
日本で暮らす外国人が日本語や日本の制度・ルールを学ぶための新しい「日本語・生活学習プログラム(仮)」の創設に向けた検討が動き出しました。2026年(令和8年)7月、法務省の法務大臣政務官プロジェクトチーム(PT)が、その方向性と検討課題を整理した報告書を公表しています。注目されるのは、受講状況を在留審査や永住・帰化の審査に反映する方向で検討されている点です。ただし、これはあくまで検討段階の報告書であり、制度として確定したものではありません。本記事では、報告書の内容を行政書士がわかりやすく整理し、外国人ご本人・受入企業が今から意識しておきたい点を解説します。
2026年7月、法務省の法務大臣政務官PTが「日本語・生活学習プログラム(仮)の創設に向けた検討課題と留意事項について」と題する報告書を公表しました。これは、日本で中長期的に暮らす外国人が、日本語と日本の生活上のルール・制度を体系的に学べる仕組みを、国の責任で用意しようという構想です。
まず押さえておきたいのは、この報告書の位置づけです。報告書は「一定の方向性を示しつつ、検討課題や留意事項を整理した」ものであり、本文の記載も「〜ではないか」「〜としてはどうか」という検討ベースの表現になっています。つまり、制度の骨格が確定したわけではなく、今後の政府全体での制度設計を加速させるための土台という段階です。
📌 この記事の前提:以下で紹介する内容は、2026年7月時点の「検討中の方向性」です。対象者・受講義務・審査への反映方法などは、今後の制度設計で変わり得ます。現時点で「こうなる」と確定した制度ではない点を、最初にご理解ください。 📝【2026年10月6日追記】その後、永住許可については、プログラムの創設を待たずに、永住許可に関するガイドライン(2026年10月1日改定)で「日本語能力(B1相当以上)」と「我が国の制度・ルール等への理解」が審査の考慮要素になりました(2027年4月1日以降の申請から適用)。プログラムの試行開始は、政府資料で「令和10年度(2028年度)中」とされています。詳しくは第5章・第8章の追記をご覧ください。
このテーマは、外国人ご本人にとっては将来の在留・永住に関わり得る話であり、外国人材を受け入れる企業にとっても支援体制に関わる話です。早い段階で全体像をつかんでおく価値があります。
背景にあるのは、在留外国人の増加と「秩序ある共生社会」の実現という政策課題です。政府は2026年(令和8年)に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」をまとめ、その中で「日本語や制度・ルール等を学習するプログラムの創設を検討する」と位置づけました。今回のPT報告書は、この方針を具体化するための検討成果にあたります。
報告書が学習プログラムを重視する理由は、大きく次の3点に整理できます。
報告書は、この学習プログラムを「外国人との秩序ある共生社会を実現するための社会基盤(インフラ)となり得るもの」と表現しています。丁寧な制度設計が必要としつつ、「現下の喫緊の課題」であることから、実施できるところから早期に運用を始め、充実・改善していく方向性が示されています。
報告書では、プログラムを「日本語学習」と「生活学習」の2本柱で構成する方向が示されています。学ぶ深さは、その人の在留段階(ライフステージ)に応じて変える想定です。
| 段階 | 主な対象イメージ | 学習内容の深さ(検討中) |
|---|---|---|
| 入国前・入国直後 | これから来日する人・来たばかりの人 | 基礎的な日本語+生活上のルールやマナー |
| 中期 | 一定期間滞在している人 | 生活・就労の場面に応じた発展的な内容 |
| 長期・永住等希望 | 長く住む・永住を目指す人 | より高度かつ広範囲な事項 |
学習の分量は、「入国目的の活動(仕事や学業)との両立が可能な範囲」となるよう配慮するとされており、生活を圧迫しない設計が意識されています。
学び方については、次のような方向が検討されています。
短期的にはICTを使って共通の基盤を整え、長期的な課題として対面学習・入国前学習の環境整備を追求する、という段階的な進め方が想定されています。

報告書は、受講の対象者として「中長期の在留を目的とする外国人を幅広く対象」とする方向を示しています。そのうえで、特に学習機会が乏しくなりがちなグループへの充実が意識されています。
一方で、受講対象年齢の設定、障がいなどにより受講が難しい方への配慮、すでに日本に在留している方への適用をどうするかなどは、「今後さらに検討すべき課題」として明記されています。この点は、すでに日本で暮らしている外国人ご本人にとって特に気になるところですが、現時点では確定していません。
⚠️ 「すでに在留している人はどうなる?」:報告書は、既に在留中の方への適用を「検討すべき課題」と位置づけるにとどめています。現時点で「今いる人全員が受講必須になる」と決まったわけではありません。続報を待つ段階です。
今回の報告書で最も注目されるのが、受講状況を在留審査に反映する方向で検討されている点です。具体的には、次のような内容が「検討する」ものとして示されています。
