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日本語能力試験の応募急増|在留資格別の代替試験

木の机に白紙の用紙と鉛筆、木の駒を入れた白い器を並べた俯瞰イメージ。日本語能力の証明に向けた試験の準備を象徴。

日本語能力試験(JLPT)の応募者が増え続けています。2026年12月の試験では、国内のN1・N2の申込みが8月31日に締め切られ、再募集は行われません。共同通信の報道(2026年9月27日)によると、文部科学省は全国の認定日本語教育機関に対し、JLPT以外の試験の活用を検討するよう初めて求めたとされています。この記事では、在留資格の日本語要件をJLPT以外の方法で満たせるかどうかを、出入国在留管理庁の公表資料に沿って在留資格ごとに整理します。受験の機会を確保できなかった外国人ご本人と、外国人を雇用・招へいする企業のご担当者に向けた内容です。

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1. 結論:JLPTが取れなくても、在留資格によっては別の方法がある

先に要点をまとめます。

  • 経営・管理と、主に言語能力を用いて対人業務に従事する技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)で求められる「B2相当以上」の日本語能力は、JLPT N2以上のほか、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上でも示せます。日本での学歴や、中長期在留者として20年以上の在留でも認められます。
  • 特定技能1号の日本語要件は、JLPT N4以上のほか、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当以上でも満たせます。たとえば飲食料品製造業分野では、職種を問わず技能実習2号を良好に修了していれば日本語試験は免除されます(介護分野には、別に介護日本語評価試験があります)。
  • ただし、すべての場面でJLPTの代わりが利くわけではありません。在留資格や、求められる資料によって認められる試験は違います。代わりの方法を使う前に、その在留資格で何が認められているかを出入国在留管理庁の資料で確認してください。
  • JLPTの国内試験は、日本語を母語としない中長期在留者と特別永住者が対象です。

2. 何が起きているのか:応募者は過去最多が続いている

JLPTを主催する日本国際教育支援協会(JEES)と国際交流基金が公表している応募者数(速報値)は、次のとおりです。

試験応募者数(国内外の合計)うち国内うち国内のN2
2025年7月911,918人351,770人96,579人
2025年12月1,049,597人447,285人132,741人
2026年7月943,671人376,028人158,682人
出典:日本語能力試験「2025年7月試験」「2025年12月試験」「2026年7月試験」の実施概要(速報値)。

2025年12月試験は、1回の試験として過去最多でした。2026年7月試験は、海外・国内・合計のいずれも7月試験として最多です。

とくに目立つのは国内のN2です。2026年7月試験の国内のN2の応募者は、前年7月試験より64.3%増えました。国内のN4は46.9%減っているので、すべてのレベルで増えているわけではありません。

N2は、後で見る経営・管理(2025年10月16日の改正)と技人国の「B2相当以上」の要件で、試験で示す代表的な方法です。報道も、一部の在留資格に日本語能力の要件が加わったことを背景の一つに挙げています。

2026年12月試験(試験日は12月6日)は、国内のN1・N2が8月31日12時で締め切られ、再募集はしないと告知されています。N3は東京都・大阪府で9月2日に再募集が行われました。


白い器を3つ並べ、それぞれに木の駒を置いて紺色のリボンでつないだ俯瞰イメージ。日本語能力を示す方法が一つではないことを象徴。

3. 在留資格ごとの「JLPT以外の方法」

出入国在留管理庁の資料で確認できる範囲を、在留資格ごとに並べます。

在留資格・場面求められる日本語能力JLPTで示す場合JLPT以外の方法
経営・管理(申請者または常勤職員のいずれか)「日本語教育の参照枠」B2相当以上N2以上BJT400点以上/中長期在留者として20年以上在留/日本の大学等高等教育機関を卒業/日本の義務教育を修了し高等学校を卒業
技人国(主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合)CEFR・B2相当N2以上BJT400点以上/中長期在留者として20年以上在留/日本の大学を卒業、または高等専門学校・専修学校の専門課程等を修了/日本の義務教育を修了し高等学校を卒業
特定技能1号(例:飲食料品製造業分野)分野ごとに定める水準N4以上JFT-Basic A2.2相当以上/技能実習2号を良好に修了していれば日本語試験は免除
出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」「飲食料品製造業分野」(2026年9月確認)。

