
国際結婚をしたご夫婦が離婚を考えるとき、「日本の役所に離婚届を出せば終わりなのか」「相手の国でも離婚したことになるのか」「外国人の配偶者はそのまま日本にいられるのか」と、日本人同士の離婚にはない疑問がいくつも出てきます。国際離婚では、どの国の法律で離婚するか(準拠法)、戸籍の届出、入管への届出と在留資格、氏(名字)、子どもの親権という5つの論点が同時に動きます。しかも、入管への届出は14日以内、氏を戻す届出は3か月以内、在留資格は6か月を目安に手当てが必要と、期限もばらばらです。
本記事では、法の適用に関する通則法・民法・戸籍法・入管法の条文と、法務省民事局・出入国在留管理庁の案内を軸に、国際離婚の届出と期限を立場ごとに整理します。
国際離婚で最初に確認するのは、どの国の法律が離婚に適用されるか(準拠法)です。日本では「法の適用に関する通則法」が、この選び方を定めています。
離婚の準拠法は、婚姻の効力の規定(通則法第25条)を準用し、次の順で決まります(通則法第27条)。
ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、上の順番にかかわらず、離婚は日本法によります(通則法第27条ただし書)。日本で暮らす日本人と外国人の夫婦であれば、多くの場合、このただし書によって日本法が適用されます。
なお、二重国籍の人の「本国法」は、国籍のうちいずれかが日本国籍であれば日本法とされます(通則法第38条第1項ただし書)。
| 夫婦の状況 | 離婚に適用される法(原則) | 根拠 |
|---|---|---|
| 日本人(日本に在住)と外国人 | 日本法 | 通則法第27条ただし書 |
| 日本人(海外に在住)と外国人が同じ国に住んでいる | 夫婦の常居所地の法 | 通則法第27条・第25条 |
| 同じ国籍の外国人夫婦(日本に在住) | 夫婦の本国法 | 通則法第27条・第25条 |
| 国籍の異なる外国人夫婦がともに日本に在住 | 日本法(常居所地法) | 通則法第27条・第25条 |
海外赴任中の方や、日本と外国を行き来して生活している方は、どちらの国に常居所があるかによって適用される法が変わり得ます。個別の事情によって判断が分かれるため、手続の前に確認しておくと見通しが立てやすくなります。
日本法が適用される場合、夫婦は協議で離婚することができます(民法第763条)。協議離婚は、戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じます(民法第764条・第739条)。
法務省の案内による離婚届の概要は次のとおりです。
外国人配偶者について添付を求められる書類(国籍を証明する書類や、その訳文など)は、個々の事情によって異なります。外国語の書類には日本語訳を付けるのが原則ですので、届出の前に市区町村の戸籍窓口へ問い合わせておくと、何度も足を運ばずに済みます。
💡 注意:未成年の子がいる場合は、離婚届に親権者を記載しなければなりません。親権者の定めがない離婚届は、原則として受理されません(民法第765条第1項、戸籍法第76条)。詳しくは第8章で解説します。
日本の市区町村で協議離婚が受理されると、日本の法律上は離婚が成立し、日本人の戸籍に離婚の事実が記載されます。しかし、相手の国がこの協議離婚を有効と認めるかどうかは、その国の法律次第です。国によっては、裁判所の手続による離婚しか認めていなかったり、本国での登録手続を別に求めていたりすることがあります。
相手国で離婚が認められていないと、外国人配偶者が本国で再婚できない、身分登録が婚姻中のまま残るといった問題が生じ得ます。本国側で必要な手続は、相手国の駐日大使館・領事館に確認するのが確実です。
海外に住む日本人が、現地の法律に基づいて離婚した場合も、日本の戸籍に離婚を反映させる届出が必要です。
外国に在る日本人が、その国の方式に従って届出事件に関する証書を作らせたときは、3か月以内に、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に証書の謄本を提出しなければなりません(戸籍法第41条)。在外公館がない国では、本籍地の市区町村長に直接発送します。
一方、裁判による離婚の場合は、裁判の確定から10日以内に届け出る仕組み(戸籍法第77条・第63条の準用)があります。どちらの方法によるかは離婚の成立の仕方によって異なるため、在外公館または本籍地の市区町村に確認してください。

