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電子渡航認証(JESTA)とは|対象・条件・いつから

閉じたノートパソコンと無地の手帳の上に紙飛行機を置いたイメージ。出発前にオンラインで受ける電子渡航認証を象徴。

日本でも、アメリカのESTAのような「電子渡航認証制度」(JESTA)がつくられることになりました。査証(ビザ)なしで観光や商談のために短期間来日する外国人は、出発前にオンラインで認証を受けることが入国の条件になります。2026年6月5日に改正法が公布されましたが、制度がいつ始まるか、手数料がいくらかは、まだ決まっていません。本記事では、法律で何が決まったのか、誰に関係があるのか、いつから始まる見込みなのかを、日本に家族や知人を呼ぶ外国人ご本人と、海外の取引先を招く企業のご担当者の両方に向けて整理します。

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1. 結論:先に押さえておきたい5点

  • JESTA(電子渡航認証制度)は、査証免除の対象となっている外国人が、短期滞在の目的で来日する前に、オンラインで情報を提供して受ける認証です。
  • 制度ができると、査証も認証も持たない外国人は、原則として日本に入ることができなくなります。航空会社・船会社も、予約の段階で乗客の情報を入管に報告します。
  • 開始日は、法律上「令和11年(2029年)3月31日までの間で政令で定める日」です。政府の計画は「2028年度中」の導入を目標にしています。具体的な日付はまだ決まっていません。
  • 手数料は、申請するときと認証を受けるときの2段階で「政令で定める額」を納めます。金額は未定です。
  • 査証が必要な国・地域の方は、これまでどおり査証を取って来日します。JESTAは査証の代わりにはなりません。

2. JESTAとは——法律で決まったこと

JESTAは「Japan Electronic System for Travel Authorization」の略で、通称「日本版ESTA」とも呼ばれます。根拠となるのは、2026年5月29日に成立し、6月5日に公布された次の法律です。

項目内容
法律名出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律
法律番号・公布日令和8年法律第32号・2026年6月5日公布(同年5月29日成立)
JESTAの部分の施行日令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日(未定)
同じ法律のほかの柱在留資格の変更・更新、永住許可の手数料の上限の引上げ(2026年10月1日から新しい手数料を適用)
改正の理由(要旨)厳格な出入国管理を実現し、あわせて上陸審査の手続を一層円滑にするため

出入国在留管理庁が公表している法律案の理由は、査証が要らない外国人で短期間滞在して観光などをする人について、認証を受けたことを上陸の条件にし、認証を受けた人には上陸許可の証印に代わる措置を可能にする、と説明しています。つまり、入国前のチェックを厳しくすると同時に、空港での手続を速くすることがねらいです。政府の第2次出入国在留管理基本計画での位置づけは、出入国在留管理基本計画の解説記事で紹介しています。

旅行かばんと無地の荷札を並べたイメージ。査証なしで短期間来日する人が出発前に受ける認証を象徴。

3. 誰が認証を受けるのか——3つの場面

法律案要綱によると、認証は次の3つの場面に分かれています。いずれも、出入国在留管理庁長官に対して、条件に合うことを示す情報を電子的な方法で提供し、認証を受けます。

場面対象となる人主な条件
① 短期滞在で上陸する査証免除の対象者で、観光・商談・親族訪問など短期滞在の活動をしようとする人有効な旅券を持っている/活動が虚偽でない/滞在期間が短期滞在の範囲内/上陸拒否事由に当たらない
② 上陸せずに乗り継ぐ日本に上陸せず、日本を経由して第三国へ向かう人(直行通過者)有効な旅券を持っている/上陸せずに経由する目的である
③ 特例の上陸をする寄港地上陸・船舶観光上陸・通過上陸の許可を受けて上陸しようとする人有効な旅券を持っている/許された期間を過ぎて残るおそれがない/上陸拒否事由に当たらない

国の旅券だけでなく、査証免除の対象となっている一部の地域の旅券を持つ方についても、同じく認証が必要になるよう関連する法律が改められています。

JESTAの認証を使わない人

  • 査証を取って来日する方:法律は「査証を受けた者」と「認証を受けた者」を並べて入国の条件にしています。査証がある方は、これまでどおり査証で入国します。
  • 在留カードを持って日本で暮らしている方:JESTAは、査証免除で短期滞在する人のための手続です。在留期間の更新や在留資格の変更とは別の制度です。ただし、出国して日本に戻るとき(再入国)の扱いは、今後の政省令や入管庁の案内で確認が必要です。

