
すでに日本で働いている外国人を中途採用するとき、会社がまず気にするのは「この人を、うちの仕事で雇ってよいのか」という点です。在留カードが有効でも、在留資格は前の勤務先での仕事を前提に許可されています。新しい仕事がその範囲に入るかを、入管にあらかじめ確かめてもらう書類が「就労資格証明書」です。本記事では、就労資格証明書の中身と手続、転職したご本人の14日以内の届出、会社側の届出、そして2027年4月1日から重くなる不法就労助長罪の罰則までを、外国人ご本人と企業の人事ご担当者の両方に向けて整理します。
就労できる在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能など)は、申請のときに説明した仕事の内容を前提に許可されています。転職すると勤務先と仕事の内容が変わりますが、在留カードの記載はそのままです。そのため、在留カードだけを見ても、新しい仕事がいまの在留資格の範囲に入るかどうかは分かりません。
出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」は、転職と在留手続の関係を次のように案内しています。
| 状況 | 入管庁の案内(要旨) |
|---|---|
| 在留期限が近く、まもなく転職する | 転職後の活動が現在の在留資格の活動と変わらなければ在留期間更新許可申請、変わる場合は在留資格変更許可申請。いずれも在留期限までに |
| 在留期限は2年先で、すでに転職した。新しい仕事が在留資格の範囲に入るか確かめたい | 就労資格証明書の交付申請で証明を受けられる |
| 就労資格証明書を勤務先の近くの入管で申請したい | 住居地を管轄する入管に申請する必要があり、勤務先所在地の入管ではできない |
つまり、在留期限まで間がある転職者の場合、何もしなければ「新しい仕事が範囲内か」の判断は次の更新申請のときまで持ち越されます。就労資格証明書は、その確認を前倒しにする手段です。
💡 特定技能や特定活動の方は、在留カードとあわせて交付される「指定書」で活動の内容が指定されています。この記事で説明する就労資格証明書の流れとは別の手続が必要になる場合がありますので、転職を決める前に確認してください。

申請するのは外国人ご本人です。入管が承認した勤務先の職員などの取次者や、入管に届け出た行政書士・弁護士が、ご本人から依頼を受けて申請書類を提出することもできます。申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、宮崎県にお住まいの方であれば福岡出入国在留管理局の宮崎出張所になります。就労資格証明書の交付申請はオンラインでもできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 入管法第19条の2 |
| 対象 | 就労することが認められている外国人(就労制限のない永住者・定住者等や、資格外活動許可を受けている方を含む) |
| 手数料 | 2,000円(窓口は収入印紙)/オンライン申請は1,600円 |
| 標準処理期間 | 当日(勤務先を変えた場合などは1か月〜3か月) |
| 転職した方の書類 | 申請書、在留カード・旅券の提示、資格外活動許可書の提示(受けている方のみ)、新たな勤務先や活動内容の詳細がわかる書類 |
| 不服申立て | なし |
転職した方の場合、審査の中心は「新しい勤務先で何をするか」です。雇用契約書や労働条件通知書、会社の概要が分かる資料、担当する業務の説明などを、仕事の内容が具体的に伝わるように準備します。
なお、2026年10月1日からは、オンライン申請で受け付けた申請の手数料は、収入印紙ではなくコンビニ決済または銀行決済で納める方式に変わっています。窓口で申請した場合は、従来どおり収入印紙です。
入管法第19条の2第2項は、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる活動が明らかな場合に、就労資格証明書を提示または提出しないことを理由として不利益な取扱いをしてはならない、と定めています。
ここで大切なのは「明らかな場合に」という限定です。在留カードや指定書から就労できる範囲が明らかなときに、証明書がないことを理由に不採用とすることは認められません。一方で、この規定は「確認のために提出をお願いすること」そのものを禁じているわけではありません。会社としては、採用の条件にはせず、範囲がはっきりしないときの確認手段としてお願いするのが、条文に沿った使い方です。
転職したご本人には、入管法第19条の16にもとづく届出の義務があります。在留資格によって届出の種類が分かれます。
| 在留資格の例 | 届出の種類 | 転職で必要になる届出 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務、技能、介護、研究、高度専門職1号イ・ロ、特定技能 など | 所属(契約)機関に関する届出(第19条の16第2号) | 前の会社との契約の終了/新しい会社との契約の締結 |
| 経営・管理、企業内転勤、教育、教授、高度専門職1号ハ など | 所属(活動)機関に関する届出(第19条の16第1号) | 前の機関からの離脱/新しい機関への移籍 |
期限は、それぞれの事由が生じた日から14日以内です。退職日と入社日が離れている場合は、2回に分けて届け出ることになります。届出は入管の電子届出システムで24時間行えるほか、窓口や郵送でもできます。届出事項を証する資料の提出は不要です。
就労資格証明書の申請と、この届出は別の手続です。証明書を申請したからといって届出が不要になるわけではありませんので、両方を忘れずに行ってください。
外国人を新たに雇い入れた事業主は、労働施策総合推進法第28条にもとづき、ハローワークへ外国人雇用状況の届出を行います。離職したときも同じです。入管庁のリーフレットと厚生労働省の案内は、この届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりした場合は30万円以下の罰金の対象になると案内しています。届出期限は、雇用保険の被保険者であれば資格取得届とあわせて雇入れの翌月10日まで、被保険者でない方は雇入れの翌月末日までです。
入管法第19条の17には、会社が入管に「中長期在留者の受入れに関する届出」を行う規定もあります。ただし、ハローワークへの外国人雇用状況の届出をしなければならない事業主は対象から除かれています。一般の会社であれば、通常はハローワークの届出で足ります。

