
2027年(令和9年)4月1日に始まる育成就労制度では、技能実習制度の「監理団体」に代わって「監理支援機関」が、受入企業(育成就労実施者)に対する監理と、外国人への支援・保護を担います。監理団体がそのまま横滑りするわけではなく、新たに主務大臣の許可を受ける必要があり、外部監査人の設置や監査の頻度など、要件は技能実習のときより厳しくなりました。本記事では、出入国在留管理庁の公式Q&A・制度概要資料と外国人技能実習機構の案内に沿って、監理支援機関の役割、監理団体との違い、そして宮崎県内の受入企業が「どの監理支援機関と組むか」を決めるときに確認しておきたい点を整理します。制度全体の解説は関連記事「育成就労制度とは|2027年4月開始・技能実習との違いを解説」をご覧ください。
先に要点をまとめます。
💡 ひとことで言うと:監理支援機関は「監理団体の看板の掛け替え」ではありません。受入企業側から見ると、組む相手が許可を持っているか、外部監査人がいるか、費用が公表されているかという「確認できる項目」が増えた、と捉えるのが実務的です。
出入国在留管理庁の公式Q&A(Q31)は、監理支援機関の役割を「主務大臣の許可を受けた上で、国際的なマッチング、受入れ機関(育成就労実施者)に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護等を行う」と説明しています。技能実習の監理団体が担っていた機能を引き継ぎつつ、監理・支援・保護の機能を強化する方向で許可要件が見直された、という位置づけです。
育成就労制度で新たに認められる本人意向による転籍についても、転籍を希望する申出があった際に、監理支援機関が関係機関との連絡調整などの役割を担うことになります(Q31)。
育成就労には、監理支援機関が関与する監理型育成就労と、外国の支店・子会社の社員などを監理支援機関を通さずに受け入れる単独型育成就労の2つの区分があります(Q25)。
| 受入れ形態 | 監理支援機関の関与 | 受け入れられる外国人(公式Q&A Q25・Q26) |
|---|---|---|
| 監理型育成就労 | あり | 一般の受入れ。外国の取引先企業の社員もこちら(単独型は不可) |
| 単独型育成就労 | なし | 外国の支店や子会社の社員など、3年間の人材育成という趣旨に沿うもの |
宮崎県内の中小企業の多くは、海外に支店や子会社を持たない限り「監理型」になります。つまり、どの監理支援機関と組むかが、そのまま受入れの体制に直結します。
公式Q&A(Q33)は、監理団体の許可基準に加えて監理支援機関に新たに設けられた体制の要件として、次の4点を挙げています。
| 新設された要件 | 内容 |
|---|---|
| 外部監査人の設置 | 監理支援機関と密接な関係のない有資格者等が、役員の職務執行を監査する体制を置くこと |
| 財務の健全性 | 債務超過がないこと |
| 傘下の受入企業の数 | 監理支援を行う受入企業が原則として2者以上であること |
| 常勤役職員の数 | 監理支援事業の実務に従事する常勤の役職員が2人以上で、かつ、その人数が「受入企業数÷8」と「育成就労外国人数÷40」の両方を上回っていること |
4点目は、言い換えると常勤役職員1人あたり受入企業が8者未満、育成就労外国人が40人未満という比率です(制度概要資料)。傘下の企業や外国人が増えるほど職員を増やす必要があるため、「少人数で多数の企業を抱える」運営はできない設計です。
このほか、制度概要資料では、母国語での相談に対応できる体制を持つこと、外国人の保護の観点から緊急対応等の能力を持つことも許可要件として示されています。
監理支援機関は、事業所ごとに常勤の役職員の中から監理支援責任者を選任します。監理支援を行う受入企業の役職員などは責任者になれず、責任者は過去3年以内に養成講習を修了した人でなければなりません(制度概要資料)。
監理団体の許可を持っていても、育成就労外国人は受け入れられません。監理支援機関の許可は「別の許可」です。
監理支援機関の許可要件の中で最も特徴的なのが外部監査人です。公式Q&A(Q35)は、外部監査人となるための要件として次を挙げています。
受入企業の側から見ると、外部監査人は「自社と利害関係のない専門家が、組む相手である監理支援機関の運営を定期的に点検している」という仕組みです。監理支援機関を選ぶ際に、外部監査人が置かれているか、どのような立場の人かを確認できることは、技能実習のときにはなかった判断材料です。
なお、施行後当分の間、養成講習は技能実習制度の養成講習で代替される予定とされています(制度概要資料)。

制度概要資料「監理支援機関に係る基準」には、監理支援機関が受入企業に対して行う監理支援の内容が具体的に示されています。
