
在留資格「特定技能」の対象分野に、新たにリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が加わります。これにより特定技能は従来の16分野から19分野になりました(2026年1月23日 閣議決定)。いずれも人手不足が深刻とされる業種です。上乗せ基準告示などの整備が進んでおり、実際の受入れ開始は準備の整った分野から2027年(令和9年)ごろが見込まれています。本記事では、追加される3分野それぞれの業務内容、受入れ見込数や日本語・技能の要件、育成就労制度との関係、そして受入企業・外国人ご本人が今から準備しておきたい点を、行政書士がわかりやすく整理します。
特定技能制度(2019年開始)は、人手不足が深刻な産業分野で一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。制度開始時の12分野から順次拡大し、2024年には自動車運送業・鉄道・林業・木材産業などが加わって16分野となりました。
政府は2026年(令和8年)1月23日、関係閣僚会議及び閣議において特定技能・育成就労の分野別運用方針を決定し、新たにリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を追加しました。これにより、特定技能の対象は19分野となりました。なお、新たに定められた分野・業務区分で実際に受入れが可能となるのは、省令等の準備が整い、公布・施行された後です。
3分野は、いずれも有効求人倍率が高く、機械化・省力化だけでは人手不足を補いきれない業種とされています。制度の詳細は、分野ごとの上乗せ基準告示や運用要領として順次整備されており、準備が整った分野から受入れが始まる見込みです。
📌 ポイント:3分野の「追加が決まった」ことと「実際に受入れが始まる」ことは別です。各分野で試験や運用要領の整備が終わってから、順次受入れが開始されます。現時点(2026年9月)は省令等の整備の段階であり、開始時期は分野により異なります。
まず、3分野の位置づけと主な業務内容を整理します。
| 分野 | 主な業務内容(イメージ) | 人手不足の背景 |
|---|---|---|
| リネンサプライ | ホテル・旅館・病院などと契約したシーツ・タオル等のリネン類の回収、洗濯・仕上げ、納品までの一連の工程 | 訪日外国人旅行者の増加による宿泊需要の高まり |
| 物流倉庫 | 倉庫における入出庫、荷役、流通加工、検品、仕分け・ラベル貼付、在庫管理などの業務 | EC市場の拡大による物流量の増加 |
| 資源循環 | 廃棄物処理施設における中間処理(破砕・選別等)、収集・運搬、分別などの業務 | サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行と担い手不足 |
これらはいずれも、私たちの生活やサービスを「見えないところで支える」産業です。観光・EC・環境という成長領域を人材面から支える分野が、特定技能の受け皿として加わることになります。
リネンサプライとは、ホテル・旅館・病院・介護施設などと契約し、シーツ・タオル・ユニフォームなどのリネン類を回収し、専用工場で洗濯・仕上げ・包装したうえで納品するサービスです。特定技能では、この入荷から出荷までの一連の工程(仕上げ作業、機械への投入・検品・結束包装など)と、安全衛生に関する業務が想定されています。
背景には、政府が掲げる訪日外国人旅行者6,000万人(2030年)の目標に象徴される宿泊需要の高まりがあります。制度面では、上乗せ基準告示(リネンサプライ分野)が2026年4月8日に掲載され、要領別冊(リネンサプライ分野)が2026年6月1日に制定されるなど、整備が先行して進んでいます。
物流倉庫分野は、荷主・倉庫業者・貨物利用運送事業者などが使う倉庫で、物品の入出庫、荷役、流通加工、出荷検品、仕分け・ラベル貼付、在庫管理といった業務に従事するものです。多種多様な貨物を安全・正確に扱う知識と技能が求められます。
近年のEC市場の拡大により、倉庫の面積・稼働はともに増加しており、業界全体で人手不足が深刻化しています。制度面では、上乗せ基準告示(物流倉庫分野)が2026年6月26日に掲載され、受入れに向けた枠組みの整備が進められています。
資源循環分野は、廃棄物処理施設における中間処理(破砕・選別など、廃棄物の減量化・安全化のための処理)を中心に、収集・運搬や分別などの業務が想定されています。プラスチックの再生材需要の高まりなど、循環型経済への移行を担う分野です。