入管法第73条の2の不法就労助長罪は、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者や、そのあっせんをした者などを罰する規定です。2024年に成立した改正法(令和6年法律第60号)により、罰則が引き上げられます。
| 時期 | 罰則 |
|---|---|
| 現在(2027年3月31日まで) | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科 |
| 2027年4月1日から | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科 |
入管庁が示す「不法就労」には、在留期限が切れた人が働く場合だけでなく、いまの在留資格で認められた範囲を超えて働く場合も含まれます。入管庁のリーフレットは、外国料理のコックや語学学校の先生として認められた人が工場の作業員として働く例を挙げています。転職者の採用で問題になりやすいのは、まさにこの「範囲を超える」型です。
また、第73条の2第2項は、外国人の活動が在留資格の範囲外であることなどを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない、ただし過失のないときはこの限りでない、と定めています。在留カードを確認していないなどの過失があれば、知らなかったでは済みません。確認した事実と方法を記録に残しておくことが、会社を守る現実的な備えになります。
Q1. 就労資格証明書がないと、転職者を雇ってはいけないのですか。
A. いいえ。取得は任意です。在留カードなどから就労できる範囲が明らかであれば、証明書がなくても雇用できます。範囲がはっきりしないときに、確認の手段として使うものです。
Q2. 就労資格証明書を取れば、次の更新は確実に許可されますか。
A. 就労資格証明書は、その時点で行うことができる活動を証明するものです。更新の審査では、在留期間中の状況なども見られますので、許可を約束するものではありません。ただ、新しい仕事が範囲に入ることを事前に確かめておけば、更新の場面で慌てずに済みます。
Q3. 勤務先の近くの入管で申請できますか。
A. できません。住居地を管轄する入管に申請します。在留期間の更新や在留資格の変更の申請も同じ扱いです。
Q4. 転職後の仕事がいまの在留資格の範囲に入らない場合はどうなりますか。
A. 入管庁のQ&Aは、転職後の活動が現在の在留資格の活動から変わる場合は在留資格変更許可申請を行うよう案内しています。許可を受ける前にその仕事を始めると、資格外活動や不法就労の問題になりえますので、入社日の前に手続の見通しを立ててください。
Q5. 2027年4月の厳罰化は、いま雇っている従業員にも関係しますか。
A. 引き上げられるのは、不法就労をさせた事業主等への罰則です。いま雇っている方についても、在留期限の管理や、担当業務が在留資格の範囲に収まっているかの確認を続けることが大切です。
Q6. 永住者や定住者の方を採用する場合も、就労資格証明書は必要ですか。
A. 永住者・定住者などは就労に制限がありません。就労資格証明書を申請することもできますが、在留カードの「就労制限なし」の記載で就労できることを確認できます。
転職者の採用で確認したいのは、在留カードの有効期限だけではなく、新しい仕事がいまの在留資格の範囲に入るかです。就労資格証明書はその確認を前倒しにする任意の手段で、ご本人の14日以内の届出、会社のハローワークへの届出とは別に考えます。2027年4月1日からは不法就労助長罪の罰則が重くなります。採用の流れの中に確認と記録の手順を組み込んでおくことが、会社と従業員の双方を守ることにつながります。
💴 就労資格証明書の交付申請のサポート料金は「料金表」に掲載しています。初回相談はオンラインで60分まで無料です。転職したときに必要な手続は、無料ツール『転職したときの手続ナビ』でも確認できます。
当事務所は、宮崎県宮崎市の行政書士法人として、外国人の転職にともなう在留手続と、外国人を採用する企業の確認手続をお手伝いしています。
在留資格の認定・変更・更新など、オンラインで申請できる手続は、全国の方からご依頼をお受けしています。面談はオンライン(Google Meet・LINE)、書類のやり取りは郵送・データで行い、ご来所は不要です。永住許可申請・帰化許可申請は窓口での手続となるため、宮崎県内にお住まいの方に限ります。在留カードは、手続の内容やお急ぎの度合いにより、お住まいの地域の入管の窓口で受け取っていただく場合があります。在留期限の最終日はオンライン申請ができないため、お早めにご相談ください。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
📞 電話でのご相談予約:0985-68-0851
出す前に、一度見せてください。
ご自身で出入国在留管理局へ在留資格の申請をされる方へ。提出の前に、申請書と添付書類を確かめ、足りない書類や気をつける点をお伝えします。オンライン(Google Meet・20分程度)でも、LINE でもお受けします。
・対象:在留資格の認定・変更・更新の申請です(永住は、宮崎県内にお住まいの方に限ります)。帰化は対象外です。
・オンライン(Google Meet)は、1つの申請につき1回です。LINE でのお返事は、同じ申請について、提出の前までお受けします。
・LINE のお返事の目安は、原則2営業日以内です(土日・祝日はお休みです。混み合うときは、お返事が延びることがあります)。
・書類の写しは、LINE かメールでお送りください。在留カードは表面だけを、マイナンバーの面は送らないでください。
・お伝えするのは当事務所の意見です。許可を保証するものではなく、結果は出入国在留管理局の判断によります。
・お伝えするのは、足りない書類や気をつける点までです。申請書の作成や書き直しの代行、文案の作成はしません。許可の見込み(通るかどうか)もお伝えしません(当事務所にご依頼いただく場合は、セルフ準備コース・ライトプラン・スタンダードプランをご案内します)。
・事実と異なる内容の書類だと分かったとき、またはご本人(ご家族を含みます)の申請でないと分かったときは、チェックをお断りします。
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいて執筆しています。制度の詳細や施行時期は今後変更される可能性があります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁の公式情報または当事務所までご確認ください。
本記事の執筆者:申請取次行政書士 中山 諭
行政書士法人みやざき国際法務事務所 代表
所在地:宮崎県宮崎市