受入企業側にも対応する要件があります。公式Q&A(Q39)は、受入企業の新たな要件として、送出機関等から社会通念上相当と認められる程度を超えた金銭・物品・供応接待を受けないこと、労働・社会保険・租税に関する法令を守っていること、雇用契約の締結にあたって待遇の説明を直接またはオンラインで行うこと、受入れ対象分野別の協議会に加入していることなどを挙げています。
また、育成就労外国人に必要な日本語講習の費用は、受入企業または監理支援機関が負担を含めて必要な措置をとることとされています(Q65)。どちらがどこまで負担するかは、監理支援機関と契約する前に確認しておきたい点です。詳しくは関連記事「育成就労の日本語講習|全国322機関の提供状況」をご覧ください。
以上の要件を、受入企業側のチェックリストに置き換えると次のようになります。特定の機関の優劣を示すものではなく、公式の許可基準と公表義務から導ける「確認できること」です。
関連記事「育成就労の受入れ人数枠|宮崎は「指定区域」で最大3倍」で解説したとおり、指定区域(宮崎県は全域が該当)にある優良な受入企業が優良な監理支援機関の監理支援を受ける場合、受入れ人数枠は基本人数枠の3倍になります(Q36・Q41)。
ただし、外国人技能実習機構のリーフレットは、優良な監理支援機関の認定は制度施行後の一定期間の業務の実施状況等に基づいて評価するため、施行日前申請と施行直後の申請受付は行わないと明記しています。つまり、2027年4月の制度開始時点では「優良な監理支援機関」はまだ存在せず、3倍枠を前提にした採用計画は立てられません。優良認定の具体的な基準は、今後運用要領で示される予定です(Q37)。

| 時期 | 出来事 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年4月15日 | 監理支援機関の許可の施行日前申請 受付開始 | 機構リーフレット |
| 2026年9月1日 | 育成就労計画の認定の施行日前申請 受付開始 | 公式Q&A Q3 |
| 2026年9月30日 | 施行日以降早期に監理支援事業を行いたい場合の申請の目安(許可を確約するものではない)/技能実習の監理団体の新規許可申請の期限の目安 | 機構リーフレット |
| 2027年3月31日 | 監理支援機関の施行日前申請の受付終了 | 機構リーフレット |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度の施行。育成就労外国人の受入れが可能に | 公式Q&A Q7 |
| 2027年6月30日 | この日までに技能実習を開始する技能実習生(3月31日までに計画認定申請済み)は経過措置で技能実習を継続可 | 公式Q&A Q46 |
なお、監理支援機関の許可を受けている場合は、技能実習制度の一般監理事業の許可を受けたものとみなされるため、経過措置で技能実習生を受け入れ続ける間も、別途監理団体の許可を更新する必要はありません(Q38)。施行日前申請の実務上の注意点は関連記事「育成就労計画の施行日前申請|9月1日受付開始」で扱っています。監理団体の方で、監理支援機関の許可要件を満たすか・必要書類・手数料を確認したい場合は、当事務所の監理支援機関ナビ(無料・1問1答)をご利用ください。
育成就労で来日する外国人ご本人にとって、監理支援機関は「困ったときの相談先」であり、転籍を希望するときの連絡調整役でもあります。
監理支援機関は、主務大臣の許可、外部監査人の設置、監理支援費の公表という、受入企業の側から確認できる要件を備えた機関です。技能実習からの移行にあたっては、「今の監理団体が監理支援機関の許可を受けるのか」「外部監査人は誰か」「費用はいくらと公表されているか」を早い段階で確認し、2027年4月の施行と、その先の優良認定を見据えた受入れ計画を立てることをおすすめします。
「【育成就労 第1回】2027年4月1日までに何が起きる? 受入企業が今すぐ確認する3点」を当事務所の行政書士が解説した動画(9分49秒)です。制度の施行前に収録しているため、今後の政省令・告示で内容が変わる可能性があります。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
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・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。優良な監理支援機関の認定基準や各分野の上乗せ基準などは今後運用要領で示される予定であり、制度の詳細は変更される可能性があります。実際の手続にあたっては、出入国在留管理庁・外国人技能実習機構の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市