離婚した外国人配偶者が最初に行うべき入管の手続が、配偶者に関する届出です。出入国在留管理庁の案内に基づき、要点をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 配偶者と離婚または死別した、家族滞在(配偶者として行う日常的な活動を行うことができる者に限る)、日本人の配偶者等(日本人の配偶者の身分を有する者に限る)、永住者の配偶者等(永住者等の配偶者の身分を有する者に限る)の在留資格を有する中長期在留者 |
| 期限 | 離婚した日から14日以内 |
| 届出者 | 中長期在留者本人 |
| 届出方法 | 電子届出システム(オンライン)、地方出入国在留管理官署の窓口(在留カードを提示)、郵送(在留カードの写しを同封) |
| 届出事項 | 氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カード番号、離婚した日 |
| 届け出なかった場合 | 20万円以下の罰金に処せられることがある |
「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格(配偶者の身分に基づくもの)で在留する人が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していることが判明すると、在留資格取消しの対象になります(入管法第22条の4第1項第7号)。ただし、その活動を行わないことに正当な理由がある場合は除かれます。
出入国在留管理庁は、離婚を届け出た場合について、届出と同時に在留資格変更許可申請をしなければならないわけではないとしつつ、正当な理由なく6か月以上配偶者としての活動を行わずに在留していると取消しの対象となるため、できるだけ早期に適当な在留資格へ変更手続をするよう案内しています。
出入国在留管理庁(当時の法務省入国管理局)は、「正当な理由」に当たるなどとして在留資格の取消しを行わない主な例として、次の4つを公表しています。
取り消すかどうかは個別・具体的な状況に基づいて判断され、必ずしもこの4例に限られるものではないとされています。
6か月ルールに当たる事実が判明して在留資格を取り消そうとする場合、法務大臣は、在留資格の変更申請や永住許可申請の機会を与えるよう配慮しなければなりません(入管法第22条の5)。出入国在留管理庁の資料は、6か月以上配偶者としての活動を行わずに在留している場合でも、日本国籍を有する実子を監護・養育しているなどの事情があれば、他の在留資格への変更が認められる場合があるとしています。
変更先の在留資格として何が考えられるかは、日本での在留歴、日本人の実子の有無と監護状況、仕事の内容、生計の状況などによって異なり、一律には決まりません。離婚後も日本で生活を続けたい場合は、6か月を待たずに、早い段階で変更の可否を検討することが大切です。
日本人が外国人と婚姻しても、日本人の氏は当然には変わりません。婚姻の日から6か月以内であれば、届出だけで外国人配偶者の氏に変更することができます(戸籍法第107条第2項)。
この届出で氏を変更していた方が離婚した場合、離婚の日から3か月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、変更前の氏に戻す届出ができます(戸籍法第107条第3項)。3か月を過ぎた場合は、やむを得ない事由があるとして家庭裁判所の許可を得て氏を変更する手続(同条第1項)になります。
| 状況 | 離婚後の氏 | 手続 |
|---|---|---|
| 婚姻中に外国人配偶者の氏へ変更していない | もともとの氏のまま | 氏についての届出は不要 |
| 外国人配偶者の氏へ変更していて、元に戻したい | 変更前の氏 | 離婚の日から3か月以内なら届出のみ(戸籍法第107条第3項) |
| 3か月を過ぎてから元の氏に戻したい | 変更前の氏 | やむを得ない事由による家庭裁判所の許可を得て届出(戸籍法第107条第1項) |
日本人同士の離婚で使われる「離婚の際に称していた氏を称する届」(戸籍法第77条の2)とは仕組みが異なります。外国人との婚姻では、婚姻によって日本人の氏が自動的に変わるわけではないためです。

親子間の法律関係は、子の本国法が父または母の本国法と同一であれば子の本国法、それ以外は子の常居所地法によります(通則法第32条)。国際結婚の子どもが日本国籍を持っていれば、二重国籍であっても本国法は日本法とされ(通則法第38条第1項ただし書)、日本人の親と本国法が同一になるため、親権は多くの場合日本の民法で考えます。
