
出入国在留管理庁は、2026年10月1日付けで「永住許可に関するガイドライン」を改定し、あわせて「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」を策定しました。2026年8月に意見募集(パブリック・コメント)にかけられていた2つの案が、確定版として公表された形です。
改定後の永住許可ガイドラインは、2027年4月1日以降の申請から適用するのが原則です。ただし、収入と公共の負担とならないことの2項目は、改定日(2026年10月1日)の6か月前の日以降に申請し、改定日の時点で審査中の案件にも適用するとされています。つまり、いま審査を待っている方にも関係する内容です。
当サイトでは2026年8月30日の記事「永住許可ガイドライン改定案|10月1日に確定版を公表」で案の段階の内容をお伝えしました。本記事はその続報として、確定版の要点と取消しのガイドラインの中身を、外国人ご本人と企業の人事ご担当者の双方に向けて整理します。
出入国在留管理庁が2026年10月1日に公表した文書は、次の2つです。
| 文書 | 位置付け | 適用・運用の開始 |
|---|---|---|
| 永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定) | 永住許可の審査で考慮する要素の基本的な考え方 | 原則:2027年4月1日以降の申請から(収入・公共の負担は審査中の案件にも適用) |
| 永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン(令和8年10月策定) | 2024年の入管法改正で追加された取消事由の解釈と想定事例 | 2027年4月1日から運用開始 |
あわせて、これまで別にあった「『我が国への貢献』に関するガイドライン」は廃止され、その内容は改定後の永住許可ガイドライン(第4「我が国に貢献した者に対する特例」)に取り込まれました。
💡 ポイント:ガイドラインは、許否の判断基準そのものではなく、審査で「考慮すべき要素についての基本的な考え方」を示したものと位置付けられています。最終的な判断は、個々の事案ごとの総合判断です。

改定後の永住許可ガイドライン「第6 適用時期」には、原則と例外が次のように書かれています。
改定日は2026年10月1日ですので、2026年4月1日以降に永住許可を申請し、10月1日の時点でまだ結果が出ていない方が、この例外に当たると読めます。案の段階では改定日が空欄でしたが、確定版で日付が決まり、対象となる範囲がはっきりしました。
⚠️ 注意:ガイドラインには、年収水準の具体的な金額は書かれていません。「年収○○万円あれば大丈夫」という一律の線引きを前提にせず、世帯構成(扶養親族の数を含む)と収入の推移を確認することが大切です。
改定後の永住許可ガイドラインは、法律が定める3つの要件(素行善良要件・独立生計要件・国益要件)ごとに、考慮要素を次のように整理しています。
| 要件 | 主な考慮要素(ガイドラインの記載) |
|---|---|
| 素行善良要件 | 法律を守り、日常生活でも住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいるか |
| 独立生計要件 | 世帯年収が年収水準に継続して達しているか/将来の年金の受給見込額が「受給年金水準」に達しているか(足りない分は年齢に応じた金融資産〔補填資産〕で補える) |
| 国益要件 | 入管法上の届出義務などの遵守/公租公課(税・社会保険料など)の支払/刑罰法令違反の有無/上陸拒否事由に当たらないこと/原則10年の在留(うち就労資格または居住資格で5年以上)と最長の在留期間/公共の負担とならないこと/日本語能力(B1相当)/制度・ルールの理解/学齢期の子の就学 ほか |
特に実務で影響が大きいと考えられる点は次のとおりです。
国益要件の考慮要素には「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留しているか」が含まれます。これについて、ガイドラインの注4は次の経過措置を置いています。
💡 ポイント:2027年4月1日以降の申請では、結果が出る時期まで条件に入っています。在留期間「3年」で申請を考えている方は、在留期限との兼ね合いを早めに確認しておくと安心です。

2024年の入管法改正で、「永住者」の在留資格を取り消すことができる事由として、次の2つが追加されました(入管法第22条の4第1項第8号・第9号)。新しいガイドラインは、その解釈と想定事例を示したもので、2027年4月1日から運用開始です。
対象となる義務は、罰則で遵守が担保され、かつ退去強制事由に当たらないものとされ、在留カードの有効期間の更新・再交付の申請、在留カードの携帯・提示などが例に挙げられています。
「故意に」とは、支払義務を認識しながら、あえて支払わないことをいいます。収入や財産の状況、滞納の回数・額・期間、経緯などを総合考慮し、支払意思がないことが明白と認められる場合が該当すると考えられています。