表の読み方で注意したい点が3つあります。

  • 経営・管理と技人国では、学歴の範囲が少し違います。 経営・管理は「大学等高等教育機関」、技人国は「大学」または「高等専門学校・専修学校の専門課程等」と書かれています。ご自身の学歴がどちらに当たるかは、個別に確認してください。
  • 特定技能は分野ごとに要件が決まっています。 表の例は飲食料品製造業分野です。介護分野では、これに加えて介護日本語評価試験が設けられています。特定技能2号は、分野によって求められる水準が違います。
  • 試験以外の方法で示すときも、資料は必要です。 出入国在留管理庁は、経営・管理について、試験なら合格証や成績証明書、それ以外なら住民票や卒業証明書など、その人の身分や経歴がわかる資料で証明するよう案内しています。

4. 経営・管理と技人国:B2はBJTや学歴・在留歴でも示せる

経営・管理は、2025年10月16日の改正で、申請者または常勤職員のいずれかが「日本語教育の参照枠」のB2相当以上の日本語能力を持つことが必要になりました。出入国在留管理庁は、日本人または特別永住者以外の方について、次のいずれかに当たることを確認するとしています。

  • JLPT N2以上の認定を受けていること
  • BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること

本人がN2を持っていなくても、要件を満たす常勤職員がいれば足ります。 たとえば、日本の大学を卒業した常勤職員がいる場合です。改正の全体像は「【2026年最新】経営管理ビザの要件厳格化を行政書士が解説」で解説しています。

技人国では、翻訳・通訳やホテルのフロントなどの接客のように、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合に、業務で使う言語についてCEFR・B2相当の能力を示す資料が求められます。日本語で働く場合は、上の経営・管理とほぼ同じ方法で「B2相当の日本語能力がある」とみなされます。すでに在留している方も、転職や業務内容の変更で対人業務が中心になった場合は、在留期間の更新のときに提出が必要です。詳しくは「【2026年最新】技人国ビザの日本語要件を行政書士が解説」をご覧ください。


5. 特定技能1号:JFT-Basicでも日本語要件を満たせる

特定技能1号では、技能の試験に加えて日本語の試験に合格する必要があります。たとえば飲食料品製造業分野では、出入国在留管理庁の分野別のページに、日本語能力の基準として次のいずれかが書かれています。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当以上
  • JLPT N4以上

さらに、職種を問わず技能実習2号を良好に修了している場合は、日本語試験が免除されます。技能実習から特定技能1号へ移る方は、JLPTの申込みができなかったことが直接の支障にならない場合があります。

一方、介護分野では、全分野に共通する日本語試験に加えて介護日本語評価試験が設けられています。特定技能2号の日本語能力は、分野によって扱いが違い、たとえば飲食料品製造業分野では、2027年4月1日以降は「日本語教育の参照枠」B1相当以上が求められ、その取扱いは別途知らせるとされています。

JFT-BasicやBJTの試験日程・会場・申込方法は、それぞれの実施団体の公式サイトで確認してください。


明るい机の上に無地の紺色フォルダと白紙、白いカードの束とペンを置いたイメージ。手元の書類を確かめて準備を進めることを象徴。

6. 外国人ご本人がいま確認すべきこと

  1. これから受ける申請で、日本語能力がどの資料で求められているかを確認する(在留資格と、申請の種類で決まります)。
  1. その在留資格でJLPT以外に認められている方法があるかを、表と出入国在留管理庁の資料で確認する。
  1. すでに持っている学歴・在留歴で示せないかを確認する。日本の大学や高等学校を卒業している方は、卒業証明書を用意しておくと安心です。
  1. 試験を受けるなら、申請の時期から逆算して受験日と結果が出る時期を確かめる。JLPTの12月試験のN1・N2はすでに締め切られています。
  1. 迷ったときは、申請書類を作る前に専門家に確認する。