日本語の習熟度は、認定日本語教育機関等の教育課程の修了や、試験の合格によって確認する方向も示されています。
🔎 もしこの方向で制度化されれば、「日本語や生活ルールを学んだかどうか」が、永住や長期在留の可否に関わる要素になり得ます。ただし、これは「検討する」段階であり、受講の要件化が決まったわけではありません。
【2026年10月6日追記】永住許可については、プログラムの創設を待たずに、永住許可に関するガイドライン(2026年10月1日改定)で、「日本語能力」(「日本語教育の参照枠」のB1相当レベル以上)と「我が国の制度・ルール等への理解」が審査の考慮要素になりました。適用は2027年4月1日以降の申請からです。高度人材外国人とその家族など、B1相当の日本語能力を考慮要素としない場合もあります。制度・ルールの理解は、出入国在留管理庁長官が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に確認するとされています。一方、プログラムの受講そのものを許可の要件にするかどうかは、引き続き検討中です。なお、報告書は受講を促す前向きな動機付けを基本としつつ、地方公共団体や民間団体、受入れ機関がそれぞれの役割で学習を支える姿を描いています。「本人だけに義務を負わせる」のではなく、社会全体で学習を支える設計が意識されている点も特徴です。
👤 制度はまだ検討段階ですが、日本で長く暮らすことを考えている外国人ご本人にとって、意識しておいて損のない動きです。
現時点で「何かの手続きをすぐにする」必要はありません。ただ、日本語学習を前向きに続けておくことが、結果的に将来の選択肢を広げます。
🏢 外国人材を受け入れる企業にとっても、この報告書は無関係ではありません。報告書は、受入れ機関(企業等)の役割について踏み込んだ検討を求めているためです。
📅 受入企業が今から意識しておきたいことリスト

報告書は、制度化を急ぎつつも慎重に進める姿勢を示しています。今後の流れとして意識しておきたいのは次の点です。
つまり、「方向性は見えてきたが、細部はこれから」という段階です。過度に不安になる必要はありませんが、大きな方向として「日本語・生活学習が在留や永住に関わる要素になり得る」という流れは、押さえておく価値があります。
いいえ。2026年7月に公表されたのは、制度創設に向けた「検討課題と留意事項を整理した報告書」です。プログラム自体はまだ始まっておらず、今後、試行期間を経て段階的に運用が始まる見込みです。政府の資料では、試行開始は令和10年度(2028年度)中とされています。
プログラムの受講を永住の要件にするかどうかは、現時点では決まっていません。報告書は、永住許可申請や一定の長期滞在を目的とする在留申請で受講を許可要件とすることを「検討する」としている段階です。要件化されるかどうか、その範囲や時期は今後の制度設計によります。ただし、受講とは別に、2027年4月1日以降の永住許可申請では、B1相当以上の日本語能力と我が国の制度・ルール等への理解が審査の考慮要素になります(永住許可に関するガイドライン・2026年10月1日改定)。
すでに在留している方への適用は「今後さらに検討すべき課題」とされており、確定していません。続報を確認する必要があります。
「日本語学習」と「生活学習(生活上のルールやマナー、地域ごとの文化など)」の2本柱で検討されています。入国前・入国直後は基礎的な内容、長期滞在・永住希望者はより高度で広範囲な内容、というように在留段階に応じて変える想定です。
報告書は、受入れ機関(企業等)に対し、本人と帯同家族の学習支援を一層求める方向を示しています。今すぐ義務が生じるわけではありませんが、就労と学習を両立できる環境づくりや、地域・外部リソースとの連携を早めに意識しておくとよいでしょう。
出入国在留管理庁(moj.go.jp/isa)の公式サイトで、報告書や今後の制度設計に関する情報が公表されます。制度が具体化する局面では、当事務所でも解説をお届けします。
「日本語・生活学習プログラム(仮)」は、外国人が日本社会に円滑になじみ、共生社会を実現するための新しい社会基盤として構想されています。とりわけ、受講状況を在留審査や永住・帰化審査に反映する方向での検討は、長く日本で暮らしたい方にとって見逃せない動きです。永住許可については、2026年10月1日のガイドライン改定で、日本語能力(B1相当以上)と制度・ルールの理解が先に考慮要素となりました(2027年4月1日以降の申請から)。もっとも、プログラムそのものは検討段階であり、対象者・要件・時期などの細部はこれから固まります。だからこそ、今の段階でできる最善は、外国人ご本人にとっては「日本語学習を前向きに続けておくこと」、受入企業にとっては「学習を支えられる体制を意識しておくこと」です。制度の動きは一次情報を確認しながら、落ち着いて備えていきましょう。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づいて執筆し、2026年10月6日に最新の情報を追記しました。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市