| 該当すると想定される例 | 該当しないと想定される例 |
|---|---|
| 長期の滞納があり、届出なく転居して所在不明になっている | 病気・災害・失業などやむを得ない事情で支払えない |
| 繰り返しの催告や滞納処分を受けても、納付の意思を示さない | 催告に応じて支払う意思を示し、分納や猶予を受けている |
| 分納・猶予の約束を守らないことを繰り返す | 生活保護に準じた措置を受けている |
| 脱税などで有罪判決を受けた | 給与から控除されているのに、勤務先が納付していない |
また、滞納額などについて一律の基準を定めて判断するものではないとされています。法人の経営に実質的に関与する永住者が、法人の公租公課をあえて支払わない場合も該当し得る点には注意が必要です。
対象は、窃盗・詐欺・傷害などの刑法上の罪や危険運転致死傷など、一定の故意犯に限られます。拘禁刑であれば、刑期の長短を問わず、執行猶予が付いた場合も含まれます。出入国在留管理庁のQ&Aでは、過失運転致死傷、道路交通法違反、罰金刑は対象にならないと説明されています。
取消事由に当たると判断された場合でも、ガイドラインは、引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権で永住者以外の在留資格へ変更する(職権変更)としています。ほとんどの場合は「定住者」への変更が想定されています。
取消し(在留を認めない)とされるのは、たとえば次のような場合です。
一方で、取消し相当と判断されても、家族関係や人道上の配慮が特に必要な場合は、職権変更とする場合もあり得るとされています。職権変更後に永住許可の要件を満たせば、再び永住許可を受けることも可能です。
国や地方公共団体の職員は、職務の中で取消事由に当たると思われる外国人を知ったときに、出入国在留管理庁へ通報することができます(入管法第62条の2)。ただし、通報は義務ではなく、出入国在留管理庁のQ&Aでは、単に公租公課の支払について市町村などへ相談に行っただけで通報を受けることは想定していないと説明されています。
💡 ポイント:税や保険料の支払が苦しいときは、まず市町村などの窓口で分納・猶予の相談をすることが、取消しの観点からも「該当しない」側に入る行動です。
審査中の方(2026年4月1日以降に申請した方)
これから申請する方
すでに永住者の方
ガイドラインの適用時期の定めによると、改定日(2026年10月1日)の6か月前の日以降に申請し、改定日の時点で申請中の案件には、収入と公共の負担とならないことの2項目が適用されます。それ以外の項目は、2027年4月1日以降の申請から適用されるのが原則です。
ガイドラインには年収水準の具体的な金額は示されていません。世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかが考慮要素とされています。扶養親族の数によっても基準が変わります。
取消しのガイドラインと出入国在留管理庁のQ&Aでは、不注意で携帯しなかった場合などに、その一度の不履行だけで在留資格を取り消すことは想定していないとされています。
病気・災害・失業などやむを得ない事情で支払えない場合や、催告に応じて分納・猶予を受けている場合は、「故意に公租公課の支払をしないこと」に該当しないと想定される例に挙げられています。まずは市町村の窓口で納付の相談をしてください。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、変更の対象は取消事由に当たる本人だけとされています。お子さんの在留資格が「永住者」「永住者の配偶者等」であれば影響はなく、配偶者が「永住者の配偶者等」の場合は、在留資格に当たらなくなるため「定住者」などへの変更が必要になると説明されています。
2027年4月1日から運用開始とされています。
永住許可を取り巻く改正の全体像は、「【2027年施行】永住許可の取消し制度をやさしく解説」でも解説しています。
💴 費用の目安:永住許可申請のサポート料金は「料金表」に掲載しています(初回相談はオンラインで60分まで無料)。ご自身の状況を先に整理したい方は、無料ツール「永住許可の見込み診断」もご利用いただけます。宮崎での申請の流れは「宮崎で永住申請」のページでご案内しています。
当事務所は、宮崎県宮崎市の行政書士法人として、永住許可申請をはじめとする在留手続をお手伝いしています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。ガイドラインは審査で考慮する要素の基本的な考え方を示したもので、永住許可の許否や在留資格の取消し・変更は、出入国在留管理庁が個々の事案の事情を総合的に考慮して判断します。制度の詳細や運用は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市