
出入国在留管理庁は、2026年9月7日付けで「在留許可手数料に関するお知らせ」を公表しました。令和8年熊本地震で被災された方に向けた1ページの案内です。
内容は2点に絞られています。2026年9月30日までに在留諸申請が受け付けられれば、許可が10月1日以降になっても改定前の手数料額が適用されること。そして10月1日以降の申請でも、一定の要件に該当すれば手数料が減額される場合があること。被災された外国人ご本人と、その方を雇用している企業の人事ご担当者に向けて整理します。
先に要点をまとめます。
💡 読みどころ:被災された方は、在留期間の満了日が2027年1月27日まで延長されています。しかし手数料の分かれ目は9月30日のまま動きません。この2本の線がずれていることが、本記事の中心です。
最初にはっきりさせておきたい点があります。
この9月7日のお知らせは、被災された方のために新しい手数料の制度が作られたものではありません。すでに公表されている2つの取扱いを、被災された方に向けて改めて案内したものです。
案内されている2つは次のとおりです。
| 案内された内容 | 内容の位置づけ | 掲載元 |
|---|---|---|
| 9月30日までの申請には改定前の額が適用される | 被災者に限らない、改定全体の経過的な取扱い | 「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」 |
| 一定の要件に該当すれば減額される場合がある | 被災者に限らない、減額措置の一般的な枠組み | 「令和8年10月1日以降における在留許可手数料の減額措置又は免除措置について」 |
つまり、どちらも被災された方だけに用意された特別枠ではありません。それでもこのお知らせに意味があるのは、被災された方は在留手続そのものが通常と異なる状況に置かれており、手数料の期日まで意識が向きにくいからです。
「被災者向けの新しい減額制度ができた」という理解は正確ではありません。既にある枠組みを、期限とあわせて知らせたというのが実際のところです。
出入国在留管理庁は、改定後の手数料は2026年10月1日以降に受付をした申請に適用されるとしています。そして2026年9月30日までに受付をした申請については、当該申請に係る許可または交付が10月1日以降になっても、改定前の手数料による納付となるとしています。
ここで大切なのは、基準になるのが受付日であって、許可日ではないという点です。審査に数か月かかっても、9月30日までに受け付けられていれば、納付するのは改定前の額です。
出入国在留管理庁が配布しているリーフレット(2026年9月発行)に基づく額は次のとおりです。
改定前(2026年9月30日までに受付した申請)
| 許可 | 申請方法 | 改定前の手数料 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可・在留期間更新許可 | 窓口 | 6,000円 |
| 在留資格変更許可・在留期間更新許可 | オンライン | 5,500円 |
| 永住許可 | 窓口 | 10,000円 |
改定後(2026年10月1日以降に受付した申請)
| 許可期間 | 窓口 | オンライン |
|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
| 永住許可 | 200,000円 | 取扱いなし |
改定後は、許可を受ける在留期間の区分に応じて額が変わる仕組みになります。なお、オンライン申請の場合は上記の手数料のほかに別途決済手数料が必要です(許可期間に応じて330円または550円)。
オンライン申請の場合、出入国在留管理庁は「申請受付仮番号」または「申請受付番号」のお知らせメールで受付日を確認するよう案内しています。窓口申請の場合は、申請時に交付される書類の日付が手がかりになります。
なお、9月30日以前に受け付けられた申請については、オンライン申請であっても収入印紙による納付となります。10月1日以降にオンラインで申請したものは収入印紙では納付できず、コンビニ決済または銀行決済になります。
ここが、被災された方にとって最も見落としやすい点です。
令和8年熊本地震については、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(以下、特措法)に基づく告示により、在留期間や在留カードの有効期間などの満了日が2027年1月27日まで延長されています。対象は、地震の発生の時点(2026年7月28日)において災害救助法が適用された市町村の区域にあった方、または当該区域に住居地があった方などです。
延長されるのは、在留期間・経過滞在期間・登録支援機関の登録の有効期間・監理団体の許可の有効期間・在留カードの有効期間・特別永住者証明書の有効期間という、告示で定められた6つの期間です。
一方、手数料がいくらになるかは、申請が受け付けられた日で決まります。満了日が延びたことによって、手数料の適用日が動くわけではありません。
つまり、こういう状況が起こり得ます。

この非対称に気づかないまま10月を迎えると、「延長されていたはずなのに、金額が上がった」という受け止め方になりかねません。満了日の期限と、手数料の分かれ目は、別々の線だと整理しておくのが正確です。
なお、被災に伴う在留手続の特例そのもの(満了日の延長、入管法上の義務の履行、資格外活動許可の取扱いなど)は、熊本地震の在留手続特例|3つの期限と延長されない許可で詳しく扱っています。あわせてご確認ください。
9月30日を過ぎたら一律に改定後の額になるかというと、そうとは限りません。減額の枠組みがあります。
改正後の出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第67条第3項は、在留資格の変更の許可、在留期間の更新の許可または永住許可を受ける者が、経済的困難その他特別の理由により手数料を減額し、または免除することが相当である者として政令で定める者であるときは、手数料を減額し、または免除することができると定めています。
