日本国籍を取る「帰化」か、外国籍のまま在留資格を「永住者」にする「永住」か。制度の違いを一覧で示し、いまのご状況での見込みを2つ並べて判定するツールです。最初の質問は「いまの国籍を残したいか」で、ここで答えが決まる方が少なくありません。
永住と帰化は、根拠となる法律も窓口も、その後の暮らし方も違います。要件だけでなく「何を得たいか」で選ぶための材料をそろえました。
このナビで分かること
- 帰化を選べるかどうか ― いまの国籍を残したい方は、原則として帰化を選べません(国籍法の重国籍防止要件)。
- 永住の見込みと帰化の見込みを別々に ― 在留年数、在留資格の種類、税・年金・保険の納付状況などから、それぞれの見込みを判定します。
- 年数の特例が使えるか ― 日本人の配偶者、実子、定住者、高度専門職(70点・80点)などの短縮を両制度ぶん反映します。
- 制度の違いの比較表 ― 国籍、パスポート、選挙権、在留カード、再入国、取消し、手数料、標準処理期間、申請できる人など。
- 次にすること ― 結果から、永住許可の見込み診断・帰化許可の見込み診断へ進めます。
使い方(3ステップ)
- 国籍についての希望を選ぶ ― 「いまの国籍を残したい」「日本国籍を取れるなら手放してよい」「まだ決めていない」から選びます。
- いまの状況を選ぶ ― 在留資格の種類、日本に住んでいる年数、税・年金・保険の納付状況、得たいことなどを選びます。分からない項目は空欄で構いません。
- 比較シートを見る ― 永住・帰化それぞれの判定と、制度の比較表、次にすることが出ます。印刷や共有リンクのコピーができ、氏名や国籍はリンクに含まれません。
帰化と永住は、まったく別の制度です
永住は、出入国管理及び難民認定法(入管法)にもとづき、外国人のまま在留資格が「永住者」になる制度で、窓口は地方出入国在留管理官署です。帰化は、国籍法にもとづき日本国籍を取得して日本人になる制度で、窓口は住所地を管轄する法務局・地方法務局、許可するのは法務大臣です。同じ「長く日本に住む」話でも、体系が違います。
帰化の条件の詳しい解説は「帰化申請の要件と必要書類を解説」、永住の要件と必要書類は「永住許可の要件と必要書類を解説」にまとめています。このページでは、2つを並べたときの違いと、選ぶときの判断材料をご案内します。
制度の違い(比較表)
| 観点 | 永住 | 帰化 |
|---|---|---|
| 何が変わるか | 在留資格が「永住者」になる(外国人のまま) | 日本国籍を取得する(日本人になる) |
| いまの国籍 | そのまま | 原則として失う(無国籍であるか、帰化によってそれまでの国籍を喪失することが条件) |
| 根拠となる法律 | 入管法 第22条 | 国籍法 第4条・第5条 |
| 窓口 | 地方出入国在留管理官署 | 法務局・地方法務局 |
| パスポート | いまの国のもの | 日本国旅券 |
| 選挙権 | なし | あり |
| 在留カード・再入国許可 | 必要 | 不要 |
| 在留資格の取消し | あり得る。2027年4月1日から取消し事由が追加 | 該当なし |
| 年齢の条件 | なし | 18歳以上で、本国の法律でも成人であること(単独で申請する場合) |
| 申請できる人 | 本人のほか、届出をした行政書士などの取次者 | 15歳以上は本人が、15歳未満は法定代理人が、法務局に自ら出頭して書面で申請 |
| 手数料 | 10,000円(2026年9月30日までの受付分)/200,000円(2026年10月1日以降の受付分・窓口) | かかりません |
| 標準処理期間 | 4か月〜6か月 | 公表されていません(法務省の案内に「ありません」と明記) |
| 審査基準 | ガイドラインが公表されている | 公表されていません |
帰化は本人が法務局に出頭して申請します。当事務所は書類の作成をお手伝いしますが、出頭の代行はできません。永住は届出をした行政書士が申請を取り次げるため、この点も準備の進め方に差が出ます。
必要な年数の考え方が違う
| ご状況 | 永住(永住許可に関するガイドライン) | 帰化(国籍法) |
|---|---|---|
| 原則 | 引き続き10年以上在留。うち就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格で引き続き5年以上 | 条文は引き続き5年以上日本に住所(第5条第1項第1号)。ただし法務省の国籍Q&Aは「10年以上在留していることなど、日本社会に融和していること」も必要としている |
| 日本人の配偶者 | 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、 かつ引き続き1年以上在留(2027年3月31日までの申請。 2027年4月1日以降の申請は、婚姻生活5年以上かつ引き続き3年以上の在留) | 簡易帰化=引き続き3年以上の住所または居所、または婚姻から3年経過かつ引き続き1年以上の住所(第7条) |
| 日本人の実子 | 引き続き1年以上在留 (2027年4月1日以降の申請は引き続き3年以上) | 簡易帰化=住所・能力・生計の条件が緩和(第8条) |
| 定住者 | 5年以上継続して在留 | 特例なし |
| 高度専門職 | 70点以上を維持して3年以上、80点以上を維持して1年以上 | 特例なし |
帰化の年数について、国籍法の条文は5年のまま変わっていません。一方で、法務省の国籍Q&Aは帰化の条件の説明の中で「10年以上在留していることなど、日本社会に融和していることが必要」と記載しており、5年で足りるとは考えないほうが安全です。当事務所では「条文は5年・実際の見通しは10年」の二重の目安でご案内しています。
「何を得たいか」で決まることが多い