4. 認証の条件をくわしく

もっとも多くの人に関係する①(短期滞在)について、法律案要綱の4つの条件を平易に言い換えると次のとおりです。

  1. 有効な旅券を持っていること。期限切れの旅券では認証を受けられません。
  2. 日本で行う活動が虚偽でないこと。観光・商談・会議・親族訪問など、短期滞在で認められる活動であることが前提です。報酬を受けて働くことは短期滞在ではできません。
  3. 滞在しようとする期間が、短期滞在の在留期間の範囲内であること。外務省の案内では、査証免除で上陸するときの在留期間は多くの国・地域で90日です(国・地域によっては15日や30日)。
  4. 上陸拒否事由に当たらないこと。入管法第5条第1項に定める上陸拒否の事由(一定の犯罪歴や過去の退去強制など)に当たらないことです。

認証を行うために必要があるときは、入国審査官に事実の調査をさせることができるとされています。どのような情報を入力するのか、どのような画面で申請するのかといった細目は、今後の政省令や出入国在留管理庁の案内で明らかになります。

5. 入国の流れで変わること

  • 航空会社・船会社の報告義務:日本へ向かう便を運航する会社は、航空券や乗船券を発行するときに予約者の氏名などを入管に報告します。入管から「日本に入らせることが相当でない」と通知された人は、その便に乗せて日本へ入らせてはならないとされています。認証が無いと、出発地で搭乗できないことになります。
  • 上陸許可の証印に代わる電子的な記録:認証を受けた人が上陸の条件に適合すると認められたときは、旅券への証印の代わりに、氏名や上陸年月日などを入管のファイルに記録できるようになります。この場合、短期滞在の在留資格と在留期間が決定され、本人に通知されます。
  • 空港での手続の円滑化:政府の基本計画の概要は、JESTAを「厳格かつ円滑な出入国審査の推進」の施策に位置づけています。

6. 手数料——2段階で、額はまだ決まっていない

法律案要綱では、認証にかかる手数料が2つ定められています。

納めるとき額の決め方現時点の額
認証を受けようとして情報を提供するとき実費を勘案して政令で定める額未定
認証を受けるとき(①短期滞在・③特例の上陸)実費や出入国・在留の公正な管理に要する費用などを勘案して政令で定める額未定

政府の基本計画も「JESTAの手数料の適切な設定」を施策に挙げていますが、具体的な金額は公表されていません。外国の同様の制度の金額から日本の額を推し量ることはできませんので、正式な発表を待つ必要があります。

無地の木製ブロックと砂時計を並べたイメージ。開始日がまだ決まっていない制度の準備期間を象徴。

7. いつから始まるのか——決まっていること・いないこと

項目根拠内容
JESTAの開始(施行日)改正法の附則第1条令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日
政府の目標第2次出入国在留管理基本計画2028年度中の着実な導入
開始前の受付(準備行為)改正法の附則第1条第3号・第2条令和10年(2028年)10月31日までの間において政令で定める日から、開始日より前でも情報の提供と認証ができる(手数料も納める)
開始直後の経過措置改正法の附則第3条出入国・在留の公正な管理を害するおそれが少ないとして法務省令で定める外国人には、開始日から6か月間、認証を入国・上陸の条件とする規定を適用しない

2026年10月8日時点で、開始日を定める政令も、手数料の額を定める政令も出ていません(e-Gov法令検索でも、JESTAの部分は「政令で定める日」のまま未施行です)。開始前の受付が始まる日、6か月の経過措置の対象となる人の範囲も、今後の政令・法務省令で決まります。「2028年度から始まる」と言い切ることはできず、正式な日付は出入国在留管理庁の発表を待つ必要があります。不法滞在対策の全体像の中での位置づけは、不法滞在者ゼロプランの解説記事もご参照ください。

8. 家族や知人を日本に呼ぶ外国人ご本人へ

日本で暮らしている方が、母国のご家族や友人を短期間招く場面では、次の点を押さえておくと安心です。

  • まず、呼ぶ方の国・地域が査証免除の対象かを確かめる:外務省は「査証免除国・地域(短期滞在)」の一覧を公表しています(令和7年9月1日付の案内で74の国・地域)。
  • 査証免除の対象なら:JESTAの開始後は、ご家族が出発前に認証を受ける必要があります。認証が無いと、出発地の空港で搭乗できない可能性があります。
  • 査証が必要な国・地域なら:これまでどおり、在外公館で査証を申請します。JESTAを申請すれば査証なしで来られる、ということにはなりません。
  • 申請は公式の窓口から:アメリカのESTAなどでは、公式に見せかけた非公式の代行サイトが高い料金を取る例が知られています。JESTAの申請方法は、出入国在留管理庁の正式な発表で確認してください。