この分野では、廃棄物処理法に基づく許可を受けた施設での業務が前提となり、安全衛生の担当者を配置するなど、安全面の体制が重視される見込みです。多種多様な廃棄物を適切に扱うため、現場での丁寧な知識・技能の習得が求められます。

特定技能では、分野ごとに一定期間の受入れ見込数が定められ、これが受入れの上限として運用されます。3分野について、閣議決定された分野別運用方針で定められた受入れ見込数は、次のとおりです(分野全体=特定技能1号+育成就労)。
| 分野 | 受入れ見込数(分野全体・特定技能1号+育成就労) |
|---|---|
| リネンサプライ | 分野全体でおおむね 7,700人 規模 |
| 物流倉庫 | 分野全体でおおむね 18,300人 規模 |
| 資源循環 | 分野全体でおおむね 4,500人 規模 |
⚠️ これらは分野全体の見込数であり、受入れの上限として運用されます。上表は特定技能1号と育成就労の合計で、内訳はリネンサプライが特定技能1号4,300人+育成就労3,400人、物流倉庫が11,400人+6,900人、資源循環が900人+3,600人です(期間は分野ごとに異なります)。実際の数値は必ず一次情報でご確認ください。
3分野で特定技能1号として就労するには、原則として次の合格が要件となる見込みです。
なお、育成就労を経て所定の技能・日本語の水準を満たした方は、試験の一部が免除されて特定技能1号へ移行できる仕組みが想定されています。分野別の具体的な試験・基準は運用要領で順次示されます。
2027年4月に始まる予定の育成就労制度とあわせて理解すると、全体像がつかみやすくなります。
💡「育成就労(育てる)→特定技能(長く働く)」という人材のキャリアパスの受け皿として、今回の3分野追加が位置づけられています。
育成就労制度そのものの詳細は、あわせて育成就労制度とは(2027年4月開始・技能実習との違い)の記事もご参照ください。
👤 これから日本で働くことを考えている外国人ご本人にとって、3分野追加は働ける仕事の選択肢が広がることを意味します。
🏢 新たに外国人材の受入れを検討する企業にとっては、早めの情報収集と体制づくりが鍵になります。
📅 施行準備として企業が確認しておきたいことリスト

リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野です。これにより特定技能は16分野から19分野になりました(2026年1月23日 閣議決定)。
分野ごとに試験や運用要領の整備が終わり次第、順次開始される見込みです。準備が先行する分野もありますが、実際の受入れ開始はおおむね2027年(令和9年)ごろが見込まれています。同時一斉ではない点にご注意ください。
各分野の特定技能1号評価試験と、日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4等)の合格が要件となる見込みです。分野別の具体的な試験は運用要領で順次示されます。
閣議決定された分野別運用方針では、分野全体でリネンサプライ7,700人、物流倉庫18,300人、資源循環4,500人と定められています。これらは特定技能1号と育成就労の合計で、内訳は順に4,300人+3,400人、11,400人+6,900人、900人+3,600人です。この見込数は受入れの上限として運用されます。
育成就労は原則3年で人材を「育成」する入口の資格、特定技能は一定の技能を持つ人材が「就労」する資格です。今回の3分野は、育成就労から特定技能へ円滑につなげる受け皿として位置づけられています(航空・自動車運送業は育成就労の対象外です)。
自社業務が対象の業務区分に当たるかの確認、受入れ機関としての基準充足、分野別の上乗せ要件(協議会加入等)の把握、試験・開始スケジュールの追跡、育成就労との組み合わせを含む採用計画づくりを、早い段階から進めておくことをおすすめします。
特定技能へのリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野追加は、人手不足が深刻な業種に外国人材の受け皿を広げるものです。分野の追加と受入れ見込数は2026年1月23日の閣議決定で固まっており、残るのは省令等の公布・施行と、分野ごとの試験・運用要領の整備です。実際の受入れ開始や試験の実施時期は分野によって異なります。だからこそ、対象拡大が決まった今は、外国人ご本人にとっても受入企業にとっても「情報を集め、準備を始める合図」といえます。制度の細部は今後さらに具体化されるため、一次情報を確認しながら早めに動くことが大切です。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市