7. 企業・受入れご担当者へ

  • 経営・管理は、申請者本人でなく常勤職員が要件を満たす形でも構いません。採用の段階で、候補者のJLPT・BJTの結果や日本での学歴を確認しておくと、申請の準備が止まりません。
  • 技人国で接客や通訳の仕事を任せる予定なら、B2相当の資料が必要になるかを内定の前に確認してください。JLPTの結果が間に合わない場合でも、BJTや日本での学歴で示せることがあります。
  • 特定技能1号では、JFT-BasicもJLPT N4と同じく使える分野があります。技能実習2号を良好に修了した方の日本語試験の免除も、分野の資料に書かれています。受け入れる分野の要件を、分野別の資料で確認してください。
  • 報道では、ほかの試験で代わりが利くとは限らないことも指摘されています。「この試験で大丈夫」と自己判断しないで、申請する在留資格の資料で確かめることが大切です。

8. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 12月のJLPTに申し込めませんでした。経営・管理の申請はできますか。

A. 経営・管理のB2相当以上の日本語能力は、JLPT N2以上のほか、BJT400点以上、中長期在留者として20年以上の在留、日本の大学等高等教育機関の卒業などでも認められます。また、申請者本人でなく常勤職員が要件を満たす形でも構いません。

Q2. BJTは何点あれば技人国の対人業務で使えますか。

A. 出入国在留管理庁は、BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している場合に、CEFR・B2相当の日本語能力を有するものとみなすとしています。

Q3. 特定技能1号はJFT-Basicだけで大丈夫ですか。

A. たとえば飲食料品製造業分野では、JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上のいずれかで日本語要件を満たせます。ただし介護分野では介護日本語評価試験も必要です。分野ごとの要件を確認してください。

Q4. 日本に住んでいなくても、日本でJLPTを受けられますか。

A. JEESの案内では、国内試験は日本語を母語とせず、中長期在留者と特別永住者を対象とした試験とされています。海外にお住まいの方は、お住まいの国・地域の実施機関の案内をご確認ください。

Q5. 文部科学省の要請で、在留資格の要件は変わりましたか。

A. 報道されているのは、文部科学省が認定日本語教育機関にJLPT以外の試験の活用を検討するよう求めたという内容です。在留資格の日本語要件そのものが変わったという公表は、2026年9月28日時点で出入国在留管理庁から確認できません。


9. まとめ

JLPTの応募者は増え続け、2026年12月試験の国内のN1・N2は8月31日に締め切られました。国内のN2の応募者が大きく増えた時期は、経営・管理や技人国で「B2相当以上」の日本語能力が求められるようになった時期と重なります。

ただ、在留資格の日本語要件は、JLPTだけで示すものではありません。経営・管理と技人国はBJT400点以上や日本での学歴・在留歴でも、特定技能1号はJFT-Basicや技能実習2号の良好修了でも示せます。一方で、代わりが利かない場面もあります。申請する在留資格で何が認められているかを、出入国在留管理庁の資料で確認してから準備を進めてください。

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本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。日本語能力の要件や認められる試験は、出入国在留管理庁の資料の改定により今後変更される可能性があります。応募者数は主催団体が公表した速報値です。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。

本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭

行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表

所在地:宮崎県宮崎市

出典(一次情報)

  • 出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
  • 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
  • 出入国在留管理庁「飲食料品製造業分野」(特定技能) https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/foodandbeverages.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能 試験関係」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri01_00135.html
  • 日本語能力試験「2026年7月試験の実施概要(速報値)」 https://www.jlpt.jp/about/pdf/2026julypr.pdf
  • 日本語能力試験「2025年12月試験の実施概要(速報値)」 https://www.jlpt.jp/about/pdf/2025decemberpr.pdf
  • 日本語能力試験「2025年7月試験の実施概要(速報値)」 https://www.jlpt.jp/about/pdf/2025julypr.pdf
  • 日本国際教育支援協会「2026年第2回日本語能力試験 N1・N2の申し込みについて」 https://info.jees-jlpt.jp/other/n1n2close.html
  • 日本国際教育支援協会「2026年第2回試験実施案内」 https://info.jees-jlpt.jp/info/2026-2jisshiannnai.html

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