
日本で暮らす外国籍のご家族や従業員が亡くなったとき、悲しみの中で、いくつもの手続を短い期限のうちに進めることになります。日本人の場合と同じ死亡届に加えて、外国籍の方には在留カードの返納があり、残されたご家族の在留資格にも届出が必要な場合があります。さらに、日本に不動産があれば、2024年4月1日から義務になった相続登記も関係します。本記事では、外国人が日本で亡くなったときの手続を期限の短い順に整理し、相続の準拠法、相続登記の義務、残されたご家族の在留資格、受け入れていた企業の対応までを、外国人ご本人・ご家族と企業の人事ご担当者に向けて解説します。
| 手続 | 期限 | 誰が | どこへ | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 死亡届 | 死亡の事実を知った日から7日以内 | 同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人など | 死亡した場所か届出人の所在地の市区町村 | 戸籍法第86条・第87条・第25条第2項・第88条 |
| 在留カード(特別永住者証明書)の返納 | 死亡の日から14日以内(死亡後に見つけたときは発見の日から14日以内) | 亡くなった方の親族又は同居者 | 地方出入国在留管理官署へ持参、又は郵送 | 入管法第19条の15第4項(特別永住者証明書は出入国在留管理庁の案内) |
| 配偶者に関する届出 | 死別の日から14日以内 | 「家族滞在」(配偶者)・「永住者の配偶者等」で在留している配偶者 | 出入国在留管理庁 | 入管法第19条の16第3号 |
| 相続登記 | 相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内 | 相続で不動産の所有権を取得した相続人 | 不動産を管轄する法務局 | 不動産登記法第76条の2 |
💡 期限の短い順に、死亡届(7日)→在留カードの返納と、該当する在留資格の配偶者の届出(14日)→相続登記(3年)と考えると、抜けを防ぎやすくなります。
出入国在留管理庁が監修する「生活・就労ガイドブック」(第8版)は、日本で亡くなったときは、親族や同居人などが、死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡した場所か届出人の所在地にある市区町村へ死亡の届出をするよう案内しています。戸籍法も、外国人に関する届出は届出人の所在地でするものとしています(戸籍法第25条第2項)。
届出をする人は、戸籍法第87条が定める順序で、同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人です。ただし、順序にかかわらず届け出ることができ、同居していない親族なども届け出ることができます。
法務省は、2026年6月30日付けの民事局民事第一課長通知で、「届出人の所在地」は住所登録地に限られず一時滞在地も含まれることについて、改めて注意を呼びかけています。海外から駆けつけたご家族も、滞在先の市区町村の窓口で死亡届を出すことができます。
本国での死亡の登録や、本国の旅券・身分証の扱いは国ごとに異なります。必要かどうかを含めて、駐日大使館・総領事館にご確認ください。

在留カードは、持ち主が亡くなったときに効力を失います(入管法第19条の14第6号)。このとき、亡くなった方の親族又は同居者は、死亡の日から14日以内に、在留カードを出入国在留管理庁長官に返納しなければなりません。亡くなった後に在留カードを見つけたときは、見つけた日から14日以内です(入管法第19条の15第4項)。
特別永住者証明書も同じで、親族又は同居者が、死亡した日(死亡後に見つけたときは発見の日)から14日以内に返納します。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 持参 | 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口へ持参します。 |
| 郵送 | 参考書式「在留カード等の返納について」と、返納の理由を証する文書(死亡証明書、戸籍謄本等)を添えて、出入国在留管理庁のページに掲載された返納先へ送ります。封筒の表に「在留カード等返納」と書きます。 |
出入国在留管理庁は、期限内に返納しないと罰金に処せられることがあると案内しています。葬儀などで慌ただしい時期ですが、在留カードの保管場所は早めに確かめておきましょう。
亡くなった方の在留資格を前提に日本で暮らしていたご家族は、在留資格の見直しが必要になることがあります。
「家族滞在」(配偶者として在留している方)と「永住者の配偶者等」(配偶者として在留している方)は、配偶者と死別したときは、その日から14日以内に、出入国在留管理庁に届け出なければなりません(入管法第19条の16第3号)。
在留資格「家族滞在」は、就労などの在留資格で在留する方や留学生の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動のための在留資格です(入管法別表第一の四)。扶養していた方が亡くなると、この前提がなくなるため、日本での生活を続けたい場合は、早めに、ほかの在留資格への変更を検討することになります。変更の手続は在留資格変更許可申請とは|できる場合・手数料・審査の要点で説明しています。
「永住者の配偶者等」のうち配偶者として在留する方は、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していると、正当な理由がある場合を除き、在留資格の取消しの対象になりえます(入管法第22条の4第1項第7号)。死別後に「定住者」への変更が認められた例・認められなかった例は、定住者ビザとは|離婚・死別後の変更が認められた事例で整理しています。
相続(誰が相続人になり、どれだけ相続するかなど)は、亡くなった方(被相続人)の本国法によります(法の適用に関する通則法第36条)。ただし、本国の法律に従えば日本法によるべきときは、日本法によります(同法第41条、反致)。本国の法律がどう定めているかは国ごとに異なるため、個別の確認が必要です。
遺言がある場合の扱いや、遺言の方式の準拠法は、外国人の遺言|準拠法と方式・押印が任意になる改正で詳しく解説しています。
また、2026年2月2日から、特定の亡くなった方が登記簿上の所有者として記録されている不動産を、登記官が一覧にして証明する「所有不動産記録証明制度」が始まっています(不動産登記法第119条の2)。日本のどこに不動産があったかを確かめる手がかりになります。