| 得たいこと | 向いているのは | 理由 |
|---|---|---|
| 母国とのつながりを法的にも保ちたい/将来母国に戻る可能性がある | 永住 | 帰化は原則としていまの国籍を失う |
| 日本のパスポートで渡航したい/選挙で投票したい | 帰化 | 永住では旅券も選挙権も変わらない |
| 在留期限の更新から解放されたい | どちらでも | 永住なら在留期限がなくなり、帰化なら在留管理の対象から外れる |
| 費用を抑えたい | 帰化 | 帰化の手数料はかからない。永住は2026年10月1日以降の受付分から200,000円 |
| できるだけ早く結論がほしい | 永住 | 永住は標準処理期間が4か月〜6か月と公表されているが、帰化は公表されていない |
| 家族もまとめて安定させたい | 個別に検討 | 配偶者・子の在留資格や年齢、国籍の扱いで最適解が変わる |
帰化して日本国籍を取ると、母国での相続や不動産の扱い、母国への出入国の方法が変わることがあります。逆に永住は、在留カードの携帯や再入国許可(みなし再入国許可)の手続が残り、退去強制の対象からも外れません。どちらが合うかは、ご家族の状況と将来の暮らし方で決まります。
これから動く期日(2026〜2027年)
- 2026年10月1日=永住許可の手数料が改定されました。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の10,000円です。詳しくは「在留許可手数料の改定」をご覧ください。
- 2027年3月31日=永住許可の「最長の在留期間」の条件で、在留期間「3年」を最長とみなす取扱いの期限です。
- 2027年4月1日=永住者の在留資格の取消し事由が追加されます(故意に税や社会保険料を支払わない場合や、一定の刑罰を受けた場合など)。解説は「永住取消制度」にまとめています。
- 永住許可に関するガイドラインの改定=出入国在留管理庁が2026年10月1日に改定後のガイドラインを公表しました。2027年4月1日以降の申請から適用され、2027年3月31日までの申請は現行のガイドライン(令和8年2月24日改訂)で審査されます。ただし「収入」と「公共の負担とならないこと」の2項目は、2026年4月1日以降に申請し、2026年10月1日の時点で審査中の案件にも適用されます。内容は「永住許可ガイドラインの改定」をご覧ください。
企業の人事ご担当者へ
- 永住者になっても届出義務は残ります。 永住者は就労に制限がありませんが、在留カードの更新や住居地の届出など入管法上の手続は続きます。帰化すれば在留管理の対象から外れます。
- 永住の申請中も在留期間の更新は必要です。 永住許可の審査中に在留期間が経過する場合は、別途、在留期間更新許可申請が必要です。
- 年数のカウントに注意。 技能実習と特定技能1号で在留した期間は、永住の「就労資格で5年以上」に算入されません。特定技能2号や他の就労資格への移行時期が、永住の見通しに直結します。
よくある質問
帰化と永住、どちらが「簡単」ですか?
一概には言えません。永住は審査のガイドラインと標準処理期間(4か月〜6か月)が公表されていますが、帰化は審査基準も標準処理期間も公表されていません。年数の条件も、永住は原則10年、帰化は条文5年ながら法務省のQ&Aが10年以上の在留に言及しており、簡単な方を選ぶというより、得たいものと現在の状況で決めるのが実際的です。
いまの国籍を残したまま帰化できますか?
原則としてできません。帰化には、無国籍であるか、帰化によってそれまでの国籍を喪失することが条件になっています(国籍法第5条第1項第5号)。本人の意思で国籍を離脱できない場合には例外がありますが、母国の法律の確認が必要です。
永住の手数料は本当に20万円になるのですか?
2026年10月1日以降に受け付けられた永住許可の申請は、許可されるときに窓口で200,000円を納付します。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の10,000円です。帰化の手数料はかかりません。
帰化の審査には、どのくらい時間がかかりますか?
法務省の帰化許可申請の案内は、標準処理期間を「ありません」としており、公表された目安がありません。個人差も大きいため、当事務所では期間をお約束していません。
永住者になれば、もう在留資格を失うことはありませんか?
永住者も在留資格の取消しの対象から外れるわけではありません。2027年4月1日からは取消し事由が追加され、故意に税や社会保険料を支払わない場合などが加わります。永住後も公的義務の履行が大切です。
技能実習や特定技能1号で働いた期間は、永住の年数に入りますか?
永住の「就労資格または居住資格で引き続き5年以上」の期間には、技能実習と特定技能1号で在留した期間は算入されません。原則10年の在留期間には含まれますが、5年の部分は他の就労資格や居住資格で満たす必要があります。
どちらを目指すか、一緒に決めましょう
永住と帰化は、要件も窓口も、その後の暮らし方も違います。ご家族の在留資格や将来の帰国の可能性まで含めて、どちらが合っているかを整理します。永住は当事務所が申請を取り次ぎ、帰化はご本人の出頭が必要ですが書類の作成をお手伝いします。オンライン対応・初回相談は60分まで無料です。
関連ページ:永住許可の見込み診断 | 帰化許可の見込み診断 | 高度人材ポイント計算 | 帰化申請の要件と必要書類 | 永住許可の要件と必要書類 | 在留資格(ビザ)のご相談
本ページは2026年10月時点の公開情報にもとづいて作成しています。要件・手数料・審査運用は改正で変わることがあります。実際の申請にあたっては、出入国在留管理庁・法務省の公式情報または当事務所までご確認ください。
出典:
