
日本語能力試験(JLPT)の応募者が増え続けています。2026年12月の試験では、国内のN1・N2の申込みが8月31日に締め切られ、再募集は行われません。共同通信の報道(2026年9月27日)によると、文部科学省は全国の認定日本語教育機関に対し、JLPT以外の試験の活用を検討するよう初めて求めたとされています。この記事では、在留資格の日本語要件をJLPT以外の方法で満たせるかどうかを、出入国在留管理庁の公表資料に沿って在留資格ごとに整理します。受験の機会を確保できなかった外国人ご本人と、外国人を雇用・招へいする企業のご担当者に向けた内容です。
先に要点をまとめます。
JLPTを主催する日本国際教育支援協会(JEES)と国際交流基金が公表している応募者数(速報値)は、次のとおりです。
| 試験 | 応募者数(国内外の合計) | うち国内 | うち国内のN2 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月 | 911,918人 | 351,770人 | 96,579人 |
| 2025年12月 | 1,049,597人 | 447,285人 | 132,741人 |
| 2026年7月 | 943,671人 | 376,028人 | 158,682人 |
2025年12月試験は、1回の試験として過去最多でした。2026年7月試験は、海外・国内・合計のいずれも7月試験として最多です。
とくに目立つのは国内のN2です。2026年7月試験の国内のN2の応募者は、前年7月試験より64.3%増えました。国内のN4は46.9%減っているので、すべてのレベルで増えているわけではありません。
N2は、後で見る経営・管理(2025年10月16日の改正)と技人国の「B2相当以上」の要件で、試験で示す代表的な方法です。報道も、一部の在留資格に日本語能力の要件が加わったことを背景の一つに挙げています。
2026年12月試験(試験日は12月6日)は、国内のN1・N2が8月31日12時で締め切られ、再募集はしないと告知されています。N3は東京都・大阪府で9月2日に再募集が行われました。

出入国在留管理庁の資料で確認できる範囲を、在留資格ごとに並べます。
| 在留資格・場面 | 求められる日本語能力 | JLPTで示す場合 | JLPT以外の方法 |
|---|---|---|---|
| 経営・管理(申請者または常勤職員のいずれか) | 「日本語教育の参照枠」B2相当以上 | N2以上 | BJT400点以上/中長期在留者として20年以上在留/日本の大学等高等教育機関を卒業/日本の義務教育を修了し高等学校を卒業 |
| 技人国(主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合) | CEFR・B2相当 | N2以上 | BJT400点以上/中長期在留者として20年以上在留/日本の大学を卒業、または高等専門学校・専修学校の専門課程等を修了/日本の義務教育を修了し高等学校を卒業 |
| 特定技能1号(例:飲食料品製造業分野) | 分野ごとに定める水準 | N4以上 | JFT-Basic A2.2相当以上/技能実習2号を良好に修了していれば日本語試験は免除 |
表の読み方で注意したい点が3つあります。
経営・管理は、2025年10月16日の改正で、申請者または常勤職員のいずれかが「日本語教育の参照枠」のB2相当以上の日本語能力を持つことが必要になりました。出入国在留管理庁は、日本人または特別永住者以外の方について、次のいずれかに当たることを確認するとしています。
本人がN2を持っていなくても、要件を満たす常勤職員がいれば足ります。 たとえば、日本の大学を卒業した常勤職員がいる場合です。改正の全体像は「【2026年最新】経営管理ビザの要件厳格化を行政書士が解説」で解説しています。
技人国では、翻訳・通訳やホテルのフロントなどの接客のように、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合に、業務で使う言語についてCEFR・B2相当の能力を示す資料が求められます。日本語で働く場合は、上の経営・管理とほぼ同じ方法で「B2相当の日本語能力がある」とみなされます。すでに在留している方も、転職や業務内容の変更で対人業務が中心になった場合は、在留期間の更新のときに提出が必要です。詳しくは「【2026年最新】技人国ビザの日本語要件を行政書士が解説」をご覧ください。
特定技能1号では、技能の試験に加えて日本語の試験に合格する必要があります。たとえば飲食料品製造業分野では、出入国在留管理庁の分野別のページに、日本語能力の基準として次のいずれかが書かれています。
さらに、職種を問わず技能実習2号を良好に修了している場合は、日本語試験が免除されます。技能実習から特定技能1号へ移る方は、JLPTの申込みができなかったことが直接の支障にならない場合があります。
一方、介護分野では、全分野に共通する日本語試験に加えて介護日本語評価試験が設けられています。特定技能2号の日本語能力は、分野によって扱いが違い、たとえば飲食料品製造業分野では、2027年4月1日以降は「日本語教育の参照枠」B1相当以上が求められ、その取扱いは別途知らせるとされています。
JFT-BasicやBJTの試験日程・会場・申込方法は、それぞれの実施団体の公式サイトで確認してください。

Q1. 12月のJLPTに申し込めませんでした。経営・管理の申請はできますか。
A. 経営・管理のB2相当以上の日本語能力は、JLPT N2以上のほか、BJT400点以上、中長期在留者として20年以上の在留、日本の大学等高等教育機関の卒業などでも認められます。また、申請者本人でなく常勤職員が要件を満たす形でも構いません。
Q2. BJTは何点あれば技人国の対人業務で使えますか。
A. 出入国在留管理庁は、BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している場合に、CEFR・B2相当の日本語能力を有するものとみなすとしています。
Q3. 特定技能1号はJFT-Basicだけで大丈夫ですか。
A. たとえば飲食料品製造業分野では、JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上のいずれかで日本語要件を満たせます。ただし介護分野では介護日本語評価試験も必要です。分野ごとの要件を確認してください。
Q4. 日本に住んでいなくても、日本でJLPTを受けられますか。
A. JEESの案内では、国内試験は日本語を母語とせず、中長期在留者と特別永住者を対象とした試験とされています。海外にお住まいの方は、お住まいの国・地域の実施機関の案内をご確認ください。
Q5. 文部科学省の要請で、在留資格の要件は変わりましたか。
A. 報道されているのは、文部科学省が認定日本語教育機関にJLPT以外の試験の活用を検討するよう求めたという内容です。在留資格の日本語要件そのものが変わったという公表は、2026年9月28日時点で出入国在留管理庁から確認できません。
JLPTの応募者は増え続け、2026年12月試験の国内のN1・N2は8月31日に締め切られました。国内のN2の応募者が大きく増えた時期は、経営・管理や技人国で「B2相当以上」の日本語能力が求められるようになった時期と重なります。
ただ、在留資格の日本語要件は、JLPTだけで示すものではありません。経営・管理と技人国はBJT400点以上や日本での学歴・在留歴でも、特定技能1号はJFT-Basicや技能実習2号の良好修了でも示せます。一方で、代わりが利かない場面もあります。申請する在留資格で何が認められているかを、出入国在留管理庁の資料で確認してから準備を進めてください。
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本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。日本語能力の要件や認められる試験は、出入国在留管理庁の資料の改定により今後変更される可能性があります。応募者数は主催団体が公表した速報値です。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市