相続(遺言を含みます)で不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません(不動産登記法第76条の2第1項)。正当な理由がないのに申請を怠ったときは、10万円以下の過料の対象になります(同法第164条第1項)。この義務は、所有権の登記名義人について相続が開始したときのものなので、亡くなった方や相続人が外国籍であっても同じです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2024年4月1日。施行日より前に開始した相続でも、相続登記をしていなければ対象で、2027年3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が2024年4月以降の場合は、その日から3年以内)に登記が必要です。 |
| 遺産分割が成立したとき | 遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請します(不動産登記法第76条の2第2項、第76条の3第4項等)。 |
| 相続人申告登記 | 3年以内に、相続が開始したことと自らが相続人であることを登記官に申し出ると、相続登記の申請義務(基本的義務)を履行したものとみなされます(不動産登記法第76条の3)。申し出た相続人についてだけ効果があり、遺産分割が成立したときの義務はこの方法では果たせません。 |
| 過料の前の催告 | 登記官は、義務の違反を把握すると、まず相当の期間を定めて申請を催告します。正当な理由なくその期間内に申請しなかった場合に、裁判所へ通知されます。 |
| 正当な理由の例 | 相続人が極めて多数で戸籍関係書類の収集などに多くの時間を要する場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、義務を負う方に重病などの事情がある場合 など |
| 登録免許税の免税 | 土地の相続登記のうち、①相続で土地を取得した方が相続登記をしないまま亡くなった場合の相続登記、②価額100万円以下の土地の相続登記には、2027年3月31日まで免税措置があります。 |
外国に住所がある外国人が新たに所有権の登記名義人になる登記を申請するときは、住所を証明する書類として、本国又は居住国の政府が作成した住所の証明書か、本国又は居住国の公証人が作成した住所の証明書と旅券の写しを添付します。外国語で作成されたものには訳文も必要です(2024年4月1日以後の申請に適用・法務省の案内)。海外に住む日本人の相続人については、在留証明と署名証明の違い|海外在住者の相続手続をご覧ください。
2026年4月1日から、不動産の所有者は、氏名や住所に変更があった日から2年以内に変更の登記を申請することが義務になりました(不動産登記法第76条の5)。正当な理由がないのに怠ると5万円以下の過料の対象です(同法第164条第2項)。相続した不動産の登記名義人になった後に、ご家族が転居や帰国をするときも関係します。施行日より前の変更で登記をしていない場合は、2028年3月31日までに登記が必要です。
Q1. 家族が海外に住んでいます。死亡届は誰が出せますか。
A. 戸籍法第87条は、同居の親族のほか、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人も届出義務者としています。同居していない親族も届け出ることができます。海外から来日したご家族は、滞在先の市区町村を「届出人の所在地」として届け出ることもできます。
Q2. 亡くなった後しばらくして在留カードが見つかりました。
A. 死亡後に在留カードを見つけたときは、見つけた日から14日以内に返納します(入管法第19条の15第4項)。
Q3. 相続人が全員海外に住んでいます。相続登記の期限は同じですか。
A. 相続登記の申請義務は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内で、相続人がどこに住んでいるかで変わりません。海外に住む外国人が登記名義人になるときは、本国又は居住国の住所の証明書などが必要になるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
Q4. 相続登記をしないと、すぐに過料になりますか。
A. 登記官は、義務の違反を把握すると、まず相当の期間を定めて申請を催告します。正当な理由なくその期間内に申請しなかった場合に、10万円以下の過料の対象として裁判所へ通知されます。期限内に申請するか、相続人申告登記をしておくことが大切です。
Q5. 夫が亡くなりました。「家族滞在」の私と子は日本に残れますか。
A. 「家族滞在」は扶養を受ける配偶者又は子のための在留資格のため、そのままでは前提がなくなります。配偶者の方は死別から14日以内に入管へ届け出たうえで、ほかの在留資格への変更を検討します。認められるかは個別の事情によるため、早めにご相談ください。
Q6. 宮崎に住んでいます。在留カードの返納はどこでできますか。
A. 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に持参できます。宮崎市には、福岡出入国在留管理局の宮崎出張所(宮崎市別府町1番1号 宮崎法務総合庁舎2階)があります。郵送で返納することもできます。
外国人が日本で亡くなったときは、7日以内の死亡届、14日以内の在留カードの返納と配偶者の届出(該当する在留資格の場合)、3年以内の相続登記という順で期限が来ます。相続は原則として亡くなった方の本国法で判断し、日本の不動産の相続登記は国籍にかかわらず義務です。残されたご家族が日本で暮らし続けるには、在留資格の見直しが必要になることもあります。期限を一覧で確かめ、短いものから順に進めることが大切です。
当事務所は、宮崎県宮崎市の行政書士法人として、外国籍の方とご家族の在留手続・国際相続をお手伝いしています。
在留資格の認定・変更・更新など、オンラインで申請できる手続は、全国の方からご依頼をお受けしています。面談はオンライン(Google Meet・LINE)、書類のやり取りは郵送・データで行い、ご来所は不要です。永住許可申請・帰化許可申請は窓口での手続となるため、宮崎県内にお住まいの方に限ります。在留カードは、手続の内容やお急ぎの度合いにより、お住まいの地域の入管の窓口で受け取っていただく場合があります。在留期限の最終日はオンライン申請ができないため、お早めにご相談ください。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁・法務省の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市