ったレントゲンの結果や、一般の健康診断書では代用できません。
流れは次のとおりです。
実務上の注意点として、厚生労働省は次の点を挙げています。
2026年8月28日時点で厚生労働省の特設サイトに掲載されている指定健診医療機関は、フィリピン6か所(マニラ・バギオ・ダバオ・セブ)、ネパール9か所(カトマンズ・ポカラ・ダマック)、ベトナム17か所(ハノイ・ホーチミンシティ・ダナン)の計32か所です。準備が整い次第、順次追加されるとされています。
なお、公式の証明書として認められるのは指定健診医療機関が発行したものだけであり、証明書の偽造などの不正行為はCOEや査証の申請に重大な影響を及ぼす可能性があると明記されています。
結核非発病証明書の有効期間は、原則として結核健診の実施日(胸部レントゲン撮影の実施日)から180日です。出入国在留管理庁のページはこの原則のみを示していますが、厚生労働省の特設サイトには条件により有効期間が90日間となる場合があるため、詳しくは指定健診医療機関に問い合わせるようにとの注記があります。
ここが採用スケジュールの急所です。証明書は「取ってから使うまで」の日数が限られるため、次の順番で逆算してください。
早く撮りすぎると、COEが交付される前や査証申請の前に有効期間が切れてしまう可能性があります。逆に遅すぎると、発病が判明した場合の治療期間をまったく吸収できません。結核を発病していると診断された方は、治療完了後に再度受診する必要があるとされているため、この場合の入社時期は大幅に後ろへずれます。

見落とされやすいのが、COEに「結核非発病証明書未提出」と記載されるルートがあることです。ガイドラインは、審査を行う場面を次の3つに整理しています。
| 場面 | 審査を行う機関 |
|---|---|
| ① COE交付申請時 | 地方出入国在留管理官署 |
| ② COEに「結核非発病証明書未提出」と記載がある方の査証申請時 | 在外公館 |
| ③ COEを取得せず査証申請する方、COE交付対象外の在留資格(一部の特定活動等)で中長期在留する目的の査証申請時 | 在外公館 |
②は、COEは交付されたものの証明書が未提出であることが記載され、在外公館での査証申請の段階で改めて提出を求められる取扱いです。受入企業としては、COEが届いた時点で安心せず、当該記載がないかを確認する運用にしておくと事故を防げます。
なお、COE交付申請時に提出する結核非発病証明書は、写し(スキャンデータを含みます)で差し支えありません。原本を日本へ郵送する必要はありません。
海外から採用される際に、社内で確認しておきたい項目を整理します。
すでに日本に在留されている方にとっては、この制度はこれから来日するご家族に関係します。たとえば対象国にお住まいの配偶者やお子様を「家族滞在」で呼び寄せる場合、その方が中長期在留者として入国することになるため、対象になり得ます。
一方で、ガイドラインが定める審査の場面はCOE交付申請時と査証申請時であり、すでに日本にいらっしゃる方の在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請は、この制度が想定する審査の場面には含まれていません。
また、日本に中長期在留している方に向けて、厚生労働省は次のように呼びかけています。結核の高負荷国の出身の方や滞在歴がある方、入国前結核スクリーニングで発病リスクを指摘された方は、2週間以上長引く咳・たん・微熱・体のだるさなどの症状があれば医療機関を受診してください。日本で結核を発症した場合、居住地の保健所で医療費の一部公費負担の手続や服薬支援を受けられます。
結核は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第3項第2号において二類感染症に位置づけられています。入管法第5条第1項第1号は二類感染症の患者であることを上陸拒否事由として定めており、結核を発病している外国人の方は上陸のための条件に適合しないこととなります。
そして入管法施行規則第6条の2第5項ただし書は、上陸のための条件に適合しないことが明らかであるときはCOEを交付しないことができる旨を定めています。結核非発病証明書は、同規則第6条の2第2項にいう「その他参考となるべき資料」として提出を求められるものです。
出入国在留管理庁は、結核を発病した方については在留資格に該当する活動を安定的・継続的に行い得るかについても疑義が生じ得ると説明しています。単なる健康チェックではなく、在留資格の審査に直結する資料として位置づけられている点を押さえておいてください。
Q1. 対象国の国籍ですが、すでに日本で働いています。次の更新で証明書は必要ですか。
A. ガイドラインが定める審査の場面はCOE交付申請時と査証申請時であり、日本国内での在留期間更新の手続はそこに含まれていません。ご不安な場合は、申請前に最寄りの地方出入国在留管理官署または専門家にご確認ください。
Q2. 日本国内の病院でレントゲンを撮って提出することはできますか。
A. できません。結核非発病証明書は、対象国内にある日本国政府が指定した医療機関が発行するものに限られます。
Q3. インドネシア国籍の方を採用予定です。いま準備は必要ですか。
A. 採用の時期によっては準備が必要です。インドネシアは、指定健診医療機関での健診受付が2026年11月2日から始まり、2027年1月4日以降の申請から結核非発病証明書の提出が義務づけられる予定です。詳しくは「インドネシアの入国前結核検査|2027年1月4日から義務化」をご覧ください。
Q4. レントゲンを撮ったのが半年以上前です。使えますか。
A. 有効期間は原則として撮影日から180日ですので、超過している場合は使えません。なお、条件により90日となる場合があるとされていますので、受診された指定健診医療機関にご確認ください。
Q5. 結核と診断された場合、もう日本には行けないのですか。
A. そのようなことはありません。治療が完了した後、再度指定健診医療機関で検査を受けることとされています。時間はかかりますが、道が閉ざされるわけではありません。
Q6. 証明書は原本を提出しなければなりませんか。
A. COE交付申請時に提出するものは、写し(スキャンデータを含みます)で差し支えないとされています。ただし、査証申請の段階での取扱いは在外公館のご案内に従ってください。
Q7. 対象国の国籍ですが、長く別の国に住んでいます。
A. 居住国の滞在許可証等により現在の居住地が対象国以外であることが確認されれば対象外です。厚生労働省は居住期間を問わないとしています。滞在許可証等の写しと説明書を提出してください。
入国前結核スクリーニングは、対象国6か国のうち、現時点で義務化されているのはフィリピン・ネパール・ベトナムの3か国です(インドネシアは2027年1月4日から義務化の予定)。そして対象国の国籍であっても、現住地が対象国以外の場合、特定技能やEPA看護師・介護福祉士など他制度で健診が課されている場合、再入国許可を有する場合は対象になりません。
実務で効いてくるのは、有効期間(原則180日、条件により90日の場合あり)からの逆算と、COEに「結核非発病証明書未提出」と記載されるルートの存在の2点です。この2つを採用スケジュールに織り込んでおけば、渡航直前に慌てる事態はかなり防げます。
対象かどうかの判断は、国籍・在留資格の種類・現在の居住地・利用する制度の組み合わせで変わります。判断に迷われる場合は、COEの申請前の段階でご相談ください。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年8月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市