⚠️ 外務省の一覧には、たとえば中国(香港・マカオの特別行政区旅券を除く)、ベトナム、フィリピンは含まれていません。これらの国の方を招く場合は、JESTAではなく、これまでどおり査証の手続が必要です。一覧は改定されることがあるため、招く前に外務省の最新の案内を確認してください。

9. 海外の取引先を招く企業のご担当者へ

  • 招へいの手順に「認証の確認」を加える日が来る:商談・会議・視察などで査証免除の国から人を招く場合、開始後は渡航前に認証を受けているかを確認する工程が必要になります。
  • 短期滞在でできるのは報酬を受けない活動:認証の条件は「活動が虚偽でないこと」です。実際には作業や指導で報酬を受けるのに、商談と称して短期滞在で入国させることはできません。就労を伴う場合は、就労できる在留資格の手続を検討します。
  • 日程に余裕を持つ:審査の結果によっては認証を受けられないこともあります。航空券の手配と認証の取得の順番は、正式な運用が発表されてから社内の手順に落とし込むのが確実です。
  • 中長期の社員とは別に考える:在留カードを持つ外国人社員の在留期間の更新などは、これまでどおりの手続です。

10. よくあるご質問

Q1. 在留カードを持っていれば、JESTAは要りませんか。

A. JESTAは、査証免除で短期滞在する人が受ける認証で、在留カードを持って日本で暮らす方の在留期間の更新などとは別の制度です。ただし、出国後に日本へ戻るときの扱いは、今後の政省令や出入国在留管理庁の案内で確認してください。

Q2. 査証が必要な国の家族も、JESTAを申請すれば来日できますか。

A. いいえ。JESTAは査証免除の対象となっている人のための認証です。査証が必要な国・地域の方は、これまでどおり査証を取得して来日します。

Q3. いつから申請できますか。

A. まだ決まっていません。法律上、JESTAの開始は2029年3月31日までの間で政令で定める日、開始前の受付は2028年10月31日までの間で政令で定める日からとされています。政府は2028年度中の導入を目標にしています。

Q4. 費用はいくらかかりますか。

A. 申請するときと認証を受けるときに、それぞれ政令で定める額の手数料を納めることになっていますが、金額は公表されていません。

Q5. 日本で乗り継ぐだけでも認証が必要ですか。

A. 改正法では、日本に上陸せずに日本を経由して第三国へ向かう人(直行通過者)も、認証を受けていなければ日本に入ってはならないとされています。乗り継ぎの際に空港の外へ出る場合(通過上陸など)も、認証が許可の申請の要件になります。具体的な対象の範囲や手順は、今後の発表で確認してください。

11. まとめ:決まったのは「仕組み」、決まっていないのは「日付と金額」

電子渡航認証制度(JESTA)は、査証免除で短期間来日する外国人に、出発前のオンライン認証を求める制度として法律で定められました。認証の対象・条件・手数料の仕組みは決まりましたが、開始日と手数料の額はまだ決まっていません。政府は2028年度中の導入を目指しており、法律上は2029年3月31日までに始まります。ご家族や取引先を日本に招く予定のある方は、「査証免除の国から来る人は、出発前に認証が必要になる」と覚えておき、正式な発表を待って準備を進めてください。


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本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。

本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭

行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表

所在地:宮崎県宮崎市

出典(一次情報)

  • 出入国在留管理庁「第221回国会(特別会)提出法案」 https://www.moj.go.jp/isa/05_00054.html
  • 出入国在留管理庁「法律案要綱」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001457880.pdf
  • 出入国在留管理庁「法律案」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001457881.pdf
  • 出入国在留管理庁「理由」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001457882.pdf
  • 出入国在留管理庁「出入国在留管理基本計画」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/basic_plan.html
  • 出入国在留管理庁「第2次出入国在留管理基本計画【概要】」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001467574.pdf
  • 外務省「査証免除国・地域(短期滞在)」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html
  • e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319

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