令和6年に成立した民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が、2026年(令和8年)4月1日に施行されました。これにより、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、父母の双方または一方を親権者と定めることになりました(民法第819条第1項)。裁判上の離婚では、裁判所が父母の双方または一方を親権者と定めます(同条第2項)。
法務省の離婚届の記載例にも、「双方が子の親権者」とする場合の記載例が掲載されています。国際離婚では、離婚後に一方の親が本国へ戻るケースもあります。親権を双方にするか一方にするか、子どもがどちらの国で暮らすのかは、子どもの生活に直結する問題ですので、十分に話し合ったうえで決めることが大切です。
💡 在留資格との関係:日本国籍を持つ子を日本で監護・養育していることは、第6章で見たとおり、外国人の親が他の在留資格への変更を検討する際の事情の一つになり得ます。
Q1. 日本で離婚届を出せば、入管にも自動的に伝わりますか。
A. 伝わりません。市区町村への離婚届とは別に、配偶者の身分に基づく在留資格を持つ外国人本人が、離婚の日から14日以内に出入国在留管理庁へ配偶者に関する届出をする必要があります。
Q2. 離婚の届出をしたら、すぐに在留資格の変更申請をしなければいけませんか。
A. 出入国在留管理庁は、届出と同時に変更申請を行わなければならないわけではないとしています。ただし、正当な理由なく6か月以上配偶者としての活動を行わずに在留すると取消しの対象になるため、できるだけ早く適当な在留資格への変更を検討することが案内されています。
Q3. 離婚調停中ですが、別居して6か月が過ぎそうです。取り消されますか。
A. 出入国在留管理庁は、離婚調停または離婚訴訟中の場合を、在留資格の取消しを行わない主な例の一つとして公表しています。ただし判断は個別の事情に基づいて行われますので、調停中であることを示す資料を手元に用意しておくと安心です。
Q4. 「定住者」の在留資格ですが、離婚したら届出は必要ですか。
A. 出入国在留管理庁のQ&Aでは、「定住者」の在留資格で在留している方は、離婚等をした場合に配偶者に関する届出をする必要はないとされています。
Q5. 外国人配偶者の氏に変えていましたが、離婚から4か月たちました。元の氏に戻せますか。
A. 届出だけで戻せるのは離婚の日から3か月以内です(戸籍法第107条第3項)。3か月を過ぎた場合は、やむを得ない事由があるとして家庭裁判所の許可を得て氏を変更する手続になります。
Q6. 夫婦とも外国人ですが、日本で協議離婚できますか。
A. 離婚の準拠法によります。同じ国籍の夫婦であれば本国法が適用されるため、その国の法律が協議離婚を認めているかどうかが問題になります。国籍の異なる夫婦がともに日本に住んでいる場合は、常居所地法として日本法が適用されます(通則法第27条・第25条)。いずれの場合も、本国での扱いは各国の大使館・領事館に確認してください。
国際離婚は、離婚届を出すだけでは終わりません。準拠法の確認、日本と相手国それぞれでの離婚の扱い、入管への14日以内の届出、6か月を目安とした在留資格の手当て、氏と親権と、確認すべきことが立場ごとに分かれています。
国際結婚の手続については、「国際結婚の婚姻届」「国際結婚の子の出生届」「配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の基本」もあわせてご覧ください。
💴 費用の目安:離婚後の在留資格変更許可申請のサポート料金は「料金表」に掲載しています(初回相談はオンラインで60分まで無料)。配偶者ビザそのものの要件・必要書類は「宮崎で配偶者ビザ(日本人の配偶者等)」のページで整理しています。
当事務所は、宮崎県宮崎市の行政書士法人として、国際結婚・国際離婚にともなう在留手続をお手伝いしています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。離婚の準拠法、離婚届の添付書類、相手国での離婚の扱いは、夫婦の国籍・居住地・個別の事情によって異なります。在留資格の変更や取消しの判断は、出入国在留管理庁が個別の事情に基づいて行うものです。親権・養育費・財産分与などの離婚条件や、家庭裁判所での調停・訴訟に関するご相談は、弁護士等の専門家にご相談ください。実際の届出・申請にあたっては、市区町村・在外公館・出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市