減額の対象になり得るのは、次の2つの両方に該当する場合です。
出入国在留管理庁はQ&Aで、この両方に該当する必要があるため、いずれかに該当するだけでは減額の対象者になり得るものではないと明記しています。同庁のガイドラインでは、1について4類型、2について12類型が示されているとされています。

ここは誤解が生じやすいところです。
被災されたこと自体は、上記2つの要件のどちらとも直接には結び付いていません。9月7日のお知らせも「該当することとなれば、当該申請に対する手数料が減額される場合があります」という書き方をしており、被災者であれば減額されるとは述べていません。
⚠️ 誤解しやすい点:経済的に苦しい状況にあるというだけでも、被災したというだけでも、減額の対象になるとは限りません。ご自身が該当し得るかどうかは、最寄りの地方出入国在留管理官署にご相談いただくのが確実です。
減額が認められた場合の額は、次のとおりとされています。
| 許可 | 減額後の手数料 |
|---|---|
| 在留資格の変更の許可 | 10,000円 |
| 在留期間の更新の許可 | 10,000円 |
| 永住許可 | 20,000円 |
在留資格の変更・在留期間の更新については、3月を超える在留期間が決定される方が減額の対象者である場合に1万円まで減額することができるとされています。
永住許可には限定があります。 出入国在留管理庁は、永住許可を受ける者で減額の対象となるのは、日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子等に限るとしています。永住許可の手数料は改定後に200,000円となるため、この限定は実務上の影響が大きい部分です。
なお、特定在留カードの交付を受ける場合は、上記の額に特定在留カードの交付に係る手数料を加えた額が必要となる場合があるとされています。
減額を検討される場合、次の3点は申請の方法そのものに関わります。
出入国在留管理庁は、在留申請オンラインシステムでの申請は減額措置に対応していないと明記しています。減額措置対象である疎明資料を提出される場合は、窓口で在留諸申請を行う必要があります。
オンライン申請の手数料は窓口より低く設定されていますが、減額を求める場合はオンラインを使えません。どちらを選ぶかは、減額の対象になり得るかどうかを先に検討してから決めることになります。
減額の対象者に係る疎明資料について、本記事の執筆時点(2026年9月上旬)では、出入国在留管理庁は「追ってお知らせいたします」としていました。その後、同庁の専用ページで該当する類型ごとの疎明資料が公表されています(2026年9月確認)。疎明資料は「なし」とされている類型もあります。一覧は在留手数料の減額|疎明資料が公表・申請は窓口でで整理しています。
つまり、何を用意すれば減額の判断を受けられるのかは、現時点では確定していません。この点は今後の公表を待つ必要があります。減額を前提に手続の予定を組むのではなく、公表状況を確認しながら進めるのが安全です。
窓口で受け付けた申請に対する許可を受ける場合、手数料は従来どおり収入印紙で納めます。改定により必要な額面の種類が変わるため、出入国在留管理庁は、審査結果を受け取りに行く際は送付されるハガキに記載された金額分の収入印紙を、規模の大きな郵便局等で事前に購入してから来庁するよう案内しています。収入印紙の購入方法は現金のみです。
被災された地域では、庁舎までの移動そのものに時間がかかる場合もあります。当日その場で印紙を買えるとは限らないという前提で準備しておくと安心です。
改定そのものの全体像(在留期間の区分ごとの額、決済手数料、詐欺メールへの注意など)は、在留手数料10月1日改定|9月30日までは旧料金で解説しています。
出入国在留管理庁は、2026年9月30日までに受け付けをした申請については、当該申請に係る許可または交付が10月1日以降となっても、改定前の手数料による納付となるとしています。基準は受付日です。
被災したことのみで減額されるわけではありません。減額の対象になり得るのは、「要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者」であり、かつ「人道上の配慮をする必要があるもの」の両方に該当する場合です。該当し得るかどうかは、最寄りの地方出入国在留管理官署にご相談ください。
延長されるのは、在留期間・在留カードの有効期間など、告示で定められた6つの期間の満了日です。手数料の額は申請が受け付けられた日で決まるため、満了日の延長によって手数料の分かれ目が動くわけではありません。
在留申請オンラインシステムでの申請は減額措置に対応していないとされています。減額措置対象である疎明資料を提出される場合は、窓口で在留諸申請を行う必要があります。
減額対象者に係る疎明資料は、当初「追ってお知らせいたします」とされていましたが、その後、出入国在留管理庁の専用ページで該当する類型ごとに公表されました(2026年9月確認)。
減額の対象となる場合の額は20,000円とされていますが、永住許可について減額の対象となるのは、日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子等に限るとされています。すべての永住許可申請が対象になるわけではありません。
出入国在留管理庁の案内によれば、再入国許可(1回限り3,500円・数次6,500円)および就労資格証明書の交付(1,600円)は手数料額そのものは変わりません。ただしオンライン申請の場合は、別途決済手数料(220円)がかかるとされています。
当事務所では、最新の制度動向を踏まえた上で、外国人ご本人・受入企業様の双方からのご相談を承っています。
